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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
166/214

ルルエラはシ○タ○ン





side ルルエラ



 ああ! なんて事なの!? どうしよう⋯⋯


 私はどうやらトラップに引っかかってしまったみたい。しかも⋯⋯絶体絶命のやつだこれ⋯⋯


 やだ⋯⋯やだやだやだ〜⋯⋯死にたくない!


 周りを見れば暗い大空洞のような場所で、真ん中には魔物がひしめき合っていた。

 私は今その端っこにいる。まだ魔物には見つかってないみたいだけど、それも時間の問題だわ⋯⋯



 隠れる場所は無いし、脱出方法なんて直ぐにはわからない⋯⋯もうどうすれば良いの?



 私はとりあえず焦げ茶色のマントを収納袋から取り出して、それを頭からすっぽりと被る。Aランクのパーティーにもなれば、個人で大容量の収納袋を持っていて当たり前なのだ。


 これで少しは時間が稼げる筈ね。魔法を使ったら魔力で居場所がバレるだろうから、今はこれが精一杯かな⋯⋯


 もうリーダー達に期待をするしかない。こんな場所で動き回る程、私は図太い神経をしてないのよ。


 魔物に生きたまま食べられたらと思うとゾッとする⋯⋯早く、早く誰か助けて!



 リーダー達がいなくなった私を探す筈よ。だから諦めるのはまだ早い──



──二時間後──



 こんな事になるのなら、アーク君に話しかけておけば良かった。


 町で偶然見つけたアーク君。腕輪の金星に驚いたのよ? それにかなり町で噂になっていたわね⋯⋯


 あのクリクリとしたおめめ⋯⋯短いけどふわふわしてそうな髪の毛⋯⋯人懐っこそうなあの笑顔⋯⋯もし上目遣いで、「お姉ちゃん、あれが食べたいな?」ってお願いされたら⋯⋯お姉ちゃんがアーク君を食べちゃうぞ♡

 あはははは。アーク君見ながら食パン三斤イケちゃう〜。



 ⋯⋯私⋯⋯ちょっと頭おかしくなってる⋯⋯でもむさ苦しい男冒険者に囲まれていれば、こうなってしまうのは仕方ない筈⋯⋯うん、私悪くない。



 っと、現実逃避は後でしよう。もし生きて帰れたら、アーク君を捕まえてお持ち帰りだ。(物理的に)

 家に連れて帰ったら何をする? まずは子供が好きなお菓子かしら? はいあ〜んってしたら食べるかな? やば⋯⋯尊い⋯⋯鼻血出そ──


 ──ズシーン⋯⋯ズシーン⋯⋯



 何か重そうな足音が聞こえるわね⋯⋯


 マントの隙間から外を見ると、ブヨブヨとした“肉”が震えていた。



 く⋯⋯ヒュージスライムの亜種⋯⋯見つかった!



 私はマントを勢いよく脱ぎ捨て、一目散に逃げようとした。しかし、ヒュージスライムは全方位に腕を伸ばし、瞬く間に私の逃げ道を塞いで行く。


 魔法無しじゃ逃げきれない⋯⋯でも出し惜しみしてたら死ぬ⋯⋯


 私は杖を取り出した。


 こう見えても私は優秀な魔法使いなんだから!


 杖に魔力を集めながら、飛び出してくる触手を躱す。輝き始めた杖を触手に向けて、溜まった魔力を解放した。


「“サンダーボルト”!!」


 私の放ったサンダーボルトが、前方に伸ばされていた触手を全て焼き尽くした。

 その瞬間に私は走り出す。追撃の触手も躱し、壁際を限界速度で走った。


 左足から急に力が抜ける。


 何かと思って見てみると、赤い棘のような物が脹脛(ふくらはぎ)に刺さっていた。

 当然私は豪快に転んだ。痛がっている暇も無く、歯を食いしばって棘を引き抜いた。


「く⋯⋯」


 咄嗟に完全回復ポーションと、幅広く効く毒消しのポーションを飲み干した。


「危な⋯⋯“テンペストウィング”!」



 もう魔物達には見つかっている。受け止めたくない現実だけど、もう腹を括って戦うしかないのよ。


 一瞬前に私がいた場所に赤い棘が刺さった。飛ばしているのは植物系の魔物ね⋯⋯

 これでも私はAランクパーティーの冒険者よ。個人での実力はB以下だけど、ただでやられるつもりは無い!


 私はテンペストウィングで空を飛ぶ。ヒュージスライムにはびっくりしたし、赤い棘を飛ばしてきた魔物には気がつけなかった。

 まともに相手にしたら直ぐ死ぬわ⋯⋯足掻いてはみるけれど、五分もたないかもしれない。



 私は回避に専念したけれど、格上の魔物の攻撃が避けられなかった。足を掴まれて地面に引きずり降ろされてからは、オーロラカーテンで時間を稼ぐ⋯⋯


 もう⋯⋯限界かな⋯⋯そう思ってた時、目の前にいた魔物が真っ二つになる。


 意味がわからなかった。何が起こったの?


 私の前にいた魔物は、サイクロプス系の最上位種だった。

 鋼鉄以上の硬い体を持ち、そのパワーは城壁をも粉砕する⋯⋯Bランクの魔物の中でも純粋に強い激ヤバモンスターだ。

 それが綺麗に真っ二つになってる⋯⋯私は夢でも見ているの?


 グレーターデーモンも首が落ちた⋯⋯紛れもないBランクの魔物が、次から次へと死んでいく。


「私はアーク。身に刀の大精霊を宿す者なり⋯⋯斬られたくなくば、目の届かぬ所まで逃げるがいい」


 そんな声が聞こえたと思えば、鍔鳴りの音が響いた。それと同時に、百体以上いた全ての魔物の首が落ちる。


 正に異常な光景だった⋯⋯刃を向けられてない私ですら、首筋に刀を這わせられているような気さえする。


 背筋が凍りつく⋯⋯怖い⋯⋯怖い怖い⋯⋯


 それは限界まで研ぎ澄まされた“何か”だった。人間が触れてはいけない存在⋯⋯絶対的な強者がそこにはいた。


「だ⋯⋯の⋯⋯」


 誰なの? と、聞きたかった。でも既に私はボロボロの体。こんな体でまともに喋れる訳が無い。


 小さな男の子に見える。頭に兜を被り、東国の和装と戦士の格好を混ぜたような姿をしていた。

 男の子が私の目の前に立つと、兜と和装が光の光子となって消える。

 黒かった髪が銀髪へと変わり、更に茶髪へと変化した。


 そこにいたのは紛れもないアーク君だった⋯⋯私が妄想して遊び倒したアーク君⋯⋯ま、まさか、本当に夢?


「大丈夫? 間に合って良かったね」


 アーク君が神聖魔法を唱えた。すると、私の穴だらけだった体が急速に治り始める。


「す⋯⋯ごい⋯⋯」


「“ウォーターウォッシュ”」


 体まで綺麗にされて、本当に気持ちが良いわ。


 夢って最高ね! 魔物の死体だらけだけど、ここは天国ってやつなのかしら? 間違いないわね。アーク君がいるし。


 横たわる私の横で正座をして、ヒールをかけ続けてくれるアーク君。


 もう完全に治ったみたい。私はアーク君を引き寄せて抱き締める。


「お、お姉さん?」


「お姉ちゃんって呼んで」


「え⋯⋯えーと、お姉ちゃん?」


 私に抱き締められながら、上目遣いで首を傾げるアーク君⋯⋯なんて最高なの!? そして少し困った顔をしながら、私の顔を見つめてくる。


 ああ、どうしよう⋯⋯こんな日が来るなんて。幸せ過ぎるぅ⋯⋯予習はいっぱいしてあるんだから!


「お菓子食べる?」


「食べる!」


 幸せな時間を過ごしましょうね。


 アーク君にクッキーをあげると、口をパンパンに膨らませて詰め込んでいる。


 やっぱり可愛い。見ているだけでも幸せだわ。


 周りにあった魔物の大量の死体が、次々と消えて無くなっていく。これも夢ね。はいはいわかってますよ。


 次は立派な家まで出てきたわね⋯⋯夢って何でもありなの? でも使えるなら使っちゃいます。


「アーク君。この家に入るわよ!」


「え、うん。どうぞ?」


 アーク君と手を繋いで中に入ると、温かみがあって少し生活感があった。


「魔物がいなくなっても出れませんでしたね」


「デレない? デレデレよ?」


「?」


 アーク君が首を傾げている。一つ一つの仕草にツボるぅ⋯⋯まずは昼食にでもしようかな。


 調理器具はあるのに、食材が見当たらないわね⋯⋯ちょっとサービス悪いんじゃないの?


「何か食べますか? いつ出れるかわかりませんし、多分外ではトラップの破壊を頑張ってるとは思いますが⋯⋯」


「え?」


 外? アーク君は何の話をしているのかな?


 その後、私はアーク君を心ゆくまで楽しみました。



side アーク



『ありがとう。ムーディスさん』


『困ったらいつでもな』


 時の流れの違う世界で力を借りると、ムーディスさんもちょっと苦しそうにしていた。

 イフリンですら苦しそうにしてたんだから、ムーディスさんはもっと辛かったと思うんだ。


 ムーディスさんの精神が流れ込んできた時は凄い強烈だったよ⋯⋯斬る、斬る、斬る、斬る斬る斬る斬る斬斬斬斬⋯⋯


 もう⋯⋯何て言うか、斬る事に全てを捧げている精霊なんだと再確認できたんだ。


 ムーディスじいちゃんは怖い⋯⋯ムーディスじいちゃんを倒せる人間はいない。間違いなく。絶対と言いきれる。



 目に見える物は全部斬られるよ⋯⋯夜空の星すらも多分ムーディスじいちゃんなら斬れる。



 でも動きがとても勉強になったなぁ⋯⋯流石刀の大精霊様だよね。


 変身を解くと、兜とヒラヒラした服が無くなった。漆黒の髪がSスタンダードの銀髪へ戻り、それすらも解除する。



 救援も間に合ってお姉さんも治療出来た。でもなんかこのお姉さん、ベスちゃんみたいにくっついてくるんだ。ちゅーはやめてね? やめ⋯⋯──



 早く助けに来てくれないかな⋯⋯


「アーク君。早くぅ」


「⋯⋯」


 本当に、早く助けに来てね。




 それから数時間後、空間が軋みを上げ始めた。


 誰かが開けてくれたんだ⋯⋯ありがとうございますありがとうございます! もう限界でしたぁ⋯⋯


 家をしまうと、僕達は外に放り出される。


 とっても長い時間を過ごした気がするよ⋯⋯言葉を交わすよりも先に、僕はビビに抱き着いた。


「あ、アーク? ど、どうした?」


 ビビがとっても懐かしい気分なんだ。ギューってしてたらビビの耳が真っ赤になっちゃった。


 助けた女の人は呆然としていたよ? さっきまですっっっごく元気だったのにどうしたんだろう?



 よし、まずは三十五階層までクリアして、この迷宮のトップに立ちたいね! 完全制覇が見えてきた気がするよ。







 夢なら何でもしていいと思ってるんですか?


 YES!☆d(´∀`*)


 自由に夢が見れたら良いなぁ(ºωº э)З

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