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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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魔法使いの誕生 ⑫

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

 ご機嫌ナナメのルナリアちゃんは、未だ小枝を手に焚き火を突っついて攻撃中。

 コレはアレだな。気になることは有るけど、今は話題を変えて機嫌を直して貰った方が早いか。

「・・・が、崖が崩落してた場所が、この辺」

「結構、小川から離れていたものね」

 棒先で焚き火を攻撃し終えたルナリアが私を見る。


「・・・2キロメテルぐらい離れてる」

「また、あそこを通るのかぁ」

 眉根を寄せて、ぼやく。気持ちは分かるよ。

「・・・私も通りたいわけじゃないけど、他にルートが無いんだよ」

「わたしたちの現在地は、かなり敵勢力圏寄りということよね」

「・・・小川と崖の位置から言うと、そうなるね」

「せっかく距離を取った敵に自分から接近することになるけど、大丈夫かしら」

「・・・現状、私たちに有利なのは、居場所を把握されていない点だけど、早ければ昨日、遅くとも今日明日には、私たちが崖下に下りたことを察知されてると思うよ」

「足跡や痕跡なんて、そんなに簡単に見付けられるものなの?」

「・・・敵の誰かが斥候か猟師の技術を持っていれば、間違いなく見付けるだろうね」

「この広い森の中でわたしたちの痕跡を見つけ出せる敵が罠に引っ掛かるのかしら」

「・・・知恵比べだけど、引っ掛かってくれると祈るしか無いね」


 とは言っても、こっちの世界での狩猟は主に弓と魔法を駆使して行うのが一般的みたいだから、ワナに慣れている兵士や猟師は少ないんじゃないか、というのが私の見立て。

 異世界現地人のルナリアもワナを見たことが無いって言ってたしね。

 追跡技術と殺傷技術は全く別種のものだ。


 第二次世界大戦やベトナム戦争の従軍経験者なら兎も角、現代の地球の兵士でも、日本のワナ猟師ほどワナに特化して技術を磨いている者たちは、そう多くないのではないか。

 弓や槍の名手がワナに詳しいとは限らないし、熟練の斥候や猟師でターゲットの追跡が得意でも、ワナの技術がどういったものかを知らなければ引っ掛かってもおかしくない。

 敢えて足跡を消さずにワナをカムフラージュする小細工もしてきたし、こうなったら本当に私と追跡者の知恵比べとしか言い様がない。


 地球人類の歴史は工夫と殺戮の歴史だ。

 各地の大陸では些細な理由から常に民族間で滅ぼし合い、日本列島なんて小さな島国でも1000年近くもの間、単一民族の中で殺し合いを続けてきた。

「戦争は発明の母」、「平和は次の戦争の準備期間」などと偉い人たちが大真面目に語る好戦的な生物が地球人類なのだ。

 敵を殺すために工夫が凝らされ破壊と殺戮が次の工夫を生み出す。

 狩猟だけじゃなく凄惨な戦争でも編み出された「生物を殺し、物を壊す」手段に関して、地球人類ほど洗練された技術を持っている生物はいないんじゃないだろうか。


 こっちの世界と地球の気になる違いと言えば魔法技術の存在だが、竈の火を熾したり飲用水を出したりの日常生活に用いられる程度の魔法なら使える者は多くても、戦闘で使用されるほど強力な魔法を行使できる術師は、それほど多くないらしい。

 そう言われて記憶を探ってみると、ルナリアを助けた事件現場でも暗殺部隊の男たちは一様に弓や刃物に類する物理攻撃用の武器を手にしていて、魔法使いっぽい雰囲気の者は一人も居なかった気がするね。

 地球基準の常識を覆すマジカルパワーでワナを察知されるとか、前提条件をひっくり返されるので無ければ、私たちにも勝機はあるだろう。

 この実在するのかどうかも知らない「ワナ察知の魔法」から連想するに至って、対人レーダー的な超技術が使える魔法使いが暗殺部隊に居れば、私たちは洞まで帰ってくることさえ出来ずに殺されていた可能性に気付いて、敵の戦術ミスあるいは戦力不備に感謝した。

 いや、何らかの理由で使っていなかっただけ、ってことも有り得るのか。


「罠を察知する術式?」

「・・・うん。有るのかなって」

「有るわよ。迷宮探索をする冒険者の中には使える術師が居るらしいけれど、そんなに高度な術式を使える術師なら、“融和派”のバカ貴族に仕えることなんて無いわね」

「・・・そうなの?」

「“融和派“の連中は贅沢やワイロに使うおカネは有っても、領地を守る兵力を整えるのに使うおカネは無駄だってバカだもの。優秀な魔法術師に高い給金を払ったりしないわ」

「・・・納得した」

 そんな感じかあ。

 日本の政治家にも居たなあ、そんな奴ら。


「・・・対人レーダー的な魔法はある?」

「たいじんれえだあ? 何それ?」

「・・・離れた場所に居る人間を探知―――、探し出したりする感じ」

「人間を探し出す・・・。聞いたこと無いわね」

 無いのか。

「・・・安心した」

「フィオレって面白いこと考えるのね」

「・・・そんなのが有ったら隠れていてもバレるなあ、って思っただけ」

「叔母様が食い付きそうだわ」


 好きな人は好きだよね、そういうの。

 軍事技術(ミリタリー)系の発想や概念って軍事に興味が無くても驚かされるし。

 対人レーダーの魔法が無いならスニーキングを見破られることは無さそうか?

 「有ったら良いな」から新しい発想が生まれるのが世の常だし、ルナリアが知らないだけかも知れない。

 その可能性の方が高いかなぁ。

 無機物のワナを探知できるなら有機物の人間を探知できない道理は無い気がするし。

 魔法じゃなくても勘の良い人の直感は侮れないんだから要注意だな。

 スニーキングっていうのは潜入・脱出作戦での隠密行動を意味する用語。

 英語では「こそこそ動く」って意味で、靴音が小さいスニーカーの語源でもあるけど。

 こそこそするの得意だからなあ、私。

 家庭に問題を抱えている人間が目立つとロクな結果にならないんだよ。

ちびっ子魔法使い⑫です。


みんな大好き、魔法の話!

技術体系が違うと戦術も変わりますよね!

次回、作戦決定!

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― 新着の感想 ―
詳細を知らなくてもそういう戦術や兵器があると知っているだけでも大きな力になるからなぁ。 この世界の戦術や戦略がどれ程発展しているかは知らないが、地球程とは思えない。前に喚ばれた者に軍事に詳しい人が居た…
道中で欺瞞工作しても焚火して肉炙るのはほんと気になるとこだ
こいつらいつまで火をたいたりぺちゃくちゃ喋ってるの? 正直1時間もしないうちに暗殺者ってのに見つかって殺されてる 結構細かく書いてるからよく考えてるのかと思いきや、なにこの構成 勿体ないこれじゃ★2
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