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創造スキルは万能です~ソロでダンジョン深層まで攻略していた俺、配信に映ってバズってしまう~  作者: ターシ


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19/25

19 大学での再会


 復帰の探索を終えた次の日。

 今日は大学なので、学校に向かう準備をしながらダンジョンアプリを開いたところ、ダンジョンニュースの見出しに「深層の情報提供に協力する探索者、80階層ボスを単独討伐」というものがあった。


(そうか、配信してたからニュースにもなるのか)


 なんとなく「国に情報を提供する」という感覚だったが、そうではなく「全探索者が深層に行けるように情報提供する」というものだ。

 当然一般の目に入るので、ニュースにもなるだろう。

 内容を見てみると、こう書いてあった。


『深層ダンジョン80階層にて、単独でボス個体を討伐する様子が配信された。この件についてダンジョン省は「映像は真正である」と正式に認めた。

  当該探索者は事前告知なしで配信を開始し、80階層への転移およびボス討伐までをリアルタイムで公開。討伐に要した時間は非常に短く、戦闘内容の詳細については現在解析中とされている。

 戦闘中に使用されたスキルや装備の詳細については不明点が多く、専門家は「再現性のある攻略法として一般化できるかは現時点では判断できない」と述べている。』


(再現性、ね。そりゃソロの動きとチームの動きでは違ってくるだろ。)


 ダンジョン省が配慮したのか、俺の素性については一切語られていない。あくまで探索に関することだけが書かれている記事となっている。

 戦闘内容について解析中とされているが、俺のスキルはかなり変わっていると自覚しているし、その上ソロだ。正直再現性はないだろう。あくまで魔物の特徴を捉えるだけにして、戦い方はそれぞれで考えてみてほしいと思っている。


 そんなことを考えながら家を出て歩いていると大学に到着し、そのまま講義の部屋へ向かっていく。

 時々視線を感じるが、「もしかしたら配信してた探索者?」くらいには思われているかもしれない。

 だが当然、探索の時とは服も違うし、一応すぐにバレないように髪型なども変えてある。さすがに声をかけてくるものはいない。


 ...と思っていたのだが、講義を終えて昼休みに入ったところで、横から声をかけられた。


「あの……すみません」


 不意に呼び止められて足を止める。

 振り返ると、少し緊張した様子の男女二人組が立っていた。どちらも若く、まだ大学に慣れていないような雰囲気がある。


「……もしかして昨日深層の配信をしていた、噂の探索者さんですよね」


 その一言で、俺は一瞬だけ固まった。

 そして二人の顔をよく見てみると、見覚えがあった。


(病院まで運んでくれた二人か)


 ダンジョンで倒れていた俺を見つけて、病院まで連れて行ってくれた初心者探索者。

 探索者装備ではなく私服姿だから、すぐには気づかなかった。


「...1階層で倒れたときに助けてくれた二人。」


 そう言うと、二人はほっとしたように表情を緩めた。


「覚えててくれたんですね」

「もちろん。助けてもらった側だからな」


 あの後、病院で目覚めてから言った「助けてくれたお礼は、今度必ずするよ。」という言葉を思い出す。


「ちょうどよかった。昼、時間あるか?」


 俺がそう言うと、二人は一瞬顔を見合わせてから、慌てて頷いた。


「あ、あります!」

「ぜひお話したいです!」


─────────────────────────────────────


「すみません、奢っちゃってもらって。」

「いいよ。俺の方が年上だし、これでも金は持ってるからね」

「そりゃ深層の素材を売ってるならお金あるでしょうね...」


 食堂でご飯を買い、外に出てあまり人のいない場所まで移動する。

 話を聞くと、この二人は今年入学したばかりの1年生らしい。俺の2つ下だな。

 名前は女の子が若葉結(わかばゆい)、男の子が春野湊(はるのみなと)で、ダンジョン探索もつい1ヶ月ほど前に始めたばかりだそうだ。


 食事を進めながら、自然と話はダンジョン関連へと移っていく。


「アーカイブ見たんですけど、なんかこう、すごいとしか言えないですよね。」

「掲示板とかにも書かれてたんですけど、あれだけ圧倒だと80階層よりも深いところに行ってますよね?どれくらい行ってます?聞いていいのかな。」

「具体的な数字は避けさせてもらうけど、確かに80階層よりも深く潜れはするよ。ちなみに二人に助けてもらった時は、85階層の帰りだった。」

「「85...」」


 二人は食事の手を止めて驚く。探索初めて1ヶ月なら、まだ10階層を突破できているかどうかといったところだろう。たしかに果てしなく遠くに見えるかもしれない。


「私たち、ようやく装備もそろってきて6階層に踏み込んだところなんですよね...」

「それだけ深層なら、さすがに探索始めたのは大学からじゃないですよね?」

「高校入ってすぐに探索者始めたよ。大学始めで80階層越えはさすがに無理だ。」

「ははは、ですよね。」


 春野は安心したように笑う。


「探索者になった理由とかってあります?私たちは、配信とか見て憧れてやってみたかった、っていうような理由ですけど。」

「俺も似たようなもんだよ。最初はバイト感覚だったし、戦えたらかっこいいなーくらいの思い。まあ最初は装備のレンタルもあって収支はプラマイゼロだったけど。」

「やっぱそうなりますよね~。僕たちも装備そろえてようやく黒字にできたところです。」

「装備壊したらまたレンタルに戻ることになるから気を付けなよ。」


 今度は俺が笑いながら言う。実際俺も初心者の頃、10階層を突破したものの装備を壊してしまったことがある。


「あの...ダンジョン探索において、何かアドバイスとかってあります?多分1ヶ月以内には10階層に挑むことになると思うんです。」


 食事も終えたところで、若葉が真剣な顔をしてそう聞いてきた。

 アドバイス...か。


「戦術とか戦い方においては、あまり口は出せないかな。それぞれのスキルとかもあるし、自分で考えてやらなきゃ身につかない。」

「ですよねー」

「だから言えるとしたら心構えとか、考え方の部分かな」

「心構え...ですか」


 そもそも低階層~中層なら情報はたくさんあるだろうし、そこで自分たちで考える力というのを見につけるべきだろう。戦い方についてアドバイスできなくもないが、「それが正解」と思われてしまっても困る。

 まぁそれは心構えについても言えることだが、自分なりの考えを伝えることはできる。


「あくまで俺自身の心構えや、注意していることだけどね。」

「是非教えてください。」

「まずは基本的なことだけど、戦いのときは、目の前の敵だけに集中しすぎないこと。」

「集中しすぎない...」

「視野を広く、って言えばいいかな。地形の把握や周囲に他に魔物がいないか、とか。ちょっとした地面の窪みや転がってる石に足を取られることもあるし、いきなり横や後ろ、上や地面から魔物が乱入してくることもある。見える敵だけに必死にならないこと。」


 二人は黙って考えるように視線を下ろす。その状況を想像しているのかもしれない。


「実際30~40階層は奇襲してくるような魔物が多い。それまでにその意識ができてると楽になると思う。」

「...はい!ありがとうございます!」

「あとはこれも当然のことだけど、引く判断。」

「最初の講習でも言われることですね。」

「そう。これは本当に大事なこと。といっても引く判断は人によって違うだろうけど、俺にとっての引く判断。それは手段が3つ以上あるかどうか。」

「手段...?」


 あまりピンと来ていない2人にたいして、俺は話を続ける。


「たとえば、『ポーションがあるからまだ進めそう』と思った時。頼りになるのがポーションだけなら、それはもう引いた方がいい。『ポーションがあるなら帰れる』って考えるべきだ。」

「進むんじゃなくて、帰る...」

「逆に、ポーションに加えて体力魔力も余裕、装備も破損なく技や道具もまだ使える、って状況なら進んでもいいだろう。何かが起こった時に、切れる手札が3つ以上あるかどうか。それが俺の基準。」


 まぁ俺の場合は『創造』スキルで手段を無理やりつくることができるが、『無理やり手段をつくればいけるかも』と思った時点で帰るようにはしている。

 過剰駆動は最終手段だ。あれはできるだけ手札には数えないようにしている。


 そうして話をしていると、次の講義の時間が迫ってきていた。


「あの...また相談をしてもいいですか?」


 話が終わりそろそろ行くかとなったところで、若葉がそう聞いてくる。


「...助けてもらったお礼もあるからいいけど、一つ条件がある。」

「条件?」

「俺の言ったことを『答え』だとは思わないこと。固定観念にとらわれると、命を落とすことになるから。判断材料の1つを渡すだけ。それでいいか?」

「もちろんです!」


 二人は嬉しそうにそう言った。そこで俺はいつも持ち歩いているマジックバッグからポーションを2本取り出して二人に渡す。


「これもお礼の一環。緊急用。一人1本ずつ持つように。」

「ポーション?」

「ああ。傷も魔力も体力も状態異常にも、大体のものには効く。」

「...え?それってすごいんじゃ?」


 まあ深層の素材で俺が作ったポーションだからな。初心者では手に入らないだろう。


「下層で手に入るものじゃないな。もしこれを使うかどうか迷う状況になったら、その時点で帰った方がいい。」

「...わかりました!ありがとうございます!」


 そう言って頭を下げてきた二人に手を振り、その場は解散となった。


 そして一人になった俺は、小さく息をはいた。


(こういうのも、悪くないな)


 ダンジョンに潜って、強くなって、素材を集めて。

 それだけを繰り返してきたけど、誰かに話すことで自分が何を大事にしてきたのかを改めて整理できた気がする。


 それに後輩、か。


 まだ頼りないし、無茶もしそうだけど。だからこそ、無事に帰ってきてほしいと思える相手ができた。


(ま、深入りしすぎない程度に、な)


 そう思いながら、俺も次の講義へと向かって歩き出した。



次回は1月29日更新です。

なんと日間ローファンタジー5位にランクイン。

まさかのトップ5です。ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ラストエリクサーは使わない派。勿体なくて帰るのもひとつの答えだよね。
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