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田舎の因習で一生座敷牢だった忌子、人外魔境日本に転生する ~倒した妖魔を次々に仮面にして最強になる~  作者: 手羽先すずめ


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3/3

仮面

 蹴っ飛ばしちまった仮面を拾ってやると、そいつは鼠っぽいやつだった。

 俺たちが食った奴に似てるな。

 顔面から引っぺがしたみたい、ってのは言い過ぎか。まぁ、俺が鉄パイプで頭を砕いちまったから、見比べることもできないんだが。


「これ紫暖の?」

「ううん、知らない」

「ふーん。じゃあ、俺が貰っちまうか」


 仮面、好きだしな。

 あんまり好きじゃない自分の顔を隠せるから。


「ほら、似合うか?」

「うん。鼠人間」

「なーんか格好悪ぃな」


 鼠って英語でなんて言うんだっけ? マウスか。

 マウスヒューマン。ヒューマウス。うーん、ダサい。もっといいネーミングはねぇもんか。とかなんとか考えていると、側で物音がした。

 仮面越しに見た足下に、鼠が一匹駆けて行くのが見えた。

 そいつは俺たちが食い残した骨に噛み付いて、残った肉をこそぎ取ってる。


「あはは! 鼠が鼠食っちまってらぁ!」

「ねぇ、稟護稟護」

「ん?」

「いっぱいいる」

「いっぱいって?」


 紫暖が袖を引っ張るもんだから顔を持ち上げてやると、俺たちを取り囲むみてぇに大量の鼠がいた。どんだけいやがるんだ、両手の指が何本あっても足んねぇぞ。


「なんだよ、親分をぶっ殺しちまったから怒ってんのか? だってしようがねぇだろ。向こうだって俺を食おうとしたんだ。せーとーぼーえーだ、せーとーぼーえー!」

「鼠に人間の理屈を言っても意味ないと思う。言葉も通じないし」

「じゃあどーすんだよ、この状況!」

「私の術式でなんとか」

「できそう?」

「無理かも。数がどんどん増えてる」

「俺、鼠に食われて死ぬのかぁ!?」


 紫暖が手の平で火ぃ燃やしてくれてるが、それでどうにかできる数じゃないのは本当だな。地面が鼠で覆い尽くされてるし、電柱とか建物の屋根とかも鼠だらけ。そんなに居たら逆に身動き取れねぇだろってくらいみっちり密集してやがる。

 このままじゃ骨までしゃぶられて、おっちんじまう。


「ええい! てめぇらどっか行け!」


 そう、怒鳴ってやると。


「あら?」


 さっきまで何千何百といた鼠どもが一斉にどこかへ逃げていった。


「言うことを聞いた?」

「まっさかぁ……集合!」


 すると、どっかに行った鼠どもがまた戻ってくる。


「解散!」


 また鼠どもが消える。

 俺たちは顔を見合わせた。


「集合! 解散! 集合! 解散! 集合! 解散! 集合!」


 戻ってくる。消える。戻ってくる。消える。戻ってくる。消える。戻ってくる。

 何度繰り返しても、何度でも同じことをする。


「だははは! こいつら俺の言うことなんでも聞くぞ! こわ! なんでだぁ!?」 

「……もしかして、その仮面のせい?」

「仮面の?」


 試しに取ってみる。


「解散!」


 鼠どもは反応しない。


「あら、ホントだ。なんだ、この仮面?」

「たぶん、稟護の術式だと思う」

「俺の? 俺って魔法使いだったの!?」

「人は誰でも産まれながらに術式を持ってる」

「そーなの!?」


 知らなかった、そんなの。


「それじゃ俺の魔法って鼠を操れるってこと? なーんかがっくしくる魔法なんですけど」

「うーん。それだと一度仮面を介してる意味がない。鼠を操る能力は仮面に付属しているもので、稟護の術式は別だと思う」

「仮面を作る魔法ってこと?」

「能力を持った仮面を作れる魔法、かも」

「なるほど……つーことは、鼠をぶっ殺したら鼠の仮面が手に入ったってことでいいんだよな」

「状況的にみれば、そう」

「色んな奴ぶっ殺せば色んな仮面が手に入る?」

「そうかも」

「そっかぁ。よし! これから目に付いた奴を片っ端からぶっ殺そう!」

「バイオレンス。花は?」

「そうだ、花のこと忘れてた。じゃあ、花屋に向かいながら目に付いた奴をぶっ殺す! 花屋は鼠に探させる! 以上、完璧!」


 鼠の仮面を装着。


「行け! 鼠ども! 花屋を探せ!」


 命令を受けた鼠どもが一斉に散らばっていく。


「問題は鼠に花屋がわかるかどうかだなぁ」

「鼠は種を食べるし、案外すぐに見付かるかも」

「だと良いな」


 と、話していると思ったよりもずっと早く鼠の一部が戻って来た。


「なんだ? もう見付けたんか」


 俺たちの前で二足歩行になって、身振り手振りでなんか伝えようとしてる。


「んん? この先に妖魔がいて? 仲間が食われてる?」

「わかるの?」

「何となくだけどな。そっか、そいつが邪魔で花屋を探せないのか。よし! そいつをぶっ殺そう!」

「出来るかな?」

「やってみねぇとわかんねぇけど。ま、大丈夫でしょ。行こうぜ」


 血がべっとりついた鉄パイプを持って、鼠どもに妖魔のところまで案内させる。

 妖魔は意外と近い場所にいて、崩れた建物の屋根にいた。


「猫だぁ……でっか」


 寝そべって、大あくびをかいた大猫。

 大きさは鼠の妖魔なんかとは比べもんにならないくらいデカい。ライオンとか、虎とか、そのくらいを更に一回り大きくした感じだ。

 そんでもってそいつの尻尾は途中から二つに分かれてる。


「猫又」


 紫暖が言うには、そういう名前の妖魔らしかった。

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