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51話 佐藤裕太との勝負?1

 グラウンドに坂内と一緒にやってきたのはいいけど歓迎はされていないみたいだな。まぁ僕が歓迎されていないのは分かるが坂内はまだ一応は部員なんだし普通に挨拶とか返してやれよ。礼儀正しくしっかりと挨拶しているのに無視されている方がよっぽど心に来るだろうがよ。嫌われ者に味方している奴に挨拶されても嫌だと思う人間は多いだろうけどね。


 坂内でこれなら神村先輩も被害にあっている可能性もあるってことを考えないといけないんだよな。仕方ないのだけどもあの人も味方してくれているみたいだし早くこんな無駄なことは終わらせよう。生徒会や教師陣も味方とはいえ、ほとんどが権力に屈しているみたいな捉え方しているだろうし実力で黙らせる方が一番手っ取り早い。一般家庭生まれの僕からしたら振るえる権力なんてものは持ち合わせていないんだけどもジジィがくれたから使うだけだし。


「藤咲さん!!」

「・・・どちら様?」

「ひ、ひどいです。忘れたんですか?」

「うん覚えてない」

「が、が~ん」


 口でそんな効果音とかやるような子なのね。ちなみに本気で誰なのかが分からないんだけど、メガネを掛けた小さい子なんて知り合いにいたのかな? 明らかに坂内ではなくて僕の名前を呼んでいるわけだし一体誰だったのかが思い出せないんだが。ユニフォーム的に他校の生徒なのは分かるけど誰なのかは全くわからないんだが。


 なんか知っているような気がするけども思い出せないから名前を聞いてみないと分からないんだけども。一応名前を聞いてみると「・・・本当に忘れたんですか? あの時助けてもらったのに」と言って悲しそうな顔をされてしまった。坂内から冷たい視線を送られるし、一体僕が何をしたんだよと言いたいが名前を忘れてしまっているのが悪いので何も言えない。


「冗談ですよ。中学の時に助けてもらった井上です」

「井上……メガネくんか」

「はい、そうです。メガネくんです」

「あれから大丈夫だったか?」

「いい人ばかりではありませんでしたが楽しかったです」


 中学一の時にいじめられているメガネを掛けた子がサッカー部に所属しており佐藤に相談されて二人で助けた記憶がある。結局転校してしまったので最後までは助けてあげられなかったのだが、元気そうでなによりだ。忘れてしまっていたから僕はあまり心配していなかったってことにはなるがな。あの時は相当辛い思いをした筈のサッカーを続けているとは肝は据わっているのかも。


 純粋に楽しいと思えているかもしれないから何とも言えないんだが……今回のことで本当に嫌いにならないといいんだが。「そういえば藤咲さんはこっちの応援で来てくれたんですよね?」とメガネくんに言われて?が浮かんだ。もしかしてこれが終わった後じゃなくて僕も他校のチームに入った状態で試合をするのかよ。驚きしかないんだが。


「咲っち、マジ?」

「初めて聞いたわ」

「そうだったんですか。一緒に佐藤くんをぶっ飛ばしましょう」

「咲っち……何を教えたん?」


 いや僕は何も教えていないから少し引くのはやめなさい。あの時に嫌いな奴は実力でぶっ飛ばすのもありだし無視をし続けるのもありとは言ったけども佐藤に関しては僕は何も教えていないし、この学校で起きていることなんて把握している訳ないだろう。メガネくんと同じ中学出身の子はいるだろうけども特に関わりとかはないわけだし。


「藤咲さんは信仰対象です」

「・・・はい?」

「咲っち、この子はヤバイ子じゃん」


 それに関してはものすごく同意しかない。僕への信仰とかはどうでもいいから普通で居てくれたらそれでいいのに何故? そんなキラキラした目でヤバイことを平然と言えるんだよ。リアクションに困るし、親御さんは一体何しているのかを問いただしたくなるから頼むからしっかりと見張っていてくれないのかな。僕を信仰したところで何にもならないってことを教えてあげてくれませんか?


 おそらく僕が言っても「謙虚ですね」とか言って話を聞かないようなタイプだろうから僕を1番知っていて尚且つメガネくんに現実を見せれるような人がいいか。・・・ユウか雪菜さんもしくは僕の両親しかいないんだけど!! 仕方ないが敵陣営の佐藤を呼ぶしかないから行って来よう。僕はメガネくんの勘違いを正すための行動をするだけなのだから何も間違っていない。


「藤咲さん、どこに行くんですか?」

「佐藤の所」

「どうしてでしょうか? 今は敵ですよ?」

「お前の勘違いを正してもらおうと思って」

「藤咲さんこそ勘違いしていませんか?」


 そう言われて僕は足を止めるしかなかった。信仰対象にするのはおかしいし、何か勘違いをしていると僕は思っているが本人はそんなことなく逆に僕が勘違いしていると思っているらしい。とりあえず話を聞くために足を止めてメガネくんの話を聞いてから判断することにした。坂内には第三者目線で話せるようにここに居てもらった。二校が僕らのことを注目しているのはあえて無視する。


 メガネくんは「中一の時にいじめられていて佐藤くんは助けようとしてくれました」と話し始めた。佐藤の株が上がるだけだろうと僕は思ったが「その場では収まりましたが」と続けて話してくれた。佐藤が中途半端に助けてしまったことで逆に悪化してしまったのだとか。佐藤はいじめの現場を見て助けてに入ったのはいいのだが最後までは見ていなかったのか。


 人気者で敵に回したくない奴は多いだろうからその場で反省していますみたいな顔をしておけば逃れられることを知っていたんだな。それで佐藤に見つからないところでいじめが続いており、しかもそれがエスカレートしていって精神的に追い込まれていったのだそうだ。しかもクラスと部活の両方であるとか普通なら一年も持たないと思うがな。流石に支えてくれた人がいたのだろう。


「藤咲さんが助けてくれたんです」

「佐藤じゃなくて」

「藤咲さんですよ。貴方様のおかげです」

「違うからね?」


 どうしてそこで僕が助けたことになるんだよ。・・・そういえば別のクラスに乗り込んで邪魔な奴らをぶちのめしたような覚えがあるような……ないような気がするな。その後にサッカー部に乗り込んでメガネくんと一緒に見返してやったのか。それだけのことで崇拝されるのは意味が分からないからそこを説明してほしいんだけども。


「僕はしっかりと分かっていますので、付き合いが長いだけの佐藤くんとは違うので」

「あ? 井上くんがほんの少しだけでしょ」

「今敵対している人が何か言っていますね。藤咲さん、いきましょう。」


 いや説明してくれないのか。あとさ、佐藤に喧嘩を売るのはやめて欲しいんだけど……アイツめっちゃキレているじゃんか。これから勝負するのに士気を上げてどないするんですか?

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