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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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魔法使いの誕生 ⑪

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「・・・魔獣かあ。一度見てみたいな」

 美味しいのかな?

 パッとルナリアが私を見た。

「えっ?」

「・・・えっ?」

「・・・・・・・はぁぁぁぁ」

 本気で私が分かっていないと察したのか、目元に手を当てている。

 何? どうかした?


「魔獣の特徴がどういうものかは知ってる?」

「・・・いや。知らんけど」

 凶暴とか獰猛とかって話は、ついさっき聞いたけど、特徴?

「鹿を捕ったときに宝石みたいな石が出て来なかった?」

「・・・ああ。心臓のヤツかな」

「その石が魔石。体の中に溜まった魔力が石になった物って言われてるわ」

「・・・もしかして、その石を持ってるのが?」

「そうね。魔獣よ」

「・・・ええっ!?」

 マジで!? この半年、めっちゃ食べてたんだけど!


「・・・アレ、食べて大丈夫なの!?」

「そりゃあ大丈夫でしょ。魔獣の肉は普通の肉よりも美味しいって言われてるぐらいだし」

「・・・そ、そっか。良かった」

 本気で背中がヒュってなったよ。

「魔獣」と「魔物」の呼称の違いは主に「食べられるか、食べられないか」らしい。

 分かり易くて良いね。違和感無く受け入れられる。

 ドラゴンも「魔獣」らしい。すごく食べてみたい!


「まったく。何に驚いてるのかと思えば」

「・・・干し肉たくさん作ったのに毒でも有ったらどうしようかと」

 私の生命と存続に関わる重大問題だよ?

 なんでビミョーそうな顔するの。

「ああ、そっちね」

「・・・何かヘン?」

 そっち、って、どっち?

 困った子を見るような視線が痛い。


「ううん。分かって狩ってるものだと思ってたから。そういえば、魔獣自体を知らなかったのよね」

「・・・うん」

「さっきも言ったけれど、魔獣って普通の動物よりも獰猛だし、動きが速くて強いのよ。美味しいのが分かっていても手が出せない程度には狩るのが難しいの」

 そうだったっけ?

 評価の違いは狩猟道具の違いだろうか。

「・・・シカが強いかどうかは知らないけど、速そうではあるよね」

 おっと。ジト目が飛んできた。

「この森にはレイジングボアやバジリスクも居るのよ?」

「・・・ボア? ああ、イノシシか。粘るからトドメがなかなか入らなかったなぁ」

「・・・・・」


 毛皮のボアって意味で言ってるんじゃないことぐらいは分かった。

 期待したのに、あれは悲しい思い出だよ。

 タフと言うか、ガッツが有ると言うか、50回ぐらい槍で突かないと死ななくて、穴だらけになった大きな毛皮は使い道が無くなって、穴を縫い合わせて補修する道具も無いから廃棄処分にするしか無かった。

 なんで頭を抱えてるの?

 話を逸らすか。


「・・・ば、バジリスクってどんなの?」

「見た目は大蛇ね。とんでもなく大きくて、こう、角みたいな器官が出てるのよ」

 ルナリアは人差し指を立てた手を額に置いた。

 分かった! アイツだ!

「・・・触角ヘビ! アイツ、生臭くてあんまり美味しいと思わなかったよ」

「バジリスクも狩ったのね・・・」

「・・・どしたの?」

 自分の額に手を置いたルナリアが、イヤイヤイヤって感じに首を振る。


「レイジングボアもバジリスクも、騎士団でも、最低でも5人掛かりで討伐するものなの」

「・・・5人も要るかな?」

 正直な感想。

 一瞬、遠い目をしたと思ったら、バシンと自分の膝を平手打ちしてキッと私を睨み付けてきた。

「普通はそうなの! バジリスクは見付けるのが難しいし大人でも一呑みだし猛毒を持ってるし! レイジングボアは凶暴だし頑丈だし突進されると危ないの!」

 ああ、なるほど。


「・・・あのヘビ、捌いた後に毒袋を見付けてびっくりしたよ」

「騎士団でも毎年ケガ人が出るし、本当に危険な魔獣なんだからね!?」

「・・・そっかぁ。私のときは、イノシシはククリに掛かって動けなかったし、触角ヘビは洞の入口で詰まって動けなかったもんなぁ」

 自由に動ける状態の獲物と向き合ったことは無かったな。

 そう言われれば難易度が上がるのも理解できる。


「むー!」

「・・・分かった! 気を付ける! 気を付けるから!」

 伝えたい深刻さが伝わっていないと思ったのか、ルナリアが涙目で膨れてしまった。

 危険を分かっていないわけでは無いけど狩猟スタイルの違いだろうからなあ。

 触角ヘビもイノシシも、行動制限が掛かっていない相手と向き合ったときの対処方法を考えておくに越したことは無いんだけどね。


 アナコンダとか大型のヘビの補食方法は獲物に全身で巻き付いて圧殺するんだっけか。

 毒を持ってるタイプは、毒を飛ばしてくるタイプと噛み付いて毒を注入してくるタイプに分かれる。

 触角ヘビの解体検分では毒袋の他に、獲物の体に毒を注入するために使うストロー状の毒牙を持っていて、噛み付いて毒を注入してくるタイプだと断定できた。

 木の上で待ち伏せて頭上から襲っている生態だと予測は付いているから、締め上げよりも噛み付きを防御する方の優先度が高いだろう。

 締め上げられても幼女の短い腕が届く範囲内に敵の胴体が有るのだから攻撃は当たる。

 あとはもう、どちらが先に息絶えるかの我慢比べだ。

 勝ち目は薄そうだから正面切ってのガチ肉弾戦をせずに済むように祈ろう。


 イノシシなんてものは、まあ、彼らの習性を表す言葉に猪突猛進という熟語が有るけど、勇敢に突進してくる様を表しているだけで、イノシシだって生き物なんだから単純に真っ直ぐ一直線の軌道で突っ込んでくるわけではない。

 イノシシに限らず四つ足の野生動物と接近戦を挑もうとするのは間違いで、筋肉と皮下脂肪に護られた低重心の体勢を崩すのは至難の業だから、急所を一撃、なんてことがそもそも難しい。

 私的には自由を奪って動けなくしてからチクチクと体力を奪うのが正道。


 そうは言っても簡単に自由を奪える状況なんて作り出せないから猟師は猟銃なり弓なりの飛び道具で遠隔攻撃を加えるのだけれど、熊でもそうだけど、頭骨が頑丈だから入射角によっては銃弾でさえ弾かれることがある。

 野生動物なんて普通は狩るのが難しくて当たり前なんだよ。

 私はワナで自由を奪うスタイルだから、正面切って戦おうだなんて端から考えていない。

 鉢合わせた時点で逃げるが勝ちだし、精々、鉢合わせないように祈るまでだ。

ちびっ子魔法使い⑪です。


ドラゴンは飲み物です!(食べ物です

次回、会議中です!


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― 新着の感想 ―
そんな魔獣を罠にかけたとはいえ普通に狩れるとか転生したからなのか元の身体のスペックが高かったのかはわからんけどだいぶポテンシャル高そう
魔力持ってるのに一般的な生物強度なのね。 鉄の剣でも普通に通じるよね。
ククリ罠の出来が良かったのと、素材が魔の森産で頑丈だったからかな あとは魔の森で罠猟なんてする人間はこの世界では異例なのだろう 魔獣たちもククリ罠なんて見たことも無いから警戒しなかったんだろうね
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