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さらば水着。楽しい楽しいバーベキュー。






 春はあっという間に過ぎ去って、季節は夏になりました。今日はギブの念願だったスイカ割りをやりたいと思います。

 僕だってオークの頭割ってばっかりじゃ無いんですよ? 割ったら赤いのは同じだけどね。

 今日は新鮮組オーク即斬はお休みですぅ。たまには働きたくないんですぅ。


 冒険者ギルドでスイカ割りの話をしたのが間違いだったのか、かなり多くの人が話を聞いてしまいました。なのでどうせならと思って沢山の人に声をかけて回ったよ。


 モカちゃん、マーズちゃん、ギブ、ベスちゃん、ミラさん、シェリーさん、他にも受け付け嬢が二人、ターキ、懐かしのカイザーさんのパーティー全員、駄目元で声をかけたベルフさん、教会の神父様にシスター二人、孤児院の子供達、団子屋のエルフ夫妻、バススさんにアマルさん、もう凄いことになっている。


 モウメスさん、キジャさん、ライノス達三人組はお仕事、モカちゃん達のお姉さんのサラさんもお仕事が抜けれないんだって。

 エルフのリフレさんにはやんわり断られたよ。人数が五人以下の時に誘って欲しいってさ。


 僕とビビは人の多さに若干引いた。ちょっとやり過ぎたよね。スイカだけじゃ味気ないから、今日はバーベキューもするんだよ。

 そんなわけで雑木林に人がいっぱいだ。こんなに人口密度が高い雑木林も珍しいね。


 出資したのは遊びに来れなかったキジャさんだ。ドンっと金貨を一枚出されたので、僕もドンともう一度手を出した。追加で金貨二枚ゲットです。使いきれるかな? あはは。


 うちからはクライブおじさんが来てくれて、メンバーの多さと不思議さに目を見開いていた。僕の友達って紹介したから、大人がいないと思ったのかも。

 大人組はバーベキューの準備とかしてくれて、僕達遊び盛りは川で水浴びだ。


 でもマーズちゃんはクライブおじさんにべったりしている。ちょっと頬が赤いけど、風邪でもひいたのだろうか?


 ミルクさんは誘わなかったんだ。だってギルドに座ってないと変だもんね。


 ビビは川が苦手みたいで、ドラシーを持って川辺からこっちを眺めている。

 僕はモカちゃん、ミラさん、シェリーさん、アンさん、カイザーさん達、ターキ、孤児院の皆と水浴びをしていた。


 皆水着だから濡れても大丈夫だ。


「アークくーん! そーれ!」


 モカちゃんが水をかけてきた。冷たくて気持ち良い。


「あはは! モカちゃん冷たいよ。それ! “ウォーターフォール”」


「あああ〜⋯⋯なんかちがう〜」


 モカちゃんが凄く楽しそうに笑っている。魔法はちゃんと怪我しない程度の威力に抑えているよ。


「それ!」


「わ! 冷たいよシェリーさん! それ! “ウォーターウォッシュ”」


「あああ〜なんか違う〜」


「あははははは」


 あー楽しい。シェリーさんを綺麗に魔法で洗ってあげた。


 ミラさんは赤いビキニの上にバスタオルを羽織った姿で、バーベキューの準備のお手伝いを始めた。


「ほれアーク。どうだ私の水着は」


 ベスちゃんが胸を張って水着を自慢してくる。どうって言われてもな⋯⋯髪の毛と同じ水色のビキニ姿だった。白いフリルの飾りがとても可愛いと思う。でもベスちゃんは男の水着でも大丈夫だと思うな。


「うん! 似合ってるよ!」


「だろう? 沢山褒めるといい」


「“ウォーターフォール”!」


「あがばばばば」


 あー楽しい楽しい。


「行きますよ! 師匠!」


「こーい! ターキ!」


 ターキが水をかけてきたので、水滴を全て拳で撃ち抜いた。左手でジャブを五十発は撃ったと思う。

 衝撃で霧のようになった水を見て、ターキは目を見開きながらメモを取っていた。


「神の頬っぺが沢山!? 選べない!? おお、神よ⋯⋯私は試されているのか⋯⋯」


「何やってんだよ⋯⋯」


 崩れ落ちたアンさんに、カイザーさんが呆れながら溜め息を吐く。カイザーさん達はEランクになったらしいからね。少しお金を稼ぎながら、Dランクになったら町を出て行っちゃうんだって。

 迷宮も積極的に潜っていて、今日はたまの休暇にしたそうだ。


「あ⋯⋯」


 ギブがビビの元へ行き、ドラシーを抜いてみようとしたらしい。でも鞘から抜くと、重さの軽減がほとんど無くなってしまう。剣本体にも重さの軽減があるけど、鞘のそれとは全然違うからさ。

 普通の人じゃ大人でも絶対に持てない重さだから、ビビがギブの代わりに抜いてあげたみたいだ。それなら大丈夫かな? 心配は無さそうで安心したよ。


 皆色んな場所で色々なことをしてるんだ。皆と遊びたいけど、体一つじゃ足りないなぁ。あれ? ちょっと僕の水着を引っ張ってるのは誰ですかね?

 振り返ってみると、孤児の小さな女の子だった。二歳くらいかな? すっごい笑ってるけど僕の水着とらないでぇ〜。お尻でちゃうぅ〜。


「⋯⋯こうして⋯⋯見ると⋯⋯子供⋯⋯だな⋯⋯」


 ベルフさんが僕に話しかけていたみたいだよ。でも喋り終わる頃には僕は遥か遠くにいる。ごめんなさい⋯⋯四人がかりで水着取られちゃったんですぅ。モカちゃんがすっごい見てくるんですが⋯⋯


「あ! ああー!」


 あ、モカちゃんも水着取られた。油断大敵だよ!


「おーい! 小僧っ子ども〜!」

「焼けたわよ〜」


 どうやらバーベキューの準備が終わったらしい。バススさんとアマルさんが大きく手を振っている。


 はぁ、もう水着要らないかな? 無いなら無いで困らないしね。


 そう思っていたけど、孤児院の子供達もお肉を食べに行ったので、僕達の水着が解放された。良かったぁ⋯⋯でもモカちゃんは水着を脱がされて泣いている。


「大丈夫? モカちゃん」


「ああ゛ぐくーん⋯⋯うわーん」


「はいこれ水着。お肉も」


「あむむ⋯⋯」


 水着を返してお肉を一つ食べさせてあげたら泣き止んだ。唇を尖らせながら、復讐の機会を狙っている⋯⋯かな? そんな目をしている⋯⋯でもあまり虐めちゃ駄目だよ?


 大人組はお酒を飲んでいるね。やっぱり本物の大人は違うよ。いつかお酒は(たしな)む程度ですぅとか言ってみたいな。


「アークは最近どうなの?」


「え? 最近って?」


 マーズちゃんからアバウトな質問をされて首を傾げた。最近って言われても⋯⋯何がだろう? 魂魄レベル?


「好きな子とかいないの? モカとかどうなの?」


「好きな子?」


「もう! モカはどうなゴニュごもも──!!」


 モカちゃんがマーズちゃんの口に玉ねぎを押し込み始めた。それ生の玉ねぎだよ? 玉ねぎ大好きじゃないと辛いやつだよ?


 好きな子って何だろう。恋バナってやつ? 恋がよくわからないかな。モカちゃんは好きだと思うんだけど、大事な友達って意味なのかな。


「モカちゃん好きだよ」


「えっ!!!」


 僕がそう言うと、モカちゃんの顔が一気に真っ赤になった。好きだって言われるのは嬉しいもんだ。僕もそうだから間違いない。


「多分ね」


「多分!!!?」


 多分ね。きっとね。


 隣でミラさんが笑いながら僕の頭を撫でてきた。ミラさん水着のままで椅子に座ってたから、お尻と太腿に変な模様がコピーされちゃったみたい。よくあるよね⋯⋯肌白いから赤く線が入って目立ってるよ。


 この後スイカ割りも存分に楽しんだ。目隠しされて皆にぐるぐる回されたけど、蹴られて倒されて水着取られるとは思って無かった。またかい! 犯人は誰だー! 僕だって怒る時は怒るんだよ? 威圧スキルが冴え渡る!



 ビビが暇そうにしていたので、スイカを食べさせてあげる。モカちゃんも何故か隣で口を開けてきたので、雛鳥に餌を与えている気分になった。ベスちゃんも並んできたけどスルーしたよ。目が必死だったから⋯⋯血走ってたから⋯⋯今日ベスちゃんが一番楽しんでるかもしれない。可哀想だから食べさせてあげようか。


「アーク。もっと。あー」


「珍しいね。はい、ビビ」


「アーク君。私もあー」


「はいはい。モカちゃん」


「アーク! ここだ! このタイミングだ!! あー! あー!」


「タイミングとかあるの? ベスちゃん」


 キジャさんが奮発してくれたから、この人数でもかなり豪勢に食材を買うことが出来たよ。

 スイカは様々な種類を買って来た。小さいの、大きいの、黒いのやら中身が黄色いやつとか青いのとかね。好みで色々使えるように、塩だけじゃなく砂糖、蜂蜜、粉チーズ、練乳、黒蜜、塩バター、生クリームを買って来たんだ。ほとんど無駄になったよね! わかってた。収納収納。生クリーム⋯⋯えへへ。


 団子屋のエルフの夫婦も楽しんでくれたみたいだ。町に来て日が浅いから誘ったんだよ? これで知り合いが増えるでしょう。


 夕方になるまで皆で遊んで楽しかった。孤児院の子供達の中で、帰りたくないとごねる子もいた。そこは神父様とシスターがどうにかしてくれる。


「アークぅぅ⋯⋯帰りたくない〜」


「え? わかった。虫刺されに気をつけてね」


「っ!!!!」


 ベスちゃんに見送られながら、僕達は帰ることにした。来年も遊ぼうねって言うと、ベスちゃんも皆も頷いていたよ。手をギュッと握る小さな孤児の手を優しく開いて、僕は水着を回収した。

 来年は脱がされない水着を探してみよう。





 迷宮の五階層をビビと歩いている。今日初めてギルドの用意した有料転移魔法陣を使わせてもらったのだ

 何とCランク以上のドラグスの冒険者は、無料で利用することが出来るらしい。早速転移させてもらったけど、結構あっさりしたもので拍子抜けした。

 五階層には赤茶色の荒野が広がっていて、乾燥した風が頬を撫でていく。この場所は心地好く感じるな。風がサラサラしててベタつかない。


 今この五階層には冒険者が山ほど詰めかけていた。目的は素材なんだけど、ごくありふれたものである。

 それは石だ。城壁の建設に必要な石が、この五階層で沢山手に入れることが出来る。

 昔はゴブリンやスライムしかいなかったらしいけど、今はストーンゴーレムが出るようになったのだ。


「いたな」


「あっちにもいるよ」


 ビビと小さく頷いて、剣を抜いて走り出す。


 ストーンゴーレムの体は多少だが復元能力があり、城壁の建材には重宝されるらしいよ。それで冒険者ギルドはストーンゴーレム回収を常設依頼として貼り出して、一体丸ごと納品すれば、800ゴールドで買い取ってくれるそうだ。


 ストーンゴーレムは嵩張るし重いので、収納鞄や袋がないと難しい依頼だ。でも中級クラスのDランク冒険者にもなれば、収納鞄を持っている人も少なくはない。

 オークよりストーンゴーレムの方が強いが、オークの買い取りは1000ゴールド。だからオークを狩った方が本来はお得なんだ。でも見つかるかわからないオークより、ここに来れば必ず見つかるストーンゴーレムの方が人気である。


 気配拡大感知スキルを使わなくても、赤茶色の地面に灰色のストーンゴーレムは目立つ。


「はっ!」


「ふっ!」


 僕もビビもゴーレムのコアだけを剣で貫いた。ゴーレムのコアは人間でいうところの心臓の部分に位置し、剣を上手く差し込めば少ない損傷で倒すことが出来るのだ。

 刺す、回収、刺す、回収、刺す、回収、回収⋯⋯こんな楽な仕事は無いよね。でも城壁は早く完成して欲しいから頑張るぞ!


 ノルマはビビと毎日百体にしよう。







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