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63話 先輩A 4

 何か問題があるかと思ったけど特に何もなく普通に登校できたので少し驚いている。まぁ何もないのはいいことだからいいんだけど、色々ありすぎて大変だったから身構えていたからなぁ。佐藤も原さんも僕に絡んで来ようとなんてしなかったから助かった。原さんは怪我していなくても相手にしたくないのに……今の状態で来られたら面倒すぎる。


「咲っち、おは」

「おはよう。変な空気になってるなぁ」

「土曜日のヤツが出回っているみたいで」

「削除は?」

「昨日された感じだけど」


 削除されはしたけどその前に学校中で広まってしまったという感じなのか。通りで僕を見る視線が畏怖とかも混じっている訳だ。まぁ別に何も問題はないだろうし放置でもいいとは思うけど、居心地は悪いからどうにかするのもアリかな。確かにアレは人の動きをしていなかったから怖がるのは分かるけどさぁ、何か別のも混じっているからどうしよう。悪意や恐怖とかではなくて、好意だな。


 坂内に一応、僕が帰った後にどうなったかを聞くと少しだけ練習試合してから解散になったようだった。ほんの少しだけのプレーに刺激された奴らが多かったらしく相当熱くなっていたらしい。坂内はサッカー部を退部することを元々決めていたが僕らのプレーを見て、スッキリ後悔なく辞めれたと言ってくれた。いや、そこは辞めずに続けるところだろうとはツッコマないでおく。本人が決めたことを僕がとやかく言ってもしょうがないからな。


「あの〜藤咲くん、足大丈夫?」

「大丈夫ですが……誰ですか?」

「ク、クラスメイトじゃんかぁ」

「そうですか。ご心配ありがとうございます」


 坂内と居たら知らない人から話しかけられたのでこれ以上は話すことをしない。クラスメイトと言われたけど僕は覚えていないし、まぁ足の心配をしてくれたのは感謝するけどね。あまり関わっていなかったから仕方ないかもしれないけど先週まで噂や佐藤達のことを信用していた人がすり寄って来ても無視するよ。下心があるとしか思えないからねぇ。


「ほ、ほら松葉杖な訳だし手つ__」

「大丈夫ですよ。お兄様は私がお世話をいたしますので」

「・・・守友さん」

「どうかされましたか? まだ用がお有りなのでしょうか」

「す、すいませんでしたぁ」


 夜夢がこのクラスにいることについてはツッコミは入れないでおくけど、世話はしなくていいぞ。雪菜さんにも言えることだけど松葉杖があれば移動に関しては全然問題はないんだってば。面倒だから坂内に投げてやろうかと思ったがいつの間にか居なくなっていた。アイツ……あの女生徒が来た時には逃げてやがったなぁ。あの場合は逃げて正解だけども代わりに誰かをこっちに寄越して欲しかったよ。


「お兄様、気を付けてください」

「心配しなくても気をつけるよ」

「無茶無理がないようにお願いしますね」


 それだけ言うと夜夢は教室を出て行った。月美さんが側に付いていたけど、アレはもう少しだけ護衛を増やした方がいいかもしれないな。あの女生徒が夜夢を見る目が悪意を孕んでいたからそれとなく忠告しておいてやらないとな。竜樹あたりに連絡を入れておけば1人くらいは回してくれるだろうしお願いしておくか。そういえば佐藤のグループが相当大人しいな。


 佐藤がいつもいる席を見るとそこには誰一人としていなかった。ふへぇ……あのグループはそこまで薄情だったとは驚きだわ。原さんは演じていただけらしいから離れても分かるが他の連中は助けられていた筈なのに、誰も佐藤を支えようとも寄り添おうともしないとはなぁ。まぁ今は一人にさせておく方がいいと判断したのかもしれないからすぐには決めつけないのがいいだろうけどね。


 佐藤のことについては申し訳ないが赤城に頼むとして原さんの目的を探らないといけないよな。それと雪菜さんが言っていた“たぬちゃん”とやらも探さないといけないとは面倒なことだな。あの時の状況的に原さんのことを指していることは分かるが本人が否定しているからそれが正解にはならない。ただ僕の中でその“たぬちゃん”が懐かしいような気もするのは何故だろうか。考えても仕方ないのかもしれないけど考えてみるか。




「ふぅ〜やっと昼休みになった」

「そっかぁ。それでぇなんで一人でいるのぉ〜」

「・・・西さんですか。一人になりたい時もあるでしょ」

「それはいいけど、悪いオオカミに襲われちゃうぞぉそれでもいいのかなぁ?」

「そうなったらねじ伏せますよ」


 僕がそう言ったら西さんは「ちぇー」と言って少しだけ離れて座った。旧校舎の屋上にはベンチはないが誰も入ってこないから穴場だと思っていたんだがな。一人になれて静かな場所をまた探さないといけないとなると相当時間がかかるだろうしこの人がいない時を見つけてからになるか。どうして面倒な人に僕は好かれることが多いのかな。


 おそらく二重人格でお互いに記憶を共有出来ているだろうし切り替えの速度も速いことを考えると相当……いや生まれつきって思っていた方が良いだろう。出会ったことがないから判断が難しいけど、数秒は切り替えに時間がかかると思う。あくまで予想の範疇だから断定して行動が出来ないのは少しばかり痛いところだなぁ。この前のストーカーの件もある訳だしどうしたものか。


「君は噂通りの後輩だ」

「・・・なんて噂かはあえて聞きませんよ」

「そうか。私と君は同類だな」

「いきなりですね」

「会った時から思っていたことさ。ただ」


 うわぁすげぇ面倒なヤツだわ。しかも「ただ」とか言っているということはまだ続きがあるって訳だし相当面倒でダルいパターンだろう。佐藤にこの人達を押し付けたいのになんで僕が対応しないといけないんだよ。あくまで僕はアイツを補佐する役目でいたわけなのに、首を突っ込んでいる訳でもないのに何故に僕がこういう目に遭うんじゃい。


「君の友人にはそれを否定されたよ」

「同類ってことをですか?」

「そうだ。彼には少しばかり失望したよ。私を理解してくれていたのにね」

「さいですか」


 微塵もどうでもいいし佐藤に失望したついでに僕にも失望をしてくれたらものすごく嬉しいのですがしてからませんかね? この人達は簡単に他の奴らを失望するようなタイプなのかもしれないな。まぁ別に僕は痛くも痒くもないから何も問題はないんだよね。問題があるとするならば、この人達自身だろうからその時は僕は手を差し伸べないであげよう。他の奴らの重要性に気づくかを見ておかないとな。

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