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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第二十一章 売り買いの対象となったヒーロー

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第94話 馬鹿の居ない場所での勝手な馬鹿改造計画

「それにしても……かなめちゃんに聞いていた以上に田安中佐は馬鹿ね。あれじゃあその日常生活を追うだけで新作落語の一つもできるわよ。現代の『馬鹿姫』『馬鹿殿』ものの。いっそのこと沙織ちゃんに田安中佐の観察日記でもつけてもらって私が新作落語の一つでも書こうかしら。私の師匠は古典より新作の方が得意って言うのが世間の評判だから。きっと受けるわよ」


 アメリアはあきれ果てたというように戻ってきた機動部隊の詰め所の空いていたランの大きな機動部隊長席に座ってため息をついた。


「なんだ、オメエ無茶のやりすぎで破門になったって聞いてたけど違うのか?」


 かなめはアメリアはそもそも落語家になりたくて故郷のゲルパルトからこの東和に来たことを知っていたのでそう言った。


「違うわよ。私は自主廃業。前座時代の私の名前は一笑亭大姫。まあ、普通は前座で廃業するとそんな不吉な名前は継がないものだし、廃業したらその時の師匠を師匠と呼んだらいけないのが落語界のルールなんだけど、今はアタシの名を継いだ大柄な女の子が真打になったとか言って連絡横してきたわよ。その子ったら私の事を会うたびに『姐さん』とか言って小遣いせびってくるのよ。この前の正月だって松の内に私の所にあいさつに来てご祝儀もってったぐらいだもの。それに私の師匠の一笑亭姫奴師匠も私のことを弟子だって認めてくれてる。まあ、それだけ私には才能が有ったってことよね。でも本当に師匠も喜んでくれそうなネタが一杯あったわね。あの人の行動、完全に落語だもの」


 アメリアは麗子を完全にネタの宝庫と認識しているようだった。


「そうだろ?アイツは馬鹿なんだ。一緒にいると大変だが、アイツが人と絡むのをはたから見てると大笑いなんだ。ぜひアイツで新作落語を描いてくれ。しかし、アイツは一緒にいると面倒で……会うたびに『祝言はいつになさるの?』とか『子をなしたく成ったらすぐに言ってね♡私も一緒に産むから』とか脳みそ腐ってんだよ。アイツに付き合うアタシがいかに人間が出来ているか良く分かったろ?」


 かなめはそう言って自分の席で銃を取り出して磨き始めた。


「でも、田安中佐の言う通り、貴様は田安中佐の妻になるべきだ。甲武では家名存続の為に女性同士の結婚が許されている。法律的に問題が無い。田安中佐はそれを望んでいる。そして貴様は競馬の度にその田安中佐と肉体関係を持っている。そう考えればすぐにでも田安中佐の……」


 カウラがそこまで行ったところでかなめの目は殺意を帯びた。


「おい、ベルガー。そんなに神前争奪競争からアタシを追い落としたいのか?そうだな、テメエは嫉妬深い純情が売りだったな。アタシのものである神前を奪おうとするなんざひでえ奴だ。それにアイツとは単なる腐れ縁。肉体関係があるのも競馬場で口じゃあとても言えないような内容の事を叫んでねだるから仕方なく付き合ってやってるだけだ。アタシはアイツを便利な女としか思っていねえんだ。天下の『将軍様』をそんな扱いできるのはアタシくらいだぞ?もっと尊敬の念を持った目でアタシを見ろ」


 かなめは不機嫌そうにそう言うと再び銃を磨き始めた。


「でも結局寝てるんでしょ?じゃあカウラちゃんの言う通り……ああ、良いことひらめいた!」


 アメリアはそう言うと手を打って何かを企んでいるような顔をした。


「何を思いついたんだよ。どうせろくなことじゃ無いんだろ?」


 かなめは明らかに不機嫌そうにそう言って銃を分解し始める。


「いえね、よく『悪役令嬢』って有るじゃないの。田安中佐、見た目はそんな感じだけどより馬鹿っぽくするために色々助言をしてあげようと思うのよ。ちょうどこの前の映画の時に使わなかった道具にそれに最適のモノがあるからそれを使おうと思って」


 ランの席に主気取りで座っているアメリアはそう言ってニヤリと笑った。


「あれですか?馬鹿お嬢様の定番の金髪縦ロールのウィッグでも被せるんですか?確かにものすごく似合いそうなのが怖いんですけど」


 誠は思わずアメリアの思い付きを推測して見せた。そしてそんなかつらで迫られた時にはどんな反応をしたらいいのかひたすら悩んでいた。


「鋭いわね、誠ちゃん。あの人のあの大柄なところ、馬鹿っぽさ、そして巨乳。これは金髪縦ロールの馬鹿姫が最高に似合うと思うのよ。カウラちゃんもそう思うでしょ?」


 アメリアは満足そうにそう言うと端末を起動してパチンコゲームに興じているカウラに声をかけた。


「私が知るか。私は軽いノリのライトノベルは読まないんだ。読む本は本格ファンタジーモノと決めている」


 カウラはまったく無関心だというようにそう言うと連続フィーバーを決めていた。

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