表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/70

62話

 僕は今リビングに居て朝食が出て来るのを待っているんだけど、何故キッチンに雪菜さんがいる? そしてそれを当然のように受け入れてる二人は一体なんだんだよ!! 普通に受け入れるとか僕はびっくりしたんだぞぉ。アラームをかけておいたはずなのに音が鳴っていなかったし、雪菜さんが起こしで足をぶつけたよ。まぁ夜夢が起こしにくる時は布団の中に潜って来ていたことを考えると雪菜さんでいいや。


「サキのこと、お願いね雪菜ちゃん」

「はい、サキくんのお世話は任せてください」

「ちょい待て。僕は普通に過ごせるけど」

「昨日のことを思い返してみなさい」


 昨日はみかんさんに病院に連れて行かれて家に帰って来て二人に怒られてその後は普通に過ごした筈なのに。風呂場で転けたり移動する際に転んだりしただけだから何も問題はない筈なんだけど。まぁいいや、誰かに手伝ってもらった方がいいから怪我が治るまでは甘えることにしよう。雪菜さんに頼る方が二人は安心するだろうから本当に無理なことを頼もう。例えば……思いつかないわ。


 リュックを持ってもらうことはしないで大丈夫だし移動も遅いけど松葉杖で問題はないから本気で手伝ってもらう事がないんだよね。何かを頼むのは別にいいとは思うけど、強要することはないから安心してほしいんだよね。・・・雪菜さんと夜夢に頼るのであれば竜樹に頼ればいいしクラスには坂内がいる訳だからそっちを頼るのもアリだな。


「学校では別の奴に頼るからいいよ」

「サキに頼る友達いたの……」

「坂内くんは頼れないよね?」


 母さん……僕に友達がいないと思っていたことはよくわかったけどさぁそんないないように見えるかなぁ。雪菜さんは圧をかけて来るのをやめてほしいんだよね。それに坂内には頼りやすくて雪菜さんには頼りにくいから逆だからね。はぁ……松葉杖がある状態なら転んだらはしないし階段の登り降り自体も大丈夫なのになぁ。


 僕は朝食を摂り終えたので玄関にそのまま向かう。雪菜さんは慌てて僕について来たので本気でお世話する気があるようなので大人しく従うわけにはいかない。


◇◇◇

[メイド視点]


 おはようございます。竜二様のメイドでございますが覚えておられますでしょうか? インパクトに欠けていますね。爆発と同時に登場するのは……警察様のお世話になるだけですね。咲人様にお礼をしようかと思いましたが、流石に何もない状態では行けませんね。何かお礼になるようなものがあればよいのですが。


「メイド長〜今日もこんな感じでいい?」

「問題ないですよ。少しお時間大丈夫ありますか?」

「どったの?」

「とある男性にお礼をしたいのですがどうすればよろしいでしょうか?」

「う〜どんな感じかによると思うよ。なんて名前?」

「咲人様ですね」


 私は当たり前に答えはしたのですが彼女はひどく驚いていました。我々の観察対象で竜二様の敵に当たる人物にお礼をしたいと言ったのですから驚くのは当たり前ですね。しかし今回ばかりは仕方ないと思いますので竜二様はお許しになるでしょう。借りを作ったままいる方が嫌う方ですから。


 彼女は「メイド長に春が……」とおっしゃっておりますがちょうど春は過ぎ去りましたよ。妹と同じ年の筈ですのにボケてしまったのでしょうね。咲人様と遭遇してしまったことで脳に障害が出て来てしまったのかもしれませんから竜二様に報告しておきましょう。彼女には相談したのを間違えてしまったような気がしますね。


「お前ら、話が盛り上がるのはいいが仕事しろよ」

「執事長ぉ聞いてくださいよ」

「やだ」


 執事長と呼ばれます彼は竜二様に忠誠を一切誓っていないのですが、あの方に会えると言われて仕えているそうです。私は彼のことはあまり好きではありませんが優秀で仕事が速く正確なので、そこは評価してあげないといけないと思っております。性格には難がありコチラを見下して事あるごとに「あの方」と比べられるのでムカつきます。なのでこの前、彼のロッカーに虫を入れてあげました。


「おいメイド長、君はソイツが好きなのか?」

「私は恋愛感情を知りません」

「だそうだ」

「えぇ〜つまらない〜」


 恋愛感情がないのかと思っていた時期もありますが恋愛ものを読んだり観たりして羨ましいと思えるので私も普通に恋はできます。それは追々でよろしいかと思いますので、まずは咲人様へのお礼を考えなくてはいけません。彼に聞いてみるのもいいのですが、普通に癪なのでそれだけは絶対に嫌です。男性の方に質問したいのですが、執事達はまともに話してくれませんし竜二様は論外ですからね。


 メイド達にも聞こうと思いましたが彼女がこれでは他の方に聞いても同じ反応をされて終わりそうですね。自分で考えて導き出すしかありませんか。原様は確か咲人様との面識がある筈だったので連絡を入れるのも手ですが商売相手に借りを作るのはあまり良くはないですね。菓子折りでも買ってご自宅に行くことにしましょう。


「メイド長、君はどうして彼に……」

「助けられたからですよ」

「色仕掛けでもしたらどうだ?」

「貧相な体を見せても意味がありませんよ」

「君のから……すまなかった。セクハラをするつもりはない」

「気にしてませんよ」


 セクハラには該当するかとは思いますが別に気にするほどのものでもありませんのに少し真面目ですね。少し前ならメイドにお手つきをしても何も問題ないとされていた時代を考えると相当変わっているのでしょうから仕方ありませんか。それに咲人様に色仕掛けをしたところで簡単にあしらわれておしまいでしょうから私が虚しくなるだけです。・・・身体のことを考えていたら少し肉が付いてきましたね。


 特にお腹周りに肉が付いていますのでしっかりと運動をしないといけませんねぇ。昔から人よりも肉が付きやすい体質だったことを最近忘れておりましたから運動量は今の倍以上しないと落ちないですね。メイドや執事の皆様では運動相手にはなりませんから咲人様か竜二様ではないと耐えれる方が居ませんね。竜二様にはお断りされますし、咲人様はお怪我をされているのでしんどいでしょうから。


「熊様を相手にしますか」

「ちょっと待て君は何を言っている?」

「運動の相手をしてくださる方がいないので」

「それで熊だと?」

「最近はよく出没しますし相手にはちょうど良いかと」

「馬鹿なのか」


 心外ですね。私は至って真面目ですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ