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???「これが転生か」神?「そうとも言える」

「何だと!?」

 私の神をも凌駕する魔法があんな虫けらの放つ魔法と同等!? 

「ありえん! あってはならんことだ!」


「貴様如きが私と肩を並べるなど!!」


「――並べなけりゃいいのか? だったら、簡単なことだろう?」

 唇の端を持ち上げ、あくまで余裕に見えるように。

『――そうそう、あの聖女の嬢ちゃんに何かされた時の対処法も教えてやる。ああやって上から目線で来るやつは基本的にプライドがものすごく高い。むしろプライドだけで存在しているような奴らだ。だからこそ、こっちが相手の行動に対して余裕な態度を見せ続ければ相手はこちらを上回らなければならないと勝手に空周る』

 もしも、腹が立ってしょうがなくかつ逆襲されても良い状況だったら試してみろと言われたことだが、こいつも同類だろう。


 同じぐらい神を下に見てるからな!


「この程度で、この程度が私の限界だとでも言いたいのか!?」

 効果は驚くほどにあった。

「ぐ、ぐおおお……!」

 理想も含めて無限に出し続けられる魔法。だが、一回に出せる威力っていうのは相手の方が遥かに上。そこの出力を上げられたら、さすがにキツイ……!


「だが、耐えて見せる!」

 俺はこれでも我慢強いからだ!

 そうならなければあの師匠と聖女の下では生きていけなかったんだ!!

「あっ、やべちょっと泣きそう」

 ぐんっと気力が落ちたところに破壊魔法がのしかかってくる。


「クソオオオオオオ!! 負けるかああああ!!」

 これで負けたら誰に負けたことになるんだああああ!?


「何っ!?」

 一度は沈んだ威力が戻ってきただと!?」

「な、ならば再び威力を上げれば……っ!」

 自分で言ってから気付いた。

 威力を上げると言ってもどうやってあげればいいのかがわからない。


 破壊魔法は最強だ。他の追随は許さず、すべてを無に帰す。

 だからこそ、神に封印された。

 そして、復活してからも使うことはなかった。

 いや、使ったとしても威力をかなり弱めて使っていただけだ。


 そう。強すぎるが故に私は威力のセーブだけは覚えたが、上げようにも上げ方がわからないんだ。

 自然に流れる川の水をせき止め水量を調節することは出来ても人為的に水量は増やせないのと同じこと。増やすためにはどこからか水を持ってこなければならない。

 この場合は、水に代わる源の力――すなわち魔力。


「魔力の補給!」

 それは今あいつがやっていること。

 この天才の私が二番煎じだと!

 ならぬ! そんなことあってはならぬ!!


「私は最強だあああああ!!」


「頂点はいつか抜かれるためにそこにいるんだ! いい加減、場所を譲れクソじじい!!」


 ――――!!


「……ど、どうなった?」

「…………へ、へへ。ざまぁ、みろ」

「ま、まさか……相殺されたというのか!?」

 あり得ない。そんなことがあっていいはずが……!


「私は、私は最強なんだ―――!!」


「チッ!」


「相殺? いいだろう。褒めてやる。認めざるを得ん。私が殺した男は確かに天才だったようだ。……だが、貴様と私ではやはり才能に天と地ほどの隔たりがある」

 その証拠に魔力を補給していたのにも関わらず、疲労困憊じゃないか。

「もう一度同じ真似が出来るか!?」

 出来なければ死ね!!


「……ハッ、ヤバいかな」

 あいつの言ってることは間違いじゃない。

 理論上は魔力を消費しない、正確には消費した分を常に補給し続ける魔法だが、当然これには弱点がある。自分の許容限界以上の魔力を使い続けることは肉体に大きな負担がのしかかる。

 器に大量の水を注ぎ続け、溢さないように使い続けるといってもどうしても少しは漏れる。それが負荷となる。

 俺の肉体はそれに耐えきれない。

 もう一度撃てと言われたら不可能だ。


「最後は才能に負けるのか」

 やっぱり、俺は凡人だな。

 生き残るために魔法に手を出したが、こんなことならもう少し別のことも磨くべきだった。


「やっぱり師匠あなたは凄い」


 思った通り、あいつはもうこれ以上あの魔法を撃てない。

 なら、連続で撃てる私が勝つ。

「フハハッハ、さらば――」

 勝利を確信していた私は何故か強い衝撃を受けた。

「バ、バカな。一体誰が?」





「――ん。よく頑張った」

「師匠! た、助かりました」

「気にしなく良い。私も助かった」

 いつもの調子を取り戻した師匠からの労いの言葉。はぁ~癒される。ここに来る前から結構精神的にキツかったもんな~。


「それにしても、俺が断ったからって師匠が来るのは無茶し過ぎですよ」

 嬉しかったですけどね!

「……反省。こんなことになってるとは思わなかったから」

「それにしても師匠を生み出したのは本当の天才だったみたいですね。まさか神まで操るなんて……」

「むふ~。凄かった」


「な~にが、凄かったじゃ!! 儂を操ったせいで地上にどれほどの影響が出たと思っておるんじゃ!!」

『――それを言うなら簡単に操られてんじゃないわよ! 神のくせに!!』

「ぬわぁあああ!?」


『ふふん。状況はわからないけど、ようやくこっち側からコンタクトが取れるようになったわね』

「お、おぬし……」

『あら、驚いた? 私レベルの超天才になるとそろそろ一方的に連絡を寄越されるのが嫌になるのよ。だからこそそっちに行かせてからずっと修業をしてたわ』

 あれ? 俺がこっちに来てからどれぐらいの時間が経ったんだろう?


『昼寝の時間も削って半日もかかっちゃったじゃない! これで繋がらなかったら私以外に原因があったとしてそこにいる奴ら全員ブッ飛ばしてたからね!?』

「……半日て」

 こいつも規格外だな。





「……まあ、神の相手は聖女に任せるとして」

「ん。普通は逆だけど、否定はしない」

 神が顔だけ地面に付けるスタイルで話を聞くというのは正直わけがわからないが、なんとなく逆らえないものを感じたんだろう。

「聞きたいこと、ありますか?」


「ん。私が戻るのも計算通り?」

「はい。そこまでが師匠……案山子の計画です」


『いいか、よく聞け。お前が戻ったところで状況が好転するわけじゃない』

『いや、そんなハッキリと』

『早く戻れば意表はつける。だが、お前の実力は変わらない。あいつは俺と同レベルと言いたいところだが残念なことに俺よりも少しだけ天才らしい』

『あんたも大概自信過剰だな!』

『で、だ。ある一つの可能性に賭ける』


「その可能性っていうのが師匠の復活でした」

 方法としてはあいつに師匠そのものである魔法を使わせることで師匠への影響を減らし、自我を取り戻させるというものだったらしい。

「そのためには認識を破壊するなどの精神的なものじゃない本格的な破壊の力を使わせる必要がありました」

 まあ、かなり分の悪い賭けだった。


 失敗すれば俺どころか世界が崩壊する危険があったんだからな。


「だけど、不安はありませんでしたよ。二人の師匠を信じてましたから」


「お~い、おぬしら」

「うわっ!? 神、やつれたな」

「別にどうでもいいわい。もう神としての威厳は地に墜ちた」


『あら、私の所に墜ちると言うなら教育してあげるけど?』


「ヒィイイイ!? け、結構じゃ! それはそうとこやつの処分が決まった! ついでにお前らも地上に戻すからしばらくはここに立ち寄るな! いいな!!」

 こうして俺達は神に急かされながら慌ただしく地上へ帰って行った。





「こ、ここは……?」

 私は一体どうなったのだ?

 何も思い出せん。


「目が覚めたか」

「貴様はっ!?」

「おっと、俺に噛み付く前に自分の状況をよ~く確認しな」

「状況だと……な、なんだこれは!?」


「私が女になっているだと!?」


「正確には幼女だな。しっかしまあ、あの女のイカレ具合はおそっろしいな」

「しかもなんだこの動きにくいドレスは!」

「あの女の趣味と言いたいところだが、それは生命魔法の女とあの女の趣味だ。本当に趣味の悪い師弟だ」


「いいか? よく聞け、お前に下された罰を伝える」

「罰だと!? 神を超えるこの私にか!」

「負けた時点でお前には神が何重にも制限をかけてるからかつての力はもうねえよ」


「――お前は転生して、もう一度人生を歩め。ただし、新たな肉体は魔力を蓄えられない体質としてだ」


「バカな!? 私のような天才がその程度の戯言を信じると……そ、そんな」

 魔力を本当に感じないだと!?


「はぁ。俺もショックだぜ。まさか俺も一緒に罰を受けるなんて」

「……何が罰なものか! 貴様、どうやったかは知らんが足も元通りになっておるし力も以前とは比べ物にならんほど上がっているではないか!」

「ああ、そういうのは感じられるのか。……つまりお前は平凡な奴らが自称天才と言って力を行使する様を目の当たりにしてやきもきすると。ほんとえげつねえな」


「俺の罰は神の眷属となってお前を監視することだ。お前以外には姿は見えないし、お前に関すること以外では干渉できない。その代償としてこの力と姿だ」

「ほほう、つまりはお前は私の世話係ということだな」

 だったら、存分に働いてもらわねばな!


「甘ったれんな。俺は監視だっつたろ。別にお前が死のうが犯罪を使用がどうでもいい。ただ、度を越したら罰を与える。――あと、最後に一つ付け加えるとお前が今世、つまりはその肉体で死んだら次は特別にゴキブリに生まれ変わらせるそうだ」

「なんだと!?」

「それが嫌なら精々反省を示すんだな」





「今頃、案山子とあいつは話し合いをしてるのかね?」

「さあ、どうかしら? 案外、どっちも文句を言い合ってるんじゃない」

「それにしても案山子を神の弟子にするとは……」

「まあ、神も大分耄碌してるみたいだから仕事の一部を引き渡す相手が必要でしょ?」

 初めは死んだら聖女がそれをやると言って脅したんだっけ。

 それは嫌だとごねた神に差し出したのが案山子。

 おそらく聖女は初めからそのつもりだったんだろうけどな。


「まあ、私が死んだら神を引き摺り下ろして部下にしてやるわ」

「ほんっとお前は死んでも変わらなさそうだな」 

 俺は死んだらどうなるのかね?


「あんたは死んでも地上に残りなさい。なんだったら、師匠達と旅をしてみてもいいと思うわ」


「それが本当の自爆霊ってか」

う~ん。目標には遠く及ばない文字数での完結になりました。

意外と書きたいことは書けたんですが、いろいろ及ばないところが多々ありましたね。

今回の反省としてはやっぱり書き溜めておかないといけないということと、設定をもう少し練るべきだったと思ってます。


愚痴はともかくこれにて完結。

ここまで読んで下さった皆様には感謝しかありません。


それではまた懲りずにどこかで出会えることを願っております。

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