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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三章 貴族のお仕事

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第7話 検非違使別当のお仕事

「かえでの馬鹿のせいでオメエも災難だな……アイツは完全にオメエの精液を自由に使う権利があると勘違いしてるぞ……今回は有名女優だからバレたが……他にもいるかもしれねえぞ、オメエの餓鬼。童貞なのに餓鬼が居る。あれだな『未婚の父』って奴だ。そんな言葉聴いた事がねえけど」


 誠の正面の席からかなめはそう言って誠をからかってきた。誠にはそれよりかなめがひたすら墨をすっているのが気になった。慣れた調子で硯で墨をするサイボーグ。考えてみればこれ以上シュールな光景は無いと誠は思っていた。


「そんな縁起でもないこと言わないでくださいよ、西園寺さん……それよりその変なものを持って……何をしているんですか?」


 誠はそう言って和紙の巻物を前に墨をするかなめに尋ねた。


 そもそも高級そうな装飾の施された巻物はあまりにも厳かすぎて典型的な役所の事務所のような機動部隊の詰め所の無機質な机よりも博物館の研究室のような場所の方が似合うのではないかというような代物だった。


「ああ、神前は今年初めて見るわけか。なんでも西園寺が言うにはこれが『検非違使別当』の仕事なんだそうだ。去年も今頃の時期に西園寺は同じことをしていた。これだけでそれなりの給料がもらえるというのは甲武の官位を持つというのは便利なものなんだな」


 小隊長の席からカウラがそう言って誠の目を見た。


「そうだ。アタシには官位があるからな。当然しなきゃなんねえ面倒なこともある。それにこれは国を預かる重要な行為なんだ。オメエ等、官位制度のねえ東和国民の関知するところじゃねえんだよ」


 そう言うとかなめは墨をすり終えて筆を手に取った。


「『検非違使別当』の仕事って筆で書かなきゃいけないんですか?ああ、西園寺さんは筆じゃ無いと文字が書けないんでしたよね。野球のスコアーブックを付ける時だけはボールペンを使いますけど」


 誠は素直な疑問を口にした。


「まあな、なんで楷書で文字を書くなんて下品なことを最上級の公家であるアタシがしなきゃなんねえんだ?文字を書くなら筆を使え!野球場には硯を擦るスペースがないからボールペンを使うの!それにスコアーブックに使う文字はアタシも好きだから覚えたし。文字を書く時全身全霊をかけて心を込めて墨をすり正しい日本語の文字を書く。ああ、オメエにゃあ読めねえだろうが甲武の警察連中はアタシの文字は見慣れてるから読める。問題ねえ」


 そう言うとかなめは慣れた調子で巻物に文字を書き始めた。



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