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早春:道端の花々(むらさき)

温暖な瀬戸内の春は、足元からそっとやってくる。

まだ肌寒さの残る中、まずはスミレが花ひらく。


挿絵(By みてみん)


アスファルトの隙間から、点々と春を告げる。


次いではこちら。


挿絵(By みてみん)


ツタバウンラン。

石垣にへばりつくようにして咲く、とても小さな淑女である。


「ここがあたくしの城。他の場所へは行きません」 とでも言いそうだ。


そして、ぐん、と暖かくなってきた陽射しの中で、ホトケノザの鮮やかな赤紫が頭をもたげる。


挿絵(By みてみん)


この花を見るとついでに観たくなるのが蓮華だが、こちらはついぞ道端では見掛けない。


幼い頃の春の記憶に、一面の蓮華田がある。畔道(あぜみち)の端に群がり咲く蓮華を摘んで持ち帰ると、祖母や母が牛乳瓶に入れて窓際に飾ったものだ。


何年もたって、いつの間にか田に蓮華が咲かなくなった時初めて、あれは人の手によって種が蒔かれていたのだと知った。


それからまた、数十年。

蓮華田はすっかり、思い出の中だけの景色になってしまった。


春がくる。当たり前のように、去年咲いた花が同じ場所で咲く。

お帰りと言いたくなるような、言ってもらっているような。


しかしまたどこかでは、春がくる度、当たり前でなくなる景色も増えているのかもしれない。

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バナー製作:秋の桜子さま
― 新着の感想 ―
[良い点] 春の画像をありがとうございます。 そのうえ、今までムラサキゴケとツタバウンランの区別がついてませんでした! 勉強になりました、感謝です!!
[良い点] 小さな春たちの写真がとても愛らしく可愛いです! 蓮華田、キレイでしたよね~~ スミレ、娘が摘み取って渡してくれるので、小瓶に入れて飾っています ツタバウンラン。名を知りませんでした …
[良い点] おお……結構見かける花々ですね。 そういうものだったのか……ふむふむ。 そして、なんと情緒豊かな幼少期の思ひ出……! さすがされっきー姐さん……! ……あ、こっち見んといて下さい、カン…
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