冬:ネリネ
ネリネを初めて見たのは、淡路島の国営公園の特別展示だった。
印象深い花である。
まず、そのネーミング。
ギリシャ神話の 『海の女神』 にちなんだと言われる学名である。
ネーレーイス、実は1人ではない。海関係の神様っぽい人たちの娘として生まれた姉妹の総称。
複数の花が集まるこの多年草に、実に相応しい。
きっと名付け親は、博識でロマンチストの英国紳士だろう…… などと勝手に妄想して楽しんだものだ。
その展示では、ネリネの中でも 『ダイヤモンドリリー』 と呼ばれるものが多かった。
陽光浴びてキラキラと輝く花弁が珍しく、飽きず眺めた思い出がある。
…… が、まさかこの冬。
我が家においでになろうとは。
いや、葉っぱは引っ越し当時からあったの、知ってる。
雑草じゃないっぽいから、抜くのやめとこうと、ずっと放置してた。
ついでに、存在そのものを忘れていた……
そんな、今頃になってである。
花の少なくなった庭に、急ににょきにょきと伸びてきた茎と目立つピンクの蕾。
「あんたいたの。そして誰っ!?」
と思ってるうちに花が開き、ますます驚いた。
この、犬でいえばコリー様、猫でいえばペルシャ様なイメージのお方が、こんな手抜き上等の庭にひっそりといらっさるだなんて…… 『生えるとこ間違えてますよ』 と忠告してあげたいところだが。
まー、しょうがないよね!
後に調べたところによれば、ネリネは実はヒガンバナの仲間だそう。
…… 『こんなところに畏れ多くも!』 とは思わなくて良さそうです(笑)




