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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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魔法使いの誕生 ⑮

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「・・・岩塩鉱床が有ったらルナリアは嬉しい?」

「そんなの嬉しいに―――、有るの?」

「・・・うん。ちょっと待ってて」

 疑わしそうだから、洞から岩塩の壺を持ってくる。

「・・・これ。鉱床の規模は分からないけど、見付けた」

「うそ!? 本当に岩塩だわ! あ、そう言えば干し肉を作るのに塩が必要なのよね」

「・・・そう。お陰で、私は今日まで生き残れてた」

「すごい! お父様も叔母様も喜ぶわ!」


 ドヤ。

 ウォーレス家のお世話になるならウォーレス家に教えてウォーレス家で独占したいな。

 一方的に養って貰えるなんて儚い期待は持たないけど、干し肉を作って売るのを許して貰えれば家賃分ぐらいの収入は得られるかも知れない。

 交渉、出来たら良いなあ。

 ルナリアの目は壺の中身に釘付けになっている。


「何としても、この情報をウォーレス領へ持って帰らなきゃ」

「・・・そうなんだよね」

 私の目は手の中に有る魔石に釘付けになっている。

 情報をウォーレス家へ届けるためにも、敵の包囲網を突破するための武器が欲しい。

 敵は、腐っても兵士。折れた剣と手製の槍だけでは戦う力が足りない気がしてならない。


 魔法道具かあ・・・。

 武器に向くのは火の魔石で、手元に有るのは風と土の魔石。

 武器に火の魔石って、火炎放射器か何かにでも使うのかな?

 魔剣? は、有りそうだよね。地球産の兵器のイメージが強いせいか、火以外の属性と武器のイメージが上手く結びつかない。

 風の属性の魔法って何だろう・・・・・ドライヤー?

 体中の魔力を意識して指先に集め、焚き火を指してドライヤーの風を思い浮かべてみる。

 魔法は、イメージ。

 魔力を燃料に架空のファンが回って、周囲から集められた空気がファンに押し出されてドライヤーの風になる。

 焚き火の炎が私の指先とは逆方向に吹かれて揺れた。


「・・・おっ、風が出てる」

「また無詠唱で・・・」

 ルナリアは絶望的な顔をしてるけど、ちょっと待ってね。何か思い付きそうなんだ。

 体内の熱が温度を下げる速度の感覚に較べて風が弱い気がする。

 風が起こるメカニズムって気温差だっけ? 気圧差か。

 空気が暖められて膨張すると軽くなって上昇し、気圧が下がる。空気は圧力を均一化しようと気圧が高い方から気圧の低い方へと流れる。その空気の移動現象が「風」と呼ばれるものの正体だ。

 気圧差をイメージすると、少しだけ風が強くなったな。でも違う。こうじゃ無い。


 空気砲はどうだろう? 空砲じゃなくて、空気砲ね。小学校の理科の実験で遊ぶヤツ。

 ダンボール箱の1ヶ所に穴が空いていて、箱の横っ面を叩いて凹ませると箱の中の圧力が上がって、箱よりも断面積が小さい穴から押し出された空気が塊になって飛ぶ。

 ああ、圧力が掛かった空気が小さな空間を通ると断面積が減った分が速度に変換されて空気の移動差速度が上がるんだったね。

 立てた指先の向こうに空想上のダンボール箱をイメージして、ダンボール箱の中に空気をぎゅうぎゅうと詰めつつ、ダンボール箱に小さな穴を空けてみた。


「きゃ! ちょ、ちょっとフィオレ!?」

「・・・おおっ、ゴメン」

 ブワッと噴き出した風が焚き火を大きく掻き回して、火の粉混じりの灰が濛々(もうもう)と舞った。

 噴き出す風の強さは十分で、ダンボール箱に空気を詰める機能にドライヤーのファンを引っ付けてみた。

 一定の消費量で魔力が減りつつも、風は延々と噴き出し続けている。

 箱の穴をキュッと小さく絞れば―――、うおお!? 何だコレ?

 高圧洗浄機が水を噴き出すような「シュ―――ッ!」という鋭い音を立てて猛烈な勢いの風が噴き出し始めた。


「え!? えええ!?」

「・・・凄いな。コレ」

 指先を地面に向けたらゴリゴリと土が削れて地面に穴が空くぞ。

 何て言うんだっけ? エアーガン? エアーダスターガン? そんなの有ったな。

 ブシュー! って空気を吹き付けて、貼り付いたゴミを剥がして飛ばすヤツ。

 壁や柱にベタベタと張りまくられた違法な貼り紙を作業員が剥がしている清掃作業を、駅前の歩道橋で見掛けたことが有る。


 穴を小さく絞れば絞るほど、エアーは細く、強く、なる。そのくせ、反動も無く、体感魔力消費量も一定で負担が大きくならない不思議仕様だ。

 頭の中のダンボール箱送風機のイメージを、そういうものだと固定させたら魔力消費量が少しずつ減って段々楽になってきた。

 効率化・省エネ化が進んで、発動時間を延ばすか発動回数を増やすことは出来そうだ。

 私の順応性を舐めて貰っては困る。ネグレクトに順応して自活を始めた小学生だぞ。


 でも、この風を敵に向けたとして、敵が驚いて仰け反ることは有っても敵が倒れることは無い気がする。

 もっと絞ればケガさせるぐらいは出来るか?

 さらに絞られて細くなった風は地面を掘り下げる力を深くした。

 下から空気に押し上げられた地面がボコボコと捲れて耕される。

 ゴミ穴や落とし穴を掘るのには便利そうだよね。

ちびっ子魔法使い⑮です。


ご都合って言うのはね。帳尻を合わせるためにあるんだよ。

次回、ご都合は風を追い越し音速を超える!?

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― 新着の感想 ―
風の発生は地球の温度差による気圧差で発生するだろうけど、それはマクロな話であって、ミクロな環境でそんな気圧差つけたら近くにいる人間とんでもないことにならない?
64マイナス
岩塩鉱床の発見者としての権利確保しようね
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