表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/926

魔法使いの誕生 ⑰

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 ルナリアには発動できるようになった風ジェットカッターの絞る感覚を覚えて貰うために、色々な物にぶつけて貫通力を上げる試行錯誤を頑張ってもらう。

 さて、ここで魔石だ。

 ルナリアの頑張りを横目に、私も新たな試行錯誤の時間を始めよう。


 道具で電池からエネルギーを取り出せるのなら、魔法でダイレクトに電池のエネルギーを使えそうな気がしなくもない。

 地球の物理法則においては、電池だって使わずに放置しているだけでも自然放電して消耗するし、両端子に指を触れて電池に蓄えられていた電気が指へと流出すれば、そのうち電池は空になる。

 その場に家電機器が無くったって、電池のエネルギーを消費することは出来るんだよ。

 電球を光らせるだけの電流値と電圧を満たす適切な範囲で通電するなら、人間の身体を電線代わりに繋いでも電球は光る。


 魔石も同じなんじゃないかと考える。

 だって、自分の中に有るか外に有るかの違いで、そこにエネルギーは有るわけじゃん。

 あとの問題は魔石の中の魔力に干渉する方法だけ。

 自分の中のエネルギーを使うのが魔法で、外のエネルギーを使うのが魔法道具だよね?

 それは、魔法使いの術式を道具が肩代わりしているだけで、同じ理屈なんじゃないかな。

 試してみたい。いいや、試さざるを得ない。

 魔法道具が無くても魔石が使えるなら、私たちが自前の魔力を使い果たしていても魔法を使い続けられるということだし、魔石の魔力を有効活用できれば私たちの継戦能力は桁違いに爆上げされる。

 ゴミ穴を掘り返しに行く必要はあるけど、私の手元には風属性の魔石が40個以上ある。


 シカの魔石を握りしめて、掌の中に意識を集中してみた。

 私自身の胸の中に有る熱の塊とは違った感じだけど、固い石の中から「力」のような物は確かに感じられるね。

 この「力」に、ダンボール箱送風機みたいに干渉できないかな?

 掌から魔力を送り出して魔石の中へ私の魔力を侵入させられないか試みて、お? 反発するみたいに抵抗しやがるな。固めのスポンジを指先で押してるみたいな反発感がある。

 私の魔力と違うのは温度―――? いや、「質」かな。

 目を閉じて、魔石を握っていない方の掌に魔力を送り出して、自分の魔力の「質感」を変えられないものかと試してみる。


 私の魔力って、柔らかい? 体の外へ送り出しても暖かい「温度」は保っているような気がする。「熱」? ちょっと冷えてみてよ。

 体内の魔力を体外に押し出しているだけだから負担は微かにしか感じ取れない。

 魔力が冷えて「温度」が下がったイメージを思い浮かべてみると、掌の魔力が少し固くなった「感触」が有った。

 これ、イケるんじゃね? 両手の中の魔力をにぎにぎと握り較べて、自分の魔力の「質感」を魔石の方へと近付けていく。


「・・・お?」

 固めのスポンジみたいだった「感触」が柔らかいスポンジみたいになったね。引き続き、魔力の「質感」を近付けて行くと、フッと抵抗感が消えた。

 イケた? これ、イケたんじゃない?

 魔力の「質感」を保ったまま魔石に侵入させていくと、魔石の反対側に魔力が貫通したのが感じ取れて、自分が送り出した魔力の量よりも遙かに大きな魔力の塊が掌の中に存在する不思議な感覚が、私の体へと帰ってくる。


「・・・行け。ジェットカッター」

 魔石の向こう側にダンボール箱送風機をイメージして虚空に回転刃が発現した。

 回転する風が空気を切り裂く「シュ―――ッ!」という音が生まれるも、私の魔力を消耗している感覚は、ほぼ無い。

 体の外へと送り出した魔力の質感を変えるための僅かな変換ロスぐらいしか自分の魔力を消費していないのでは無いかと推測される。


「・・・ルナリア! 出来たよ!」

「ちょ! 何!? これ、何してるの!?」

 手の中の魔石を翳してみせると、ルナリアが駆け寄ってくる。

「・・・この魔法、魔石の魔力で動いてるんだよ」

「こんなの、聞いたこと無いわよ!」

「・・・自分の魔力は殆ど消費してない」


 魔法を使い続けると疲れる。

 現に、今の今までジェットカッターで木の幹に穴を空けて回っていたルナリアは、額に汗を滲ませている。

 私の口から出た言葉の意味するところを理解したようで、ルナリアは目を輝かせた。

「―――! やり方を教えなさいよ!」

「・・・当然」

 魔法を消した私に抱き付いてきたルナリアの柔らかな体を、私は抱き留めた。


 翌朝、目が覚めると同時に活動を開始した私は、格子状に組んだ小枝の上に草の繊維を混ぜた粘土を盛り付け、洞の入口を塞ぐ作業を進めていた。

「準備は終わった?」

「・・・うん。戸締まりも完了」


 ルナリアは軽く塩を振っただけの生肉に串を打って焚き火で焼いてくれている。

 朝食の準備をルナリアに任せた私は、無事に森を脱出できたら回収しに来るつもりで、干してあった乾燥工程中の干し肉も回収して壺に詰めて洞の中に納めた。

 1週間ぐらいで回収しに来られれば、塩漬け工程中のお肉も無駄にならずに済むだろう。

 洞の密閉作業が終わったから、この朝食を終えれば、私たちは戦いの旅路に出発する。

 粘土で汚れた手を洗いに小川へ行った際に竹筒の水筒6個に水も詰めてきた。

 蔓に通した完成品の干し肉は、遠回りで日数を掛けなければならなくなった事態を想定して、3日分をたすき掛けにして携行することにした。


 昨日のうちにゴミ穴から回収してきた魔石20個は、毛皮と蔓で縫った小さな巾着袋2つに10個ずつ詰めたので、ルナリアと私で半分ずつ首に提げて行く。

 愛着が湧いてしまったマグカップも置いていくわけに行かないから別の巾着袋に入れて腰に提げた。

 あとは、いつもの折れた剣を背中に背負って自作の槍を手に持てば、出発準備は完了だ。

 もちろん、不安は有る。けれど、昨夜寝るまでの間に少しでも風ジェットカッター魔法に馴染む努力を2人で続けた。


 現状で備えられるだけの備えはしたのだ。

 私の予測では、そろそろ敵の捜索網が洞の近くまで迫ってきていてもおかしくない。

 これ以上、この洞に居ては、リスクの方が高くなるだろう。

 今年の松の実の季節まで居られなかったなあ。

 そっと、松の大木に抱き付く。


「・・・今日まで護ってくれてありがとう」

 松の木にしばしの別れを告げて振り返ったら、涙目のルナリアが洟を啜っていた。

 私が我慢してるのに、何でルナリアが泣いてるんだよぉ。

「行こっか」

「・・・うん。行こう」

 互いに手を伸ばし合って手を繋いだ私たちは、同じ歩幅で歩き出した。


ちびっ子魔法使い⑰です。


野生児は原始人から文明人へと進化した!

次回、叔母様!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
洟って何と読むか分からず苦労した。 はな はなみず なみだ ググっても結局どれなんだよ? 鼻 鼻水 涙じゃダメなん?  
マグカップに対するこだわり!
還暦近いBBAが号泣しちゃったww 今夜、夜勤だから寝なきゃいけないんだけど かまうもんか、(今読める)最後まで この子達と一緒に行くから!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ