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さて、海の魔物と言ったらみんな大好きダイオウイカ…じゃなくてクラーケンだよね。
今回、勇者が討伐する予定にも入ってるらしい。
ダイオウ……クラーケンが。
個人的に気になるのは、ダ…クラーケンの生態とか、本当にアンモニア臭がするのかとか……
サメとかエイとかアンモニア臭がする魚の場合、湯通ししたら匂いが抑えられていいらしいんだけど、ダイ……クラーケンにもその手が使えるんだろうか。
浸透圧の関係で生物が尿素を使うのはいいとして、それで身がアンモニア臭くなるのは、食欲を減退させるよなぁ。
ってか、できれば死んだクラーケンより泳いでるのを見たいな。潜水艦が必要なのか。普通の船だってまだ帆で風を受けてる段階なのに潜水艦は作れないだろ。クラーケン見たいのに…
クラーケンへの思いを熱く語ってはみたものの………日常生活に関係ないからいっかぁ。と思ってたんだけど………
『マリちゃん。クラーケンって食べられると思う?』
キラキラした目で勇者が聞いてきた。
「食べたことないから知らない」
『だから、食べられそうな気がするかどうかだって。あれ大きいから食べ応えありそうじゃん』
お前相変わらず食い気だけじゃん。そういえば、食べ物のこと考えるだけで魔王も倒せるんだコイツ。湯通しした後で細切りにしたらイカそーめんなんだろうか?
身が厚そうだからまずは薄くして……面倒くさいな。せっかく旅行中で宿で食べる分には食事はタダ。従姉や従兄や勇者や騎士団の誰かとならどこででも奢っても貰える。この状況で私が調理する必要はどこにもない。まして、弟妹もいないところで腕を奮う必要もない。
「食べられるか食べられないかと問われたら、食べられるのではないかと思う」
『イカそうめんとかにしたら食べ応えありそう………イカ飯…食べたい』
だから、米は無いって。ってか、あのサイズのイカ飯どうやって作るんだよ!
「深海系の生物だとアンモニア臭い可能性もあるな」
『…アンモニアぁ?』
顔をしかめるってことはアンモニアの匂いが苦手なんだな。
『食べらんないじゃん』
「新鮮なら大丈夫だし、湯通ししたら匂いが減るらしいよ」
『わかった』
何がわかったかはわからなかったけど、打倒クラーケンに燃えているらしいと、一号から聞いた。
食欲以外にやる気出せないのか、勇者。そんなんではよくないと思うので、帰ってこないで。




