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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第十六章 『将軍様』の居ぬ間に

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第78話 同じ日本語文化圏でありながら

「それにしても甲武と東和はなんでこんなに違うんですかね……日本語話してるんでしょ?あちらも」


 誠はそれとなく話題を変えるべくそう切り出した。


「しかし、住んでるのが甲武は地球人で東和は遼州人だ……まあ甲武は『復古主義』の国だからな……頭の中がまるっきり違うんだ。オメエもあっち行ってみ?カルチャーショックでびっくりするぞ。あのお蔦だって東和じゃどう考えても非常識な女じゃねえか。それだけ違うんだよ」


 誠のとりなしで一息ついたかなめは誠に向けて静かにそう言った。


「『復古主義』ですか……伝統を大事にするのはいいですが、隊長や西園寺さんから聞くところによると『流罪』とか『切腹』とかが日常茶飯事にある世界なんてどう考えてもおかしいですよ。まあ、そう言う僕も20世紀末日本からこの400年間何一つ進歩していない東和に住んでる訳ですから進歩が続いている地球人からすれば相当おかしい存在かも知れませんけど」


 遠い目をして外を見やるかなめを見ながら誠はそう尋ねた。


「文明が進みすぎると堕落するというのが彼等の主張だ。文化的にも鎖国状態なんだ。ロックとか東和の歌謡曲とかはあの国では御法度なんだ。伝統こそがあの国のアイデンティティ。進んだ文化には何一つ価値を見出さない。それがあの国の国是だ」


 一般常識は誠以上のカウラの言葉に誠は驚く。


「ロックが駄目なんですか……島田さん達困りますね。もし甲武に出動する時が有ったら整備班の人達どうするんでしょうか?」


 カウラの言葉に誠は苦笑いを返す。


「テレビもラジオも映画も無いなんて……考えられないわよね。確かにあそこの落語は宇宙一でゲルパルトを出た時は女流落語家になるのが夢で甲武か東和かどっちか迷ったんだけど、甲武の落語会は女人禁制だって聞いて東和に来たのよ。でも東和に着て本当に良かったわ。もし甲武に言ってたらデカい顔して銃を持って街中を闊歩している誰かさんにあったかもしれないもの」


 半分呆れながらアメリアはそう言って驚き続ける誠に笑いかけた。


「アメリア、その『誰かさん』ってのはアタシの事か?アタシの事なんだな?まあ、そんなことはどうでもいいや。テレビはねえがラジオ放送は去年から始まった。まあ、受信機は金持ちの中流士族か平民ぐらいしか持って無いけどな。それに映画はあの国では最大の娯楽だ……まあ演劇とかは盛んだぞ。特に『新派』や『歌舞伎』は人気だな」


 甲武の『復古主義』とは相性の良くなさそうなアメリアのため息にかなめがそう切り替えす。



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