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勇者鳥頭継続中。
翌日、何もなかったようにやってきた。
変にうっとうしく引きずらないことだけは誉めてやる。
『キャベツ買ってきたよ』
おっ!気が利くじゃん。
『ロールキャベツとか食べたいなぁ』
「挽き肉料理はキライだと前に言ったよな」
『鶏肉ならそんなに熟成期間が要らないから腐りにくいかなと』
むっ、勇者のくせに考えてきたな。
「挽き肉にする際の汚染はどうする気だ」
『道具を熱湯消毒だ!』
「手指にも雑菌は居るぞ」
『石けんを貰ってきた!』
ビシッと石けんを掲げた。
…………。
「入れ知恵は母か」
ため息をついた。
『あれ?なんでバレたの』
「それ母の愛用品」
『ロールキャベツとハンバーグと豆腐ハンバーグを順次食卓に乗せろとの指令を受けてます』
「試食したいんだな」
『ガッツリ食べたい!』
「…いや、試食したいのはウチの母」
こぶしを握って力強く叫ぶ勇者に、脱力中。
なんで勇者使うかな。直接言ってくれたらいいじゃん。拒否るけどさぁ。
『作って、作って!家族の希望もあるよ』
「だが断る!」
『…なんで?』
「親の要望に応える義務はない」
『エリックとブランちゃんも期待してました』
…………………………
「キャベツ茹でるから水汲んで来い。あと鶏肉調達してこい」
ものすごい敗北感がある。
入れ知恵があったとはいえ、コイツにいいように使われるなんて…
『鶏肉預かってきてます』
「…母か」
『うん』
味付けどうするかなぁ。
昨夜の野菜スープの残りでいっかなぁ。コンソメの素無いし、トマト無いし…。今からなんかそれらしいもの作ると間に合わないし。昨日玉ねぎたっぷりスープだったからそれがいいや。
口に合わなきゃもう二度と作らなくていいだろ?




