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異世界でのんびり癒し手はじめます~毒にも薬にもならないから転生したお話  作者: カヤ
ショウ編

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33/142

毒にも薬にもならないわけがない

追記(2017.11.20:一度この話で完結にしていましたが、ショウとハルが合流するところをこの後追加している途中です。そのころを読みたい人がいたら、この後を続けてどうぞ!


さて、それからショウとファルコはどうなっただろうか。


三日目には北の森に出発した。4人の狩人の世話をし、スライムと薬草のノルマをこなし、貯金もちゃんとため、荷運びの人はおやつも運んできてくれ、ときおり導師も運んできた。


春になり、次の星迎えの祭りではカインが年少組を卒業した。


次の年の星迎えでは、アウラが卒業した。そして13歳になったショウはファルコと部屋を分けた。ファルコは大騒ぎだったが、ジーナに怒られしぶしぶ従った。


その年、秋に来たドレッドに、ハルからの伝言をもらったショウは、ファルコとレオン、そしてドレッドとライラと共に、ハルを湖沼の領地から救いだした。保護の代わりに実験を強制され、どうしようもないほど疲れ果てていたのだった。


弱った黒髪の少女に、レオンは一目で恋に落ちた。70歳差の恋だ。ショウは大歓迎だった。70歳差を身近に見ていたら、40歳差なんて大したことないってきっとファルコも思ってくれる。


ハルも一緒に14になり、15歳になり、年少組を卒業したら、見習い期間はファルコとレオンと共にパーティを組んで過ごした。魔力量の多い最強の魔術師と、心も癒すと評判の治癒師、そして最強の狩人二人。


ファルコの黒狼からレオンは金狼と呼ばれ、やがて小さな魔術師と治癒師が加わると、金狼と黒狼たちとか、子狼連れの狩人とか、様々に呼ばれたけれど、結局ガイウスの決めたこれが浸透した。


「金狼率いる黒狼」


その長い二つ名が、彼らだ。そして結局、金狼御一行とか、黒いヤツらとか呼ばれている。



「ハル、行くよ!」

「ショウ、待ってよ!」


この優しい魔術師はちょっとトロい。そこがショウは好きで、レオンに至ってはおそらくかわいくて溶けてしまうくらいだろう。しかしトロい上に鈍感なハルはいまだにその気持ちに気づかない。


では、ショウとファルコは? ショウの決意は決意のまま、相変わらずショウがかわいくてしょうがないファルコと、面倒見のいいショウのままだ。


でももう抱き上げたりしない。


いつからかまぶしげにショウを見るようになったファルコ。ファルコと視線が近くなったショウ。


二人ともわかっている。今度抱き上げる時は、二人の仲が変わるときだということを。


だからまだ少し、この優しい時間を大切にしよう。



ショウとハルが成人した日、「金狼率いる黒狼」の4人は、平原に旅立とうとしていた。平原はこの数年間、高品質の作物を生み出し、富を蓄え、他の三領に高圧的だ。火種がくすぶっていた。その原因が転生した彼で、彼が幸せならショウとハルの関知するところではない。あとは国と国の問題だ。しかしハルのようにつらい思いをしているなら。


その時は深森に連れてくる。


ねえ女神さま。毒にも薬にもならないからと連れてこられた私たちだけど、後悔していませんか。結局私は薬になったし、ハルの知識は毒にもなった。彼は恐らく薬だったはずなのに、周りの人がその功績を毒にしている。


それでもこの世界が、そこに住む人たちが大好きだから、正義にも欲望にも傾かない。傾かせないために、ハルと一緒に旅立ちます。


優しい人たちと共に。

ここまでお付き合いありがとうございました。ここから先を書こうとすると、ガチでハイファンタジーになりそうなのでここまででおしまいです。恋愛と言えるか微妙かもしれませんが、作者的には甘くて甘くて……2人の今後はきっと幸せです。

よろしければ評価、感想などいただけるととても嬉しいです!


と書いていましたが、連載に戻しました! ガチなハイファンタジーにはなりませんが、またショウののんびりしたお話をどうぞ。



追記:この場を借りまして宣伝です。昨年なろうさんで書いていた『この手の中を、守りたい1~異世界で宿屋始めました』が2017年7月12日書籍化、発売です。二巻が10月12日発売中。『聖女二人ぶらり異世界旅』が冬発売予定。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 人に優しいところがいい [気になる点] ない [一言] 好きだなぁ。 この作品。カヤさんの作品は全部いい。 でも、この作品の中の人達癒される
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