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デタラメな冒険譚が僕にくれたもの〜憧れを追いかける少年〜  作者: まあ(ºωº э)З
第七章 いきなり始まるスローライフ?
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勇者のいる国

*サブタイトル変更






 ビビは僕の横に来ると、クルリと一回転した。そう言えば猫耳メイド喫茶で練習したなと思ったけど、ビビに普通のメイド作法を教えた方が良いかもしれないね。ちょっと考えておこうかな。


「私はビビ。ご主人様のメイドだ。にゃん」


 スカートの裾を摘み、優雅なカーテシーをするビビ。色々混ざってると思うけど、男性冒険者さん達の顔が赤くなっていた。

 お婆さんは小さく頷くと、ビビの頭を撫でている。


 なんだか珍しい感じがする。ドラグスにいた時は、ビビは自分の存在感を消していたよね。でも今は表に出て行動をしているんだ。それがちょっと嬉しく感じる。

 ビビの中で何かが変わったのかな? 僕に出来る事なら応援するよ。


「僕はアークです。Bラン⋯⋯」


 んっ⋯⋯待って⋯⋯Bランク冒険者と名乗ったとして、この世界で僕のカードは有効なのかな? ちょっと危なそうだから、そこら辺は伏せておく事にしよう。


「ビビと二人で旅をしています」


「おんやまぁ。こんなに小さいのに旅だなんて⋯⋯辛い思いとか沢山したろうな⋯⋯」


 お婆さんの目が潤んじゃった。僕達の苦労を想像しちゃったんだね。って、他の冒険者さん達も目が潤んでるよ?


 優しい人達に会えたみたいで、なんだかちょっと嬉しいな。


 騙してる訳じゃないけど、でもちょっと悪い事しちゃった気分になるや⋯⋯ごめんなさい。


「メイドを連れての旅⋯⋯アークは貴族だったりするのかい?」


「いえ、平民です」


 どうしよう⋯⋯あんまり突っ込んだ話をされると、沢山嘘言わなきゃいけなくなっちゃう⋯⋯そういうのは嫌だなぁ。でも何て言ったら良いのかな?


「ちょっと⋯⋯色々ありまして」


「わかる。わかるよぉ⋯⋯無理して喋る必要は無いさね。向かう場所が同じなら、そこまで一緒に行かないかい?」


「はい! よろしくお願い致します!」

「致します。にゃん」


 僕とビビが頭を下げると、お婆さんは笑顔を向けてくれた。


「俺らの対応とまるで違くね?」

「黙ってろ、とばっちり受けたくねーっての」


「聞こえてるよあんた達」


「「すいませんでした!」」


 お婆さんに睨まれて、冒険者の二人が頭を下げる。


 僕達を見る時は優しげなのに、冒険者さん達を見る時は眼力が凄い⋯⋯でも面白い人達だね。きっと仲も良いんだろうな。


「お嬢さん。俺と一緒にチキンサンドでも食べないかい?」


「おい気をつけろよ。デールはロリコンなんだ」


「⋯⋯チキンに罪は無い。それだけもらう。にゃん」


 デールと呼ばれた人は、短剣を装備した冒険者さんだ。リーダーっぽい人は大太刀を装備している。


「俺はペッパー。痺れる名前だろ?」

「レイジだ。器用貧乏な魔法使いをしているよ」

「おりゃデール。それと、ロリコンじゃないからな! 尊い美少女を愛でているだけだ! ゴノドン!」

「⋯⋯違いがわからんわ! ゴノドンだ。パーティーリーダーをしている。よろしくな。アーク、ビビ」

「こら! お前達! 依頼主の自己紹介が先だろう! わたしゃミズリだ。こいつらの事は忘れてくれて構わんよ」


 あはは。何だか凄いね。ちょっと圧倒されちゃった。楽しそうな人達で良かったと思う。


「チキンサンドに罪は無い。早くよこせ。にゃん」


「ビビ、ハウス」


「⋯⋯」




 僕達は馬車へ戻った。横倒しになっていたけど荷と馬車は何とか動かせそう。

 ロリコンじゃないデールさんが指笛を鳴らしたら、馬が戻って来てくれたよ。スケルトンが出た時に、殺されないように逃がしたんだって。馬車は倒されちゃったらしいけどね。


 僕達は全員で馬車に乗り込むと、ゴノドンさんが御者をするそうだ。軽く鞭を振るうと、馬は重そうにしながらも何とか歩き出した。


 ミズリさんは行商人で、今はデナートロスへ魔石を運んでいるところだったんだって。

 これから大きな戦があるらしく、魔石が高値で売れるんだとか。


「アーク、ビビ。どうしてこの時期にデナートロスへ行くんだい? 旅ならもっと治安の良い場所へ向かったら良いさね」


「ちょっと頼まれまして」


「そりゃまた気の毒になぁ」


 デナートロスが危うい状況だから、黒狐様が行かせたがってるんじゃないかな?


「そんなにデナートロスは危うい状況なんですか?」


「あくまで噂だけどね、勇者様が呼ばれたらしいさね。そこまでしたって事は、戦いが迫ってると考えて当然じゃないかい?」


 勇者様が? それはまた凄い話になってきたね。


「その話は後にしようかね。街で昼食にでもしようじゃないか」


「⋯⋯そうですね」


 僕はぎこちなく笑った。


 そうだよ。お金だよ! 僕が持ってるのはヴィシュラリア王国のお金になる。どうなってるのかわからない世界で、この貨幣が普通に使えるかどうかわからない。


 どうしよう⋯⋯流石に無一文は怪しまれる。



 そんな時、街の中から懐かしい気配を感じた。これは間違い間違えようもない⋯⋯


「真子ちゃん⋯⋯?」






(*-人-)

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