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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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魔法使いの誕生 ⑱ ※フレイア面

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 兵に大休止を取らせながら待機していたフレイアの瞼が開かれ、ルナリアやハロルドと同じ濃緑色の瞳が街道の先へと向けられた。

「戻ったか」

 フレイアの呟きに、傍に控えている騎士たちの目も一斉に街道の先へと向く。

 程なくして、コーニッツ領の方向から砂塵を巻き上げながら、2頭の騎馬が駆けてくるのが確認できた。

 あれは、コーニッツ領の手前まで領軍を進めたフレイアが、先行させていた斥候だ。


「ご苦労」

「報告します!」

「居たか」

「はっ! 予測通り、輜重と思われる分隊が森の入り口で待機しておりました!」

 上がアホなら下も森の中に姿を隠す知恵すら無いらしい。

 大方、国内貴族同士の争いを好まないタヌキ親父の手前、こちらからは手が出せないとでも舐めくさっているのだろう。

 自領内で待機していても、領界の関所を迂回すれば情報の取りようなどいくらでも有る。

 兵を出していれば何らかの悪事を企んでいると宣伝しているようなものだ。


「戦闘部隊は居たか?」

「姿を確認できませんでした!」

「予備兵力も無く、輜重が1分隊なら、総数は1個小隊ですかな」

「そうだな。ルナリアは上手く逃げ回っているらしい」

 無精ひげが濃くなり始めている騎士が顎を摩り、フレイアが頷く。

 防衛を疎かにした弱兵ゆえの自信の無さの表れか、子供一人の暗殺にしては、投入兵力の総数30人超は過剰戦力ではある。

 しかし、「王国の盾」を相手にするには到底足りない兵力だ。

 寝たふりをしてやっていた猛獣の尾を盛大に踏んで、無事で済むわけが無い。


 事件発覚から2日経っても、まだ作戦部隊の一部が待機中なら、作戦は継続中で目的を果たせていないことになる。

 ルナリアを乗せた馬車が“魔の森”の方向へ向かったことは、すぐに目撃情報が取れた。

 有事に慣れているウォーレス領では、平民の1人ですら違和感を見逃さない。

 “魔の森”の捜索にはすでにハロルドが向かったが、“魔の森”は広く、捜索範囲も広い。

 小生意気だが愚直で可愛い従兄姪が、数十人もの男たちに無人の森で追い回されている。

 そう考えただけで、怒りに任せてコーニッツの豚野郎を焼き殺しに行きたくなる。

 だが、ルナリアを無事に奪還するほうが何よりも優先する。

 指揮下にある騎士や兵の手前、心の動揺を表に出すわけには行かないが、個人的な心情から自身で子供を産む選択肢を諦めたフレイアにとって、ルナリアは特別な子供なのだ。

 ルナリアまで亡くしては、姉と慕った従姉妹に顔向け出来ようがない。


 失いたくない。何としても、この手に取り戻したい。

 2年前と同じ思いをするなんて、二度と御免だ。

 ちんたら正攻法で探していては、間に合わないかもしれない。

 それほどまでに、人間の侵入を拒絶するこの森は広大で危険なのだ。

 せめて、馬車が森に入った地点を特定できていれば、痕跡の追いようは有るものを。

 苛立ちと焦燥感だけが澱のように降り積もってくる。

 フレイアとて、一旦は捜索に加わって森へと入ったのだが、何の成果も得られず、捜索の続きを信頼できる側近たちに任せ、業を煮やして、“情報を持っている者”に直接聞きに来たのだ。

 “融和派”のアホどもを直接締め上げて、作戦部隊から情報を搾り取ってくれる。

 当代の領主であるハロルドの許可? あいつなら分かってくれるだろう。

 ハロルドという精強にして実直な男に、厚い信頼を置いている。

 今、フレイアが率いている戦力は1個分隊10人。

 そのうち、騎士が2人で、残り8人は兵士。

 騎士1人が兵士4人の直接指揮を執る。


「もうすぐ日が落ちる。準備しろ」

「はっ!」

 戦意を漲らせた兵士たちが自分の馬の元へと駆け戻って行く。

「ああ、鎧は脱いでおけ。ガチャガチャと五月蠅くては奇襲にならん」

「心得ております!」

 戦場慣れしているウォーレスの兵は打てば響く。

 王国きっての精鋭である王都の騎士団でも、こうは行かない。

 フレイアの口角が引き上がる。

「ふん。結構だ」


 フレイア自身は最初から鎧など身に着けていない。

 自身の戦闘スタイルが、そういったものではない、というよりも、鎧を着て戦場へ出る魔法術師など居ない。

 フレイアに、いくらか他の魔法術師と違う部分が有るとすれば、騎士や兵士と共に白刃を振りかざして敵の本陣へと斬り込むことぐらいか。

 騎士だろうと魔法術師だろうと敵を殺しに行くことに違いは無いのだから、誤差だろう。

 純白の片肩掛けマント(ペリース)の下、左腰に佩いたサーベルの柄頭を撫でる。


「すぐに行くぞ。ルナリア」

 夕日はすでに半ば地平線へと沈みかけている。


ちびっ子魔法使い⑱です。


このお話しで本章は最終話となります!

次回、新章! 幼女たちは勝負に出る!

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― 新着の感想 ―
わーお叔母様頼もしい。 鎧着ないってことは、鎧の代わりに防御の役割をする魔法とかもあるのかな?
面白いよ〜
ネチネチと揚げ足取りのようなクソ感想はやめてください。よのえんさん
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