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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 7000万PV・書籍版第1巻2巻2026年1月10日同時発売・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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血塗れの精霊 ⑦

趣味で書いていた異世界転生ファンタジーです。


人様の目に触れさせるのは初めてのことなので躊躇いましたが、思い切りました。

雑で拙いかもしれませんが、異世界に見る夢を共有していただければ幸いです。

「―――きゃ・・・!」

「・・・こっち」

 よく通る声で悲鳴を上げられる前に、背後から肩を抱くように回した手で女の子の口を塞いで黙らせ、手を引く。


 この子、強張った手が冷たくなって震えてる。

 虚勢を張ってたけど、やっぱり怖かったのかな。

 ぱたぱたと駆ける女の子の靴音が気になるけど、戦闘現場はもっと騒がしいから、誰の耳にも届かなかったと信じたい。

 女の子を溝の底へと引き込んで、真っ直ぐに彼女の目を見つつ、私は自分の口に人差し指を当てた。

 「黙れ」という意図を彼女はすぐに理解したらしく、緑色の目をぱちくりと瞬きながらも自分の口を手のひらで塞いだ。


 この子、本当に可愛い子だね。

 育ったら、もの凄い美人になると思う。

 公爵家? 侯爵家? って騎士様が言っていたから、この子は貴族階級なんだよね。

 連綿と美男美女同士を掛け合せたトップブリーダーの所業、恐るべし。

 地球知識の偏見と思い込みによる、単なる私の想像だけど。

 現代イギリスの貴族でも美男美女とは形容しがたい人は居るからね。


 どうでもいい想像で恐怖心を誤魔化しながら、溝の壁を背に耳を澄まして戦闘現場の様子を探る私は、目を見開いて凝視している女の子の視線を横っ面に感じ続けている。

 ・・・ヨシ、戦闘はまだ続いている。

 がんばれ、騎士様たち!


 くいっと女の子の手を引いてから、私が先に立って溝の底を中腰で移動する。

 ちらりと後ろを顧みると、女の子も大人しく中腰で付いてきている。

 そうそう、静かにね。

 ただでさえ、あなたの真っ赤なドレスは目立つから。

 溝は戦闘現場から100メートル先まで続いているし、塹壕みたいに先が見通せないから一瞬で居場所がバレるって事態は避けられるはず。

 いつバレるかとハラハラしたけど、ほんの数分で溝の出口まで移動できた。

 現場から見えない側の木の陰へ転げ込むと、女の子も転げ込んできた。


「・・・靴と靴下、脱いで」

 ぶっきらぼうで、ごめんよ。

 人間と話すのは半年ぶりだし、もともと得意じゃないんだ。

 ていうか、言葉、通じてるよね? ぼっちは独り言が多いし言葉は忘れていないはず。

 大人しく付いてきた女の子は、きょとんとして深い緑色の大きな目を瞬いた。


「どうしてですの?」

 偉いよ。ちゃんと声を潜めている。

 言葉が通じているようで私は安心した。

 ちゃんと状況が分かっているみたいだから、しっかりと目を見て直球で返す。

「・・・靴だと足跡が目立つから」

「ふむ。なるほど」

 納得した? 問答している時間は無いから、出来れば急いで欲しい。


「生き残りたい? 騎士様と一緒に死にたい? ・・・選んで」

「分かりましたわ」

 私がじっと見つめると、軽く一つ頷いた彼女は、膝を立てて革ブーツの紐を解き始めた。

 深窓のお嬢様が裸足で歩けって言われているのに、意外と軽いな。

 深窓だよね? 大声で怒鳴り散らしてたけど。

 脱いだブーツをどうしたものかと悩んでいる様子だったので、彼女の手から取り上げて、片足ずつ靴下を突っ込んだブーツの紐を纏めて結んで、私は自分の首に掛けた。


「・・・行くよ。私が踏んだ場所だけを踏んで、付いてきて」

「あ、あの、ニンフ様?」

 にんふ? 妊婦? 何?

「・・・急いで。・・・騎士様たちが頑張っている内に」

「あっ、はい」


 腰を低く、身を屈めたまま、厚く積もった落ち葉や地面にへばりついて生えている雑草の上を選んで歩く。

 私に手を引かれている女の子も、足元に集中している。

 良い子だね。聞き分けが良くて助かるよ。

 槍と女の子の手で両手が塞がっているから、私も自分の足元に集中したい。


 すぐに溝が終わったから、木々の太い幹や大岩を遮蔽物として戦闘現場との間に挟むように意識しながら、駆け足で現場からの距離を稼ぐ。

 衝動的にやっちゃったけど、連れてきちゃった以上は、一先ず洞の寝床へ帰って逃亡の計画を練ろう。

 寝床の樹の周辺にブービートラップを仕掛けておけば、いくらかは足止め出来るかな?


 ワナ猟が趣味になってから、ベトナム戦争で使われた対人ワナも、色々と知識としては知ってるんだよね。

 平和な日本では実際に作る機会は無かったけど、獲物の心理と行動を予測して仕掛けるのは同じだから、試してみても良いんじゃないかな。

 追手に怪我人を増やして追跡を断念させるもヨシ、追手が殲滅してくれれば、なおヨシ。

 軍隊基準では、人員の30%が損耗すると全滅、50%が損耗すると壊滅、敵を100%殺しきるのを殲滅と呼称する。


 殺し合いの現場から助けちゃったのだから、追手に見つかれば私も殺されるのは目に見えている。

 だったら、殺すのを躊躇っちゃいけない。

 追手は可能な限り殺しきるしか、私が生き残る道はない。


森の小人さん⑦です。


銀髪と来れば金髪!(真理

次回、君の名(ゲフンゲフン

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― 新着の感想 ―
ここまでファンタジー要素なくあくまでもリアルを追求したドキュメンタリー作品として描かれてたのに急にご都合主義発動しだすの意味わからん 要するにあれだろ?ヤクザの抗争の中に7歳の女の子が抗争相手のターゲ…
ここまで人間に対して危険しか感じてないのに助けるとは。 子供に弱いのかな。
言語が違うって描写があるのに、ちょくちょく日本語や英語のダジャレネタが入ってくるのはノイズでしかないなー 萎える
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