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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十一章 売り買いの対象となったヒーロー

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第96話 カウラとアメリアお勧めのかなめの嫁

「そうだよな……あの馬鹿と付き合うのもこのまま泥沼ってことになったら本当にアイツの馬鹿な餓鬼を10人も生むことになるわけだ……それだけは何としても避けたいな。神前、これは上官命令。オメエがアイツを孕ませろ。オメエには氷上君子を童貞のまま孕ませるという奇跡の実績がある。オメエならできる。そうすれば『徳川譜代』の連中が命懸けでオメエをアイツの婿にする。そうすればアタシはアイツから自由になれる。これも人助けだ。頼むわ」


 かなめは今度は銃を組み上げながらそう言った。誠はそうなった場合のかえでの怒りを想像して恐怖のあまり首を大きく横に振った。


「西園寺さん。無茶苦茶言わないでくださいよ。あの人は何時からマリア様になったんですか?僕にはそんな奇跡は起こせません」


 誠はそれはかなめが変態に調教したかえでのせいだと言いたかったがなんとか我慢した。


「あの人に何を言っても無駄だと思うけど。どう見ても馬鹿で理解力ゼロで思い込みだけで突っ走るんでしょ?あの人。そんな人と深い関係になっちゃった時点でかなめちゃんの自業自得。もう結婚しちゃいなさい。そうすれば誠ちゃん争奪戦から一人脱落して私はうれしい。それに誠ちゃんも田安中佐は嫌みたいじゃないの。顔が青くなって必死に首を横に振ってるわよ。かなめちゃん。覚悟を決めなさい」


 アメリアは笑顔でかなめに向けてそう言った。その顔を見てかなめはふくれっ面をしてまるで子供のような地団駄を踏んだ。


「嫌だ!アタシは自由人なんだ!あんな馬鹿と付き合ってるのはアイツが泣いて頼むからだ!」


 必死になってかなめはそう反論する。その姿はまるで三歳児である。誠はかなめがこのサイボーグの身体を手に入れたのが三歳の時だったと聞いていたのでかなめの精神年齢はその時点で止まってしまったのではないかという疑いの視線を向けた。


「それを断れない貴様の落ち度だ。大人なら嫌なら嫌でちゃんと断る。当然の話だろ。それを断れずに泥沼の関係を続けている。西園寺、貴様は田安中佐と結婚しろ」


 反論するかなめにカウラは冷たく言い放つ。そこにはある意味余裕のようなものが誠には見て取れた。


 カウラもアメリアもかなめを麗子と結婚させようとしている。その事実にかなめは必死になって首をひねりながらこの場から逃れる言い訳を考えていた。


「あの馬鹿に自分の立場を分からせる方法……」


 かなめは銃を組み終えてホルスターに戻すと偶然目のあった誠を見てニヤリと笑った。



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