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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十一章 売り買いの対象となったヒーロー

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第95話 将軍様の大嫌いな『斬大納言』と似た脳内

「それにしても皆さん……疲れてますね。ジュースでも飲みます?」


 一人、機動部隊の詰め所でずっと慣れない端末の操作をしていたアンは誠達を見回してそう言うとそのまま立ち上がった。


「やっぱり、あの気の利かないアンから見てもアタシはそう見えるのか……そうだよな、あんな馬鹿に半日も振り回されたんだ。疲れて見えて当然だ」


 慣れた調子でバレルをスライドから抜きながらかなめはそうつぶやいた。


「まあ、一番疲れてるのはかなめちゃんだもんね。それにしてもあれほどかなめちゃんに執着して……まるでかえでちゃんが誠ちゃんに執着しているのと同じくらい。まあ、かなめちゃんの場合は好きで肉体関係にあるんだものね。でも最後に誠ちゃんを見て嫌な反応をしていたわね。『誠様』と呼んだり、『立派な殿方』とか言って褒めたり……誠ちゃん!あの人の前でパンツを脱いだりしなかった!」


 アメリアはいつもの糸目で鋭い口調で誠に向けてそう言った。


「なんでいきなり初対面の人の前でパンツを脱がなきゃならないんですか!僕はかえでさんじゃないんですよ!裸を見られて喜ぶ趣味は有りません!」


 誠は全力で否定したが時折麗子の目が自分の股間に向いている事だけは意識していてアメリアには内緒にしていた。


「確かに神前の野郎に対するアイツの態度はおかしかった……これまでアイツは男の前であんな態度をとったことがねえ。それだけは長い付き合いのアタシも知ってる。まあ、それはそれでいい。問題はアタシの身の安全だ。その為に神前が生贄になるのなら神前はその時はその時で諦めろ。それにアイツとアタシが寝てるのはアイツがアタシを孕ませる予行演習だとか言って無理やり迫ってくるんだから仕方ねえだろ。しかもアイツも同時に孕みたいとか言ってアタシに迫ってくる。逃げられねえんだよ、アイツからは」


 かなめは吐き捨てるようにそう言った。


「そんなもの神前のようにのらりくらりとかわせばいい。それをかわせないのは貴様の責任だ。その責任をとって貴様は田安中佐と結婚しろ」


 相変わらず画面のパチンコ台から目を離さずにカウラは冷たくそう言い放つ。


「アイツの背後には『徳川譜代』という軍内部でも一大勢力が居る。アタシもアイツは悪い奴じゃないし損得で物事を判断するほど頭が良くないから付き合ってあげてるだけだが、結婚なんて……」


 かなめはそう言うとバレルを布で磨き始めた。


「なに?それじゃあ火遊びのつもりで付き合ってるの?誠ちゃんが来る前の男達みたいに。そんなことバレたらそれこそその『徳川譜代』に何されるか分からないわよ」


 当然のようなアメリアの指摘にかなめはがっくりとうなだれた。


「アイツの望みは二人で20人の子供を作って絶家になった徳川名家や公家の名門を継がせるんだそうな。しかも、アイツは男にはアレルギーがあるからその子供は全員女と決めてるんだ。そこまで決めててどこを再興するかってことでしょっちゅうメールとか入れてくる。オメエはかえでか?そしてアタシは10人も餓鬼を産むのか?それは決定事項なのか?」


 かなめは止まったままの手を見つめながら乾いた笑いを浮かべていた。


「西園寺さんも大変な人に好かれちゃいましたね……」


 誠はそう言いつつも麗子の様子から自分が今度はかなめの代わりに麗子にロックオンされるのではないかという恐怖に震えていた。


「神前、貴様がそのセリフを言うのは間違ってるぞ。日野少佐に『許婚』認定されている時点で貴様にはそのセリフを吐く資格はない」


 フォローを入れようとした誠にツッコミを入れるカウラ。


 かえでと麗子。


 お互い嫌いあいながらも目的は似たようなものなのだと誠は皮肉なその性的目的とそんな二人に標的にされたらしい自分の運命を感じて心の中で泣いていた。

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