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勇者は今日もやってくる。
『マリちゃん。パンが堅いの』
首を傾げてみる。
「普通じゃない?」
『ふわふわの白パンが食べたい』
「軟弱な!顎を鍛えろ!顎を」
『そうじゃなくて。黒いパンに飽きたんだよぉ』
「黒パンは噛めば噛むほど味が出て美味しいじゃん」
『マリちゃんも前世ではふわふわの白パンとかデニッシュとか好きだったでしょ?』
「うーん。朝食だったら、ライ麦どっさりのドイツパンにレバーペースト塗ってたな」
勇者は私の手元をじーっと見た。
『今と同じ?』
頷く。黒パンにレバーペーストの朝食。
「女性は貧血になりやすいから予防が肝心だし、レバーペースト好きだし、黒パンに合うし」『マリちゃん、お腹空いた』
言うなり、私の手から朝食を奪って口に放り込んだ。
『う、レバーくさっ』
暴挙に怒る前に勇者は飛び出して行った。口元を抑えて、目に涙が浮かんでるようだった。
人の朝食奪うなんて!二度と来るな!




