表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第十二章 モテない『将軍』モテる『大納言』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/166

第59話 罵詈雑言の原因は近親憎悪

「あのーここは東和だから。甲武の位階は関係ないじゃないの……ねえ」


「そうだ。ここは東和だ。それに田安中佐も仕事で隊に来ているのだから」


 かえでと麗子の誰が見ても分かるような相性の悪さを少しは聞いていたアメリアとカウラが何とか仲裁に入る。


「私は中佐で本局勤務ですわ。これは私が有能な証。貞操観念に欠けた淫らな問題行動ばかり起こして地方に飛ばされてきた少佐殿の出番は無いんではなくて?私はかなめさんの夫として不貞など一度もしたことは有りません!」


 あちこち飛ばされてきて海軍省の事情には暗いはずの麗子でもかえでの24人の上流貴族の若妻に自分のクローンを産ませたという『マリア・テレジア計画』の話は聞こえてきているようで、誠は改めてかえでの変態性に恐怖した。


「家柄だけで出世した人は言うことも中身が無いんだね。それに不貞をしないんじゃなくて馬鹿すぎて貴様の好きな女が寄ってこないだけなんだからね。その点、僕は魅力的すぎて……その結果ああいった事態になってしまった。美しくて有能な僕に美しい女性が寄って来るのは必然だからね。そんな事も分からないとは……事実は正確に言った方が良いよ。財政の厳しい甲武軍は無能を飼っておくほど贅沢できる状況じゃ無いんだ。さっさと貴様の馬鹿を理解できる程度に脳改造した婿養子を貰って家庭に入ったらどうだろうか?お姉さまを妻に迎える?そんなもったいないことを貴様が出来ると思っているのか?貴様には貴様の残念な話にも付き合ってくれる人柄だけは一流の無能な『徳川譜代』の馬鹿な大名の三男でもあてがっておけばいい。ああ、そんな男は居ないだろうから『将軍家』の威光でそいつを脳改造する必要があるな。そうすればお前も子供を残して田安の家を潰さずに済む」


 麗子はかえでの言葉に余裕の笑みで返した。


「無理だろ……こいつは男には縁ないし。しかも脳改造って……麗子はいつから悪の組織の女幹部になったんだ?ああ、『徳川譜代』の連中はこいつを持ちあげてる時点ですでに十分悪の組織か。まあ、連中なら自分達の中で一番できの悪い若造を脳改造してこいつの夫にするくらいの事はやりかねねえ」


 ぼそりとつぶやくかなめに麗子の視線が向けられた。


「かなめさん!今日はかえでさんは非番なんではないの!妻なら見たくもない男女を夫の目のふれる場所に置くようなことはしないものですわよ!」


 怒り狂った麗子はかなめに向けてそう言った。


「僕はお姉様とランチを食べに来たんだ!貴様のご機嫌伺に来たわけじゃない!それに不愉快なのは僕の方だ!貴様の見てくれだけの中身のない姿を見ていると吐き気がする!」


 そう言うかえでの隣に立っていたリンがバスケットをかなめに差し出した。


「サンドイッチが入っています。隣の不愉快な甲武の恥と一緒に食べるくらいなら皆さんで召し上がってください」


 リンはそう言ってかなめに押し付けるようにバスケットを持たせた。


「ああ……あんがとな」


 どうしていいかわからないという表情でかなめがそれを受取った。


「今日は不愉快だ……田安麗子……せいぜい甲武の恥を東和まで広めないようにしてくれると助かるんだが……まあ、君にはそんなことは不可能なこと位十分承知しているがね」


 かえでは不機嫌そうにそう言うと麗子をにらみつけた。


「そう言うかえでさんが蒔いた数々の口に出すこともはばかられる変態行為により甲武への誤解を解くために私は参りましたの……ささ、かなめさん。これからは妻の務めです。案内よろしくお願いできまして?」


 不機嫌そうにかなめに背を向けて去っていくかえでを誠達は呆然と見送っていた。かなめはと言えば手にしたバスケットをどうしようかと思案しながら麗子に目をやった。


「あの男女でもサンドイッチぐらいは作れるんですわね……少々見直しました」


 麗子はそう言うとかなめを追い抜いてそのまま鳥居を連れて本部棟に入っていった。ただ、かなめ以下『特殊な部隊』の面々はそれがかえでの作ったものではなく、かえでの家臣兼愛人のシェフが作ったものであることは知っていた。


「田安さんて……料理は?」


 誠はそれとなくかなめに向けてそう言ってみた。


「できるわけねえだろ。アイツにできることはなにもねえ!その点でもリンなしでは生活ができねえかえでと麗子は似た者同士だからな!同類憎悪って奴だ!」


 誠の問いにそう即答するとかなめは何をしでかすか分からない麗子の後姿を追って本部棟に飛び込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ