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69話 守枝家に殴り込み!?1

 月美さんによって捕まった輪花と秋冬くんは僕の部屋にてどういうわけかを聞くことになった。久しぶりに輪花の反抗的な目でこちらを睨んでいた時は驚きこそしたが別に怪我していてもねじ伏せれるから怖いなんて感じはしないが……本当に不思議だ。普通にあの時の覚悟を見るための行動でこうなっているのであれば謝罪できるが方じゃ無さそうだからなぁ。


「なぁ輪花さ、いい加減話してくれないか?」

「話さない。話したら私だけじゃなくて秋冬も危ないからだ」

「輪花さん……」

「別に命を取ることをしないってお前は分かっているだろう?」

「知っている」

「なら話せ」

「いやだ。秋冬を駒として捨てられる可能性があるのであれば主にも噛みつく」


 確定したことがある。普通にコイツは騙されているってことがだ。別に騙されているのは全然いいし、それで反抗してきてもいい。なんなら実際に噛みつくのもいいが、コイツのしていることは秋冬くんが一番危ない目にあうということをわかっていない。家から罪人を出した場合は、最悪は死だけども生かされることもあるがそれのほとんどが婿や嫁である大切な人を人質として取れる場合だけだ。


 まぁ婿や嫁に関してはあらゆる欲の捌け口に大昔はされていたからただの戦利品だな。今は人質として機能しているみたいだけど、どうなっているのかは僕には一切分からないし知りたくないから無視しておく。輪花は知っている筈なのに何故、秋冬くんを連れて逃げ出した? 保護してくれる場所があるってことを視野に入れておかないとな。はぁ……先輩Aのこともどうにかしないといけないのにやってくれたな。


「優しさは無しにするか」

「何をする気だ?」

「この場で二人とも殺す。関係者すべて探し出して殺す。反抗する者やお前らを擁護する奴らも殺す。すべて殺す」

「ひっ」

「本性を出したな。秋冬、逃げろ」

「りりりりり輪花さんがに、逃げてください」


 まぁ90%は冗談なんだけどさ、そんなに怯えなくてもいいんじゃないのかな? 流石に距離があるし子守族長やみかんさんが部屋の隠し扉にいるんだし、夜夢や月美さんが部屋の外に居るんだから半殺しにしか出来ないってのにさ。だからそこまで警戒しなくても何も問題はない筈なのにね。それはさておき本気でどうにかしないといけないからなぁ。


 一旦、考えることをやめて輪花と秋冬くんの方を見ると……秋冬くんが気絶していた。輪花は「秋冬秋冬秋冬秋冬秋冬秋冬秋冬」と狂ったように秋冬くんの名前しか呼ばなくなっているし、面倒なことをしてしまった。四人とも早く入ってきてくれないかな? このままだと僕が悪者としてブチギレた輪花に八つ裂きにされてしまう可能性があるんですよ。


「秋冬……咲人様、一つお聞きしたいことがございます」

「落ち着いたと思ったら随分と懐かしい口調になったな。質問に答えてあげよう」

「感謝いたします。私達を使い捨ての駒として扱うのでしょうか?」

「そうだったらとっくに使い潰しているよ」


 今回、逃亡しようとした理由が分かったような気がするよ。どこかの誰かに「お前らは捨て駒にされる」と言われてしまったが半信半疑で、僕に秋冬くんの救出をお願いしたが放り投げたことでそれが確信に変わってしまった感じか。アレか普通に僕の行動が裏目に出てしまった結果こうなったということね。それなら仕方ないかってなるかボケェ。


 一体誰なんだよそんな変なことを吹き込んだ奴は!? 思い当たるやつが一人しかいないけどここに近づいて来ていることがあるかが分からないからどうしようもないわ!! はぁ……一旦落ち着かないと考えがまとまらずに竜二の所まで乗り込みそうになるから落ち着こう。アイツが犯人って決まったわけじゃないから乗り込んでも意味がないんだ。変な言い掛かりをつけて、もし母さんにバレたら説教四時間コースになるからそれは避けないといけない。


「・・・疑ってしまい申し訳ございません。私の命で償わせていただきたく」

「いらんわ。お前も秋冬くんもそのままでいい」

「感謝いたします」

「ただ誰に言われたのかを答えろ。これは命令だ」

「はっ!! 守枝家、次期族長候補筆頭_無三郎(むさぶろう)にございます」


 守枝家の無三郎か……誰だよ。一切知らんし顔すら出てこないやつなんて居たのかよってくらい誰だよ。守枝家の族長って長髪イケメンの脳筋ゴリラしか分からないんだが? あとは喫茶店を営んでいる夫婦以外はマジで覚えていないくらい影の薄い家なんだが。だってさ普通に気配はするけど、どこに隠れているのかまでは分からないし会いに行くと族長しかいねぇもんな。何しているのかが分からないんだよなぁ。


 まぁ最近は妙な噂が出ていたみたいだからジジィが警戒していたんだっけ? 興味が無さすぎで僕自身が警戒していたのかすら忘れてしまったわ。ともあれ今回の首謀者? である奴は無三郎とか言うってことは分かったから次は行動に移せばいいってことだな。考えをまとめなくても乗り込んで直接話を聞きに行けば良いわけだしな。なんの証拠もないのは痛手ではあるけどね。


「咲人様、これボイレコ。行くのだろ」

「オンオフの切り替え早っ!」

「・・・反省してる。ごめん」

「気にするな。あの不意打ちは良かったと思うぞ」

「私は付いていけないけど良いのか?」

「何も問題はないな。雑魚だけだろうし」


 輪花からもらったボイレコを部屋から出た後に再生すると僕のことを相当悪く言ってくれているみたいだわ。途中で大きな音が聞こえたのでおそらくは輪花が壁を殴ったんだろうな。いやぁ早くゲロってくれたから良かったけど、あのままだったら力づくで吐かせていたから。無駄な体力を使わないで済むのはマジでありがたいわ。


「お兄様、ついていきますわ」

「来るな」

「しかし怪我をしているお兄様一人では……」

「来るならお前諸共、両手足の骨を砕く」

「・・・お気をつけて下さい」


 少し大人気なかったかもしれないけど、ついて来ようとする四人に向けて殺気を思いっきり放つ。意外にも僕は怒っているらしいので、あのまま骨を砕いていただろうから怖がらせるのは悪いとは思うけど殺気を放つしかなかった。ああでもしないと夜夢は意地でもついて来ようとするからなぁ。あとで何か酸っぱいものでも買ってくるかな。


「さて守枝家に殴り込みだぁ」

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