『錬金031話 勇者グラティアス視点』
『錬金031話 勇者グラティアス視点』
「グラティアス、どうして私達は説教されたのよ!! 初めてよ、ギルドマスターに説教されるなんて、ギルドでも笑いものになったし!!」
「俺だって笑いものになんか、なりたくてなったわけじゃない。あの魔物ベヒーモスが悪いだろ! あんな激レアな魔物がいきなり現れて、俺に討伐させるギルドマスターが悪い。しかも勇者パーティーだけでだぞ。無理だろ!!」
ベヒーモスとの戦いで退散して、ギルドに帰ったら、ギルドマスターのタップからは思いっきり説教された。
ふざけるなよ!!
俺に全部、責任押し付けやがってよ。
無理に決まっているのだ。
俺の勇者が誇る剣術があれば、まだベヒーモスとも戦えたかもだが、剣術での攻撃がまるで通じないのだ!!
勝てるわけないのだ。
ギルドで散々怒られた俺は、ギルドから去り、宿屋にいた。
ただベヒーモスのその後は知らないので、
「ベヒーモスはどうなった?」
「ちょっと聞いた話では、偶然にもベヒーモスは王都近くから去り、別の方向に去った。そのまま森の奥に行ったと確認されたらしい。まあ良かったわよ」
「森の奥なら今は大丈夫てことか。人に被害はないからな」
ベヒーモスが森にいるなら、今は安全だな。
しかしこの後はどうなるかは、ベヒーモス次第か。
「でもね、私達が逃亡したのは、広まったのよ、次は逃げれないわよ。逃げたらまた逃げたなと笑われてしまうし、勇者失格とか判断されるわよ」
ミーシャが言うものの、お前だって魔法使いだろ、俺のせいにしてないか?
俺だけの責任にするのは卑怯だ。
「グラティアスの剣術がまるで効かないのが原因だわね」
「おい、フィーネル、俺のせいにするな」
「だって、全く剣術が効いてないし、傷もつかないし、出血もしてなかった。ミーシャの攻撃魔法しかない。理由を教えてよ?」
フィーネルが俺の剣術が悪い理由を言えと。
確かな理由はないのが現状だ。
ベヒーモスに偶然にも俺との剣術において相性が悪かった可能性もあり得る。
それなら説明がつくし、俺は悪くない。
ミーシャが頑張るしかないからだ。
なぜなら魔物と冒険者には相性がある。
相性が良い悪いは必ずつきまとうのだし、そこはミーシャもフィーネルも理解するよな。
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