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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第十章 『征夷大将軍』対策会議

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第39話 『馬鹿将軍』対策会議始まる

 第二会議室。そこで誠とカウラとアメリアはタバコの吸いだめをしているであろうかなめが来るのを待っていた。


「全く何本吸えば気が済むのよ。それにあの馬鹿はかなめちゃんの『夫』なんでしょ?そんなの全部かなめちゃん一人で対応すれば良いじゃないの?なんで私達まで巻き込まれなきゃいけないの?それになんで今日はかえでちゃんとリンちゃんは休みなの?何か二人が居ると不都合なことでもあるの?もう考えると嫌になってくるわ。本局に行くたびにあの馬鹿の笑い声があっちこっちで聞こえるのよ。普段は何をしているのかしら?まあ、馬鹿だから何もできないでしょうけど」


 アメリアがそうつぶやいた時、ドアが開かれかなめが姿を見せた。


「おう!揃ったな!」


 かなめの顔には覚悟を決めたというよりも開き直ったというような悲壮感が誠からも見て取れた。


「揃ったなじゃないわよ!かなめちゃん!一体何分待たせるつもり?それにかなめちゃんはあの馬鹿と『夫婦』なんでしょ?そんなことに私達を巻き込まないでくれる?夫婦間の問題は夫婦間で解決してちょうだいよ!他人を巻き込まないで!」


 笑顔で遅れて現れたかなめに向けてアメリアはそう叫んだ。


「言うなよ。あの馬鹿、タバコが嫌いでね。三本吸い貯めしてきた。それに何度も言うがアタシはアイツとは『夫婦』じゃねえ!そんなのアタシが認めねえ!」


 かなめは必死になってアメリアの言葉を否定する。そして時々その視線を誠に送ってくるが、誠は会えてその視線に目を逸らした。


「でも定期的に貴様と田安中佐は肉体関係を持っていると先ほど貴様自身が自白した。それに貴様はヘビースモーカーだ。一日三本で済むのか。じゃあいつもみたいに三十分おきに吸いに行くのは止められるんだな?それと一緒にホテルにいる間も吸わずに済んでいるのか?そんな気遣いが出来るなら本当に『夫婦』になればいい。その方が貴様のような暴力馬鹿に付きまとわれる神前の為にもなる。いいことづくめだ。貴様に選択権など無いんだ」


 カウラが突っ込みを入れる。会議室に座る誠達三人。それを見てかなめは一番手前の上座に腰かけた。


「だからアタシはアイツとは結婚したくねえの!アイツはアタシにとって都合のいい女以上の何物でもねえんだ!それより神前。オマエ字がうまかったろ?毛筆で『『馬鹿将軍』田安麗子対策本部』って書いてこの部屋の入口に張り出せ。その方が雰囲気が出る」


 かなめはカウラやアメリアの言葉を無視して真剣な表情を浮かべて誠に向けてそう言った。


「何よそれ……選挙対策本部じゃあるまいし。そんなにあの馬鹿が怖いの?ただの馬鹿じゃない。その銃で射殺しちゃえば?そんなに結婚するのが嫌だったら」


 かなめの妄言にアメリアは大きくため息をついた。


「それより特別監査室長とやらは九時半には着くんだろ?時間があるとはいえ、のんびりそんな張り紙を作るような余裕はないぞ」


 完全にあきれ返った顔でカウラがそう言った。


「そうだ、あの馬鹿はその時間にうちの入口ゲートに到着する。しかも秒単位できっちりその時間に来る。時間がない。今から島田に命令してアイツが暇に任せて作った高圧電流が流れる防御柵を設置して、その後ろには地雷原をつくる。駐車場あたりに機関銃銃座を設置すればあの馬鹿の侵入ぐらいは防げる。なんとしてもあの馬鹿のアタシの神聖な職場への接近だけは許すわけにはいかねえんだ!」


 かなめはまるで麗子の来訪の事を巨大怪獣が襲撃してくる時のような感じでそう言った。


「かなめちゃん。田安中佐がそんなに怖いわけ?『夫婦』でしょ?定期的に愛し合ってるんでしょ?それもさっき言ってた話だと尋常じゃないくらいの回数」


 無茶苦茶を言い出すかなめをアメリアがそう言って冷やかす。かなめは諦めたというようにため息をついた。


「怖くはねえな。別にあいつが怒ろうとアタシはどうだっていいね。ただ……」


 かなめはそう言うと力なく俯いた。


「ただ?どうしたのよ」


 言葉を急に止めたかなめをアメリアが不思議そうに見つめる。


「面倒なんだよ。オマエ等もアタシがあの馬鹿と話すところを五分も見てみろ。きっとアタシとおんなじ気分になる。アイツと競馬場に居る時はアイツは馬を見て勝手に騒いでいるだけだからそれでいい。アイツと寝る時は喘いでいるだけだからそれも我慢できる。ただそれ以外の場所ではアイツの馬鹿話を聞き続ける精神力はアタシにはねえ!だからアイツとは結婚なんかできねえ!」


 そう言うとかなめは大きくため息をついた。



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