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色々と仕込みが終わり、やっと叔母のところへ行くことができた。

出掛けに勇者と鉢合わせてしまったが、手荷物がなくなって身軽になったのでヨシとしよう。

叔母は数人の薬師を抱え、回復薬や病気のための薬などを製造して冒険者ギルド等に卸している。その他にも、繊維工場などか弱い女性の働く場所を手広く提供している。ちなみに、さすがに王都、女性の働く場所は地方に比べると少なくない。腕に自信にあり冒険者として活躍する人もいる。

「叔母様、お久しぶりです」

『マリアンヌ、相変わらず元気そうね。あなたの活躍は聞いてるわ』

同じ王都内とはいえ、叔母とうちではまるっきり反対側。徒歩でのはなかなか来れない。

『今日は評判の〈カレーではない何か〉のことかしら』

「はい。うちでやるには売れすぎて大変になってしまって。父の店と母のとこに卸す分以外お願いしようかと」

『大口だと第3騎士団のとこと王都外ってとこかしら』

「王都外は今、ちょっと出してるだけなんだけど、今の商人に全面的に任せちゃおうかと思ってます」

『信頼できる?』

「裏切りませんわ」

ふふっ。互いに笑い合う。そこの話は通じた。

「今、第2、第3騎士団は抑えてあって、商業ギルドは父が担当してます」

『残りはこっちでやれば、好きにやっていいってこと?』

「もちろん」

『了解』

第2騎士団にもファンがいることは追加情報で入れておく。

「原料は先の商人が格安で入れてくれます」

『ふふん。抜かりないわね。上がりの5()でどう?』

相変わらず厳しい。

「3()でいいから数出して」

薄利多売と行こう。

『一年で倍で?』

商談成立。

『ところで、そちらが話題の勇者様?』

「叔母様、気になるのはこちらの方でしょ?」

忘れ去られた勇者が持っていた蒸留酒を差し出す。

『そうなの♪シャル兄から聞いて…』

「叔父様のおしゃべり」

倉庫を貸してくれた叔父は相変わらず妹である叔母に甘い。まあ、漏れることを想定してたけどね。ってか、できてからちょっと時間を置いて焦らせ作戦だったし。

『かなり強いお酒だとか?』

目が爛々としてきたよ。相変わらず、飲んべい。

「そのまま飲んでヨシ。ジュースやお茶で割ってヨシ」

話しながら食堂に移動したら、家族全員飲む気満々じゃん。

「叔母様には特別、火酒バージョンも用意しました!」

そのままでも火酒って呼ばれるに相応しいほど濃いんだけど、辛いもの好きな叔母には唐辛子を漬け込んだやつも作ったの。マジ火噴くわ!

『〈カレーではない何か〉の益々の成功を祈念して乾杯!』

飲み会は最初っから蒸留酒で始まった。私はハーブティー割り。勇者はエール割りを渡された。叔母の家族は生のまま。酒豪揃いだし。一杯飲み終わったら、勇者を置いてこっそり逃げ帰った。

持って行った蒸留酒だけでなく、叔母の家にあるお酒を飲み尽くすまで終わらないはず。まぁ、頑張れ。

これに懲りて二度と来るな!

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