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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第八章 すべてを誠達に押し付ける『人類最強』幼女

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第28話 ちっちゃい副隊長の無茶振り

「おはよう!厄日だな!覚悟しとけよ!」


 機動部隊の執務室の引き戸を、かなめが乱暴に開ける。ここにきて誠はかなめが不機嫌を通り越して脳内に異常をきたしているようなハイテンションモードへと変わっていることに気付いた。


「アメリアさん、なんでここまでついてくるんですか?そんなに僕を弄るのが楽しいんですか?ここ機動部隊の部屋ですよ……」


 かなめに続いて部屋に入ろうとするアメリアの肩を誠が叩いた。


「いいのよ!挨拶ぐらいしていかないと!かわいい副隊長さんに!それに誠ちゃんを弄るのが他の良いかって?そんなの決まってるじゃない!本当に楽しいわよ!」


 細い目をさらに笑顔で細めながらそのままアメリアは部屋に入った。


 機動部隊隊員は全員で七名。入口の二つの机の島が、第一小隊である。手前の椅子には主はないが、その正面の席には、イヤホンで音楽を聞き入っている実働部隊整備班長島田正人が座っていた。なぜそこにいつもハンガーに居るはずの島田が座っているのか誠は疑問に思いながら先輩である島田を見つめていた。


 いつも通り真顔の彼は誠達の存在を無視して音楽に聞き入っている。


「おお!ちょうどいいところに出てきたな。島田には話はついてる。後でオメー等にも話すことが有る。まあ、宮仕えの宿命だと覚悟しておけよ!」


 部屋の一番奥の壁際のひときわ大きな執務机。その主、機動部隊隊長兼、第一小隊長のクバルカ・ラン中佐が手を振っていた。


「なんだよ……くそちびが自分から声をかけてくるときはろくなことがねえんだよな……やっぱり『アイツ』か……『アイツ』絡みか……まあ、島田が絡んでるとなると余計『アイツ』である可能性は高い……『アイツ』の昨日言ったことが事実になる……嫌な世の中だ」


 それまで上機嫌だったかなめがそう言ってため息をついた。


 誠はかなめがひたすら恐れる『アイツ』の存在が気になって仕方がなかったが、それを指摘すると間違いなくかなめに射殺されるので口にチャックをしていた。


 かなめが『くそちび』とランを評したように、ランの見た目はあまりに幼い。どうみつもっても八歳児ぐらいにしか見えない。誠も何度ランを見ても、彼女が十年前の、この地、東和の西に広がる遼南地方で起きた内戦時のエースだった事実を信じることができなかった。


「じゃあ、アタシはこれで……」


 アメリアはランのいつもと違うニコニコした笑顔に不安を感じたのか踵を返すように機動部隊の詰め所を出て行こうとした。


「アメリア、逃げるなよ!『アイツ』が来るのは確定なんだ。オメエも道連れになれ」


 かなめは明らかに『アイツ』の存在に怯えるような顔をしてアメリアに縋りついた。こんな恐怖におびえるようなかなめを見るのは誠は初めてだったので、『アイツ』の存在がサラに恐怖の色を帯びて誠の脳内に広がっていった。


「逃げるんじゃないわよ!アタシは運航部部長!ここは機動部隊の執務室!アタシは自分の職場に戻るの!それとさっきから『アイツ』、『アイツ』って……誰なのよ!それ!いい加減言いなさいよ!」


 すがりついて止めようとするかなめを振りほどいて、アメリアは部屋を出ていこうとする。


「ああ、クラウゼ。オメーにも用があるんだ。そうすれば西園寺の言う『アイツ』の正体も分かるぞ。一緒に話を聞け」


 ランの幼い面差しに悪意のこもった笑みが浮かぶ。ランが無理難題を誠達に持ち掛けるときには、決まってランにはこの表情が浮かぶ。


 この表情を見たアメリアはあきらめたようにうなだれてランの執務机に向けて歩き出した。



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