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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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魔法使いの誕生 ⑨

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「・・・それ、この周辺の地図?」

「うん。大雑把だけれど」

 位置関係が分かるだけの略図でも、重要な情報だよ。

「こんな感じ、だったはずよ」


 地図を大きくブロック分けすると、東西に未開拓地の森と開拓済みの貴族領地の二つが有って、東側が森で西側が貴族領地ね。

 ニキビ治療薬の説明図を横向きにしたような、くの字に出っ張ったニキビの部分が、私たちが居る森か。

 ニキビ説明図で言えば、南北に健康な肌を示す直線ラインを示す部分が、あの崖らしい。

 崖から向こうの東側全域は、前人未到でどこまで続くかも判明していない馬鹿デカい森が延々と続いているんだってさ。


 ムーア領は、くの字の上半分の端っこに面した小さな領地で、ムーア領との境界線からくの字の書き始め付近までが別の貴族の領地。

 この「別の貴族の領地」がコーニッツ子爵領。

 ルナリアの実家であるウォーレス侯爵家の領地は、くの字の下半分で森に面しているから、ムーアの町は二つ隣の領地の首都ということらしい。


 コーニッツ領の北側に隣接する、くの字の書き始めの領地がムーア領で、コーニッツ子爵はムーア男爵と同じく“融和派”に属している。コーニッツ子爵とムーア男爵は縁戚関係にある「寄り親」と「寄り子」。要するに、親分と子分で一蓮托生。

 そのコーニッツ領は特に、税率が高いのに領民には何もしてくれないコーニッツ領からの流出民の問題で、最近はウォーレス領と険悪になっていて、自領民の流出にも無頓着なコーニッツ領はムーア領からの流出民も素通りさせていて、そこに“融和派”と“保守派”の確執も加わって、ルナリアを暗殺しようとした勢力は、コーニッツ子爵かムーア男爵の手勢である可能性が高い、と、ルナリアは確信を持っているようだ。


 ルナリアが暗殺部隊にカマを掛けたら、ほぼ認めちゃっていたしね。

 私も目撃者の一人で、ルナリアと指揮官っぽい男の会話は聞いちゃったし。

 なるほどねえ。コーニッツ家とムーア家は同じ派閥で仲良し、というか、もともと親戚関係に近いのか。


 私たちの現在地点は? と言うと、目印になるのは、やはり小川と崖だよね。

 ルナリアの記憶が確かならば、私の生命線である小川は、コーニッツ領とムーア領の領界線だったはず、だそうだ。

 ウォーレス侯爵領は隣国との国境線となる大きな川を水源として持っていて、小さな小川は森から離れた領内の西側へ行かないと無いらしい。

 それって、あの小川を下っていくと、そのうちウォーレス領に入れるってことかな?


 違うらしい。というか、飲用水になる小川や井戸の正確な情報は秘匿される軍事情報の一つだから、他領の小川がどう流れていてどこへ流れ着くかまで細かく把握できないのが普通だそうだ。

 流れて行く先が分からないなら小川を下る案は無しだね。

 くの字の出っ張りの頂点から少し上側の位置で森へ入った小川は、緩い蛇行線を描きながら東へと向かっていて、森を南北に縦断する崖の真ん中辺りで谷の合間へと入り、滝壺を更に数十キロメートル東へ遡った辺りで終わっているらしい。


 私の洞は、くの字の頂点側の上半分、崖と小川の交差する付近に有る。

 くの字の書き始めと書き終わり―――、上端と下端の距離は、おおよそ20キロメートルほど有るらしく、くの字の頂点から崖までは10キロメートルも奥行きはない。

 位置関係から見ると、私が崖下を探索した際は崖に沿って南下していたわけか。

 絵で見ると崖下の森はそんなに深くないけれど、探索の起点となる小川が北寄りに位置しているから、5キロメートル進んでも森の終わりに辿り着かなかったんだなあ。

 崖下を崖に沿って南下すれば、7~8キロメートルほどでウォーレス侯爵領に出ることが出来そうで、あのとき私が探索をやめて引き返さず、もうちょっと足を伸ばしていれば、ウォーレス領側に森を抜けていたわけだ。


「ウォーレス領に近い森の出口は伏兵を置いているはずよ」

「・・・だろうね」

 兵法や用兵術なんて私は学んだことが無いけど、森の中から逃げ出す獲物を待ち伏せするなら、森の中を無闇に探すのでは無く、私だって森の出口を固める。

 出て来る場所が絞れているのなら、無駄な場所に人員を配置したりしない。


「・・・でも、ウォーレス家の森に兵士を置いているのがバレたら問題になるよね?」

「ならないわよ」

「・・・ええ?」

「“魔の森”は、どこの領地でも、どこの領土でも無いもの」

「・・・そうなの?」

「管理できもしない森の領有を主張したって笑い物になるだけだわ」

「・・・宣言するだけならタダ、って気がしなくも無いけど」

「大昔にカリーク公王国が森を開拓しようとして領有宣言したけど、大失敗して大陸中で大恥をかいたのよ。表舞台に立てなくなった当時の公王が退位して、新公王が領有宣言を撤回してから“魔の森”は誰の物でも無いの」

「・・・そういうことか」


 カリーク何たら国ってルナリアの国と仲が悪い隣国だっけ。

 やらかした前例があるから誰も手を出さない、と。

「戦争中ならともかく、伏兵を見付けても、訓練だ、って言われたら手出しできないのよ」

「・・・同じ国の貴族なら余計に、か」

「あんなのでも一応は王国貴族だから、下手に手を出すと国王様に叱られるわね」

「・・・なんて面倒くさい」

「そうなのよねえ。わたしたちが上手く脱出できたら、一気に潰せるんだけど」


 事実上の敵が潜んでいても、先手を打っての排除はできない。

 確たる理由も無く排除できないのが分かっているから敵が居座っている。

 どのみち、敵中突破を避けられないなら、どうする?


ちびっ子魔法使い⑨です。


アクネクリーム!(何となく

次回、生態系的な話です!

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― 新着の感想 ―
最近、なろうのコメントはひどいね。 感想欄閉じた方がいいかも?
ペースが遅すぎる。そろそろメインストーリー書けや
マイナス良いが欲しい。
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