4.雷神―13
そんな相手を見下し、笑い、恭介は言う。
「俺に電撃は効かない」
そんな恭介の宣言が聞こえていないのか、遠くで見ていた連中が、
「雷神が効いてない!?」
なんて間抜けな事をつぶやいていた。
首元で稲妻の音が轟いている中だが、恭介にはそれがハッキリと聞こえていた。少し離れた位置で電撃を避けていた琴にもそれは聞こえたようで、くすくすと笑っていた。
恭介がやっと抵抗を見せる。自身の首を鷲掴みにしていた男の手首を右手で軽く捻り揚げ、掲げるように持ち上げてやる。まだ、男は諦めがつかないようで、その手から稲妻を散らしている。それらも恭介に触れるが、恭介はびくともしない。
「雷神……ねぇ」
それは恭介が絶縁体の役割を担う能力を雷撃によって付加されているからだ。
「偶然だが、俺の友達も雷神って呼ばれてんだ」
そして、反撃。恭介の空いた左腕が、男の腹部に思いっきり押し付けられた。そして、放電。
「ぐが、おぉおおおおおおおおおおおおお!!」
男の雄叫びが等々力、身体が恐ろしい程に痙攣する。抵抗等できるはずがなかった。格が、違った。
男にも絶縁機能はあるだろう。でなければ電気系の超能力を扱えるはずがない。だが、男の熱に対する耐性が、恭介には及んでいなかったのだ。いくら雷を通さないとは言えど、それによって発生する熱を人間の肌が防ぎきる事ができるはずがなかった。多少は抵抗があったとしても、やはり、格が違い過ぎる。
恭介が男の手を払うと、男の身体は情けなくも床に落ちた。その光景は、連中の強気をへし折ったようで、声は聞こえてこなかった。
倒れた男を見ると、腹が焼け爛れていた。服が溶け、溶けた皮膚と混じり合って目の当てれない状態になっていた。恭介はそれを一瞥し、眉を顰めた。
はぁ、という嘆息の後、恭介は笑みを取り戻して、呆然と固まったままの連中に言う。
「こいつが俺の友人の雷神と比べたら、たった今死んだこいつなんて静電気みたいなモンだ」




