90
「干物と燻製と塩蔵だったら何が好き?」
『マリちゃん作ってくれるの?マリちゃんが作ってくれるならなんでも♪』
「弟へのお土産を考えてるだけ。お前の年齢がたまたま近いんだ」
なんで残念そうな顔をするんだ。珍しく私の方から話しかけてるのに。
『アジの干物もスモークサーモンも好きだよ。塩蔵って?』
「塩鮭とか」
『好き、好き!焼いたそのままもいいけど、鮭握りとかお茶漬けも大好き!』
「はいはい」
米は無いけどな。
うーん。どれもオッケーとなると逆に難しいな。
干物になりそうな魚を探しながら、サンジャックで干物とスモーク作って、鮭があればスモークと塩蔵を試すか………よく切れる刃物が必要だな。
むしろ干物もスモークも片っ端から試した方が早いかな。
燻製の設備はどうするか。ハム用のとかが空いてるかな。
従姉兄たちに聞いてみよう。ってか、大々的に実験して貰えばいっか。よし、ある程度の指針を出して丸投げで行こう。よくできたのだけ、お土産にしよう。面倒くさいとこは人に任せるのが一番。
「用事は済んだ。さっさと討伐に行ってこい」
『マリちゃん。美味しいもの食べさせてくれるんじゃないの?市場に行こうよぉ』
「ちょっとリース商会に行ってくる」
『ロッティ姉さんとこなら一緒に行くよ。護衛頼まれてるし、明日っから討伐行くから留守の打合せもしなきゃ』
お前に護衛されるの迷惑なんだよ。牛よりはマシか…目立つもんね。ここでは有名人だし。
でも、この警戒っぷり………なんかあるんだろうね。ってか…牛!お前の適当さが私に迷惑かけるんじゃ。敵対組織は踏みにじっておけよ。
明日っから魔物の討伐が始まる。街の守りを残して、勇者と騎士団はカスレを拠点に討伐に出たり戻ったり…。
とりあえず、加工用の魚介類の選定から始めてみますかね。
途中で変なちょっかいをかけて来たヤツらがいたら、二度とそんな気を起こさないようにお仕置きしなきゃね。




