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朝市視察の結果、魚の塩焼きはまあまあで、海藻類はほとんど売られてなくて、貝類は………苦手なんでよく見なかった。味が好きじゃない。前世の話。現世は内陸部の王都生まれの王都育ちで貝類を見たこともない。
クラゲとかナマコ、タコ、イカも見つからなかったな。まぁ、デビルフィッシュは市場には並ばないよな。ん、宗教違うからどうなんだろ?って、よくわからん。前世も現世も無神論。
魚はそのうちに港に行って見てみようかな。
あとはガルムが見つかるかどうか………あ、魚醤は要らんな。どうも最近、勇者に毒されてきたみたいで日本食に使えそうな食材を探してしまうわ。魚醤は生臭さが苦手だし、どうせなら大豆で作った醤油の方がいいけど、ぶっちゃけ醤油が無くても全く構わない。
味噌なら一般的なのより麦味噌が好きなんだ。だから、実は勇者とは相容れない。そもそも味噌汁が好きじゃないしな。
前世は食生活って意味ではあんまり日本人らしくなかった。いや、中食は日本のいい文化だと思う。うーん、つまり、味噌が苦手ってだけかも。カレーも苦手だが。お米食べなくても何の問題も感じなかったし、漬け物は受け付けなかったけど…。
そういえば、日本女性らしいとこを探す方が難しいとは副社長によく言われたな。剣道と薙刀と棒術なんて日本女性以外誰が習うんだろうと思ってたんだけど、なぜだ。ついでにお茶とお花もやってたし、如何にも大和撫子じゃないか。うん。自画自賛しても良かったな。柔道をもう少しやっていても良かったな。まぁ、それもこれも過去の話。
今回リース商会が大々的に動いたから、弟への土産の他に商売になりそうなものを探さないといけないかもしれない。義理はないから気分が乗ったら考えよう。
弟へはタンパク質系だ。海の魚は見たことないだろう。ってか、市場に買い物へ行くのは私だが、王都では魚売ってなかった。川魚は自分たちで捕るんだし、海から運んだら高くなるし腐るし…。
腐敗を避けるなら、干物か燻製か塩蔵か…。輸送コストと日数を考えるとかなり微妙だな。ここは勇者に運ばせることを考慮に入れるべきかな。あのバッグに入れておけば腐敗しないらしい。バッグだけ欲しいな。持ち主は要らん。
兄をけしかけてカスレに置いていくか。一番先に検討しなきゃいけないのはそこに違いない。兄は勇者を危険判定してるから、私から離す為なら何でもするだろう。
二人に二度と会わない生活………理想かも。
「ところで、今日は騎士団の仕事は?」
『休みだよ』
「魔物退治は?」
『第3騎士団の仕事だよ。だいたいマリアンヌがわざわざ王都から会いに来てくれたんだから休みにするに決まってる』
仕事サボって威張るな、シスコン。
「仕事をしないヤツは嫌いだ」
冷たく言い放つ。
『お義兄さん、明後日から一緒に討伐に行きましょう』
『勇者だか何だか知らねえが、お前に兄呼ばわりされる覚えはない!』
『妹離れしないと嫌われますよ』
『妹を心配しない兄がいるか?マリアンヌは恥ずかしがり屋だけど俺を愛してくれてるんだ』
図星を突かれて真っ赤になって反論する前に、仕事しろ。お前の存在が恥ずかしいわ。
「お前らいいかげんにしろ。宿の私の部屋になんで入って来てるんだ!」
ああ、この二人に二度と会わない生活………そのためになら悪魔に魂を売ってもいい気分になった。売らないけど。そもそも悪魔いないだろ。
ってか、早く私の部屋から出てけ!二度と来るな!




