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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第1巻2巻同時発売中・コミカライズ企画進行中!】  作者: 一 二三


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生態系の覇者 ㊸

 何だコレ!?

 毒物だったら困るから嚥下はしない。

 普通なら舌の上で転がして刺激や苦味やエグみで危険度を測るんだけど、口の中一杯に広がって全てを塗り替えるような甘みで他の味が分からない。


 刺激も無いし、特に気にするほどの臭みも無いな。

 何だろう? 人工甘味料の原液を舐めた感じ?

 砂糖やハチミツよりも口の中に甘みが強く残る気がする。


「ちょっ! フィオレ!?」

「直ぐに吐き出せ!」

「何してるんですか!」

 一斉に飛び掛かられて両手首を取られた!


 ノーノー! 分かってる、分かってる!

 吐き出すから! ぺっぺっ!

 捕まった宇宙人状態で言われた通りに吐き出したけど、お母様はまだ収まらない。


「毒だったらどうする気だ!」

「・・・そ、それを確かめようとしてたんだって」

 ゴメンナサイ! 嘘じゃないけど、半分ぐらいはおカネの匂いに釣られました!

 私の本音は見破られているようでお母様がジト目を向けてくる。


「本当か?」

「・・・さ、砂糖が採れるんじゃないかと思うと興味を抑えきれませんでした」

「「「「「砂糖っ!?」」」」」

 残りの半分を白状すれば大きな響めきが上がって女性陣の目が蜻蛉の親玉へと集中する。


 ウォーレス領では、生産量の少ない甘味はほとんど流通していない。

 お母様の思惑は他の女性陣とは違うのだろうけど、お母様でさえ蜻蛉の親玉へ目が向いたぐらいだからね。

 どれだけ感心が高いのかがよく分かる。


「蜻蛉の血―――、体液にか?」

「・・・多分そうじゃないかと思って確かめてみました」

 お母様は私が取った行動の理由を理解してくれた様子だけど、別方面からも疑念が飛んでくる。

 育ちの良い貴族子女を絵に描いたような人物、バルトロイさんだ。


「ちょっと待て。虫の体液を食用にするつもりか?」

「・・・何か問題が?」

 あえて、指摘の意味が分からないというように首を傾げて見せる。


 虫と食物の関係にネガティブなイメージが有るんだろうね。

 いや。生理的な部分かな?

 まあ、この辺りの反発は予想の範疇だよ。


「問題以前の問題というか、虫だぞ」

「・・・バルトロイ叔父様はハチミツを召し上がったことは?」

 無いってことは無いよね?

 こっちの世界にもハチミツは有って、果物以外では稀少な甘味だからね。


 稀少ってことは高価ってことで、高価な食物が口に入る人たちは、生産者自身か支配者層だと相場が決まっている。

 しかも、バルトロイさんは王国内で貴族の最上位に位置する公爵家の嫡男だ。

 王家のスペアとも言える貴族の中の貴族が口にしたことが無いなんて状況であれば、国家として経済的に末期症状と言える。


 そして、幸いなことに王国の経済は末期症状とは程遠い。

 だったら、バルトロイさん口にしたことが無いなんてことが有るわけがない。

 私の推測通り、バルトロイさんが頷いて返して来る。


「無論ある。しかし、ハチミツは蜂が集めてきた花の蜜だろう。体液とはわけが違うのではないか?」

「・・・あ。それ間違いですよ? 蜂は確かに花の蜜を集めてきますが、蜂の唾液と混ざってハチミツは甘くなるんです」

 よく有る認識の誤りを正す説明としては少し乱暴だけど、間違った説明ではないはずだ。


 蜜胃と呼ばれる臓器に花の蜜を吸い上げた蜂は巣で蜜を吐き戻すのだけど、蜜の水分を飛ばして保存性を高める際に口を使って蜜を広げるから結果的に唾液が混ざる。

 バルトロイさんは心理的に衝撃を受けた様子で愕然とした表情を見せた。


「唾液・・・だと?」

 唾液に含まれる酵素が分解や発酵を促進して甘みや旨味を高める例は他にも存在する。

 口噛み酒が典型例で、穀物やイモ類や木の実なんかを口で噛んで唾液と混ぜ、発酵させたものがお酒になる。


 漬物のキムチだって、生産地によっては唾液を混ぜて漬け込むことで発酵を促す製法を用いる。

 どう考えても不衛生だし心理的に忌避感を抱くのは理解できるけど、発酵という過程そのものが微生物に食物を食べられた結果よる現象だからね。


「・・・ご想像の通り、唾液とは体液です。虫の体液だから食用に向かないとは限らないのですよ」

「そういうものなのか」

 魔法の研究者で学者さんとも言えるバルトロイさんは、専門外の分野で有ってもさすがの理解力と柔軟性を発揮する。

 衛生観や倫理面から制止する者がいなくなれば、後は本能的な欲求と経済的な思考に場が支配される。

 そわそわした様子で見守っている女性陣の圧力に背中を押されるように、お母様が私に目を向けてくる。


「毒性は無さそうなのだな?」

「・・・念のため、もっと加熱して殺菌した方が安全だと思うけど、少量を口にしたぐらいで問題が起こる感じでは無さそうかな」

 私の答えを受けて、スススと現れたミセラさんが女性陣を代表するようにお母様の許可を取りに行く。


「レティアに持ち帰って研究させますか?」

 研究させろと。

 ミセラさんたちは甘いもの好きだしエゼリアさんたちもミセラさん側だ。



生態系の覇者㊸です。


新たな特産品!?

次回、モルモット!?

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― 新着の感想 ―
おはようございます。 まぁアブラムシみたく植物から吸った(自分には)余計な分の糖分を蜜に変えるやつも居ますからなぁ…。そっち系のやつなら上手く流用可能かも?
電撃使う種が みんな甘い体液だったりすると 種ごと絶滅の危惧だな
こういう時に交易がある敵対勢力があるの便利だね!www
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