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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第六章 不吉な朝の一幕

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第23話 出発の朝

「二人とも、それくらいにして。他の男の子が呆れてるじゃないの。私にまで恥を掻かせて何が楽しいの?じゃあ私は準備して来るわね。カウラちゃん、先に行ってるから」


 アメリアはそう言うと食事を済ませて立ち上がった。


「じゃあ、僕も準備してきます!」


 この修羅場から逃げ出そうとする誠だったが、その手をリンが掴んだ。


「夜伽はまだ早いということですが、お召し変えのお手伝いくらいはさせていただけませんでしょうか?せめてもの私のできること……誠様、是非お手伝いをさせてください」


 すがるような目つきで自分を見上げて来るリンに誠は戸惑った。当然その場でリンが誠を押し倒そうとしていることくらいは考えがつく。その時自分は……そしてその後の他の女性陣の反応は……それを思うと誠はリンの手を振り払った。


「着替えるだけですよ!人の手なんて要りません!自分で出来ます!」


 強くそう言ってそのまま立ち去ろうとする誠だが、リンはまだあきらめていないようだった。


「そこは……お情けを……このリンの思い……無下にされるほど冷たい方だとは誠様は思えません」


 リンは諦めずに立ち上がる誠についてくる。仕方なく誠はそのままリンを連れて自分の部屋に入った。


「じゃあ服を着替えますから後ろを向いていてください!近づかないでくださいよ!いつも自分がしていることを考えてください!」


 そう強く言って誠は上着を脱ごうとしたがリンは誠をじっと見つめて動かなかった。


「あのー、リンさん?そんなにじっと見られると恥ずかしいんですけど」


 誠は半分リンを無視することを決めながらそのままジーンズを取り出した。


「いつ見ても誠様はご立派です。いつ私をご使用になられても……」


 リンの視線は誠の股間に注がれていた。


「アンタはどこみてるんですか!恥ずかしくないんですか!ええ!そうでしたよね!あのかえでさんの相手が務まるくらいだからリンさんにはそんな感情は無いんでしたよね!」


 誠のパンツに視線が釘付けのリンに誠は思わずツッコミを入れていた。


「確かに恥という概念が薄いので、その事実は自覚しております。では、お召し物を選ぶのをお手伝いいたしましょう。そうですね、それではジャンパーはこれなどいかがでしょう」


 全く動じる気配のないリンは立ち上がるとそのまま部屋の柱にかけられた二着しかない誠のジャンパーの一つを手に取った。


「ありがとうございます……というか、僕二着しか持って無いからどちらでも良いんですけどね。別に選ぶとがそう言う次元じゃ無いと思うんですけど」


 そう言いながらジャンパーを着る誠にリンはそっと手を伸ばした。


「今日も立派なお仕事をなさることを期待していますよ。ご主人様……」


 甘くささやくリンの言葉に誠は思わず顔が真っ赤になるのを感じた。


「何を言ってるんですか!リンさんの主君はかえでさんでしょ?それと何時僕がリンさんと結婚したんですか?僕にはそんな覚えは無いですよ!」


 リンの完全な甘々新婚妻モードに当てられて誠はそう叫んでいた。


「かえで様は形式上の主人です。しかし、誠様は心の主人。そしていずれは身体の主人にもなる。そうなる運命なんです。他の何もできない無能な女達と違って私は有能な主婦も務まります。そこのところをよくお考えの上、お相手選びはぜひ私を……」


 そう言ってにじり寄ってくるリンを振り切るようにして誠は自室を出た。


「リンさん……自分が一番マシのように言うけど危なさで言えばかえでさんの上を行くぞ。まあ、命の危険的には西園寺さんには負けるけど……隊長が言ってたけど地球人の血を引く女性は危ないって言うけど地球人の男はあんなのに囲まれて過ごしてるのか?そりゃあ民族浄化や核戦争や人口爆発も起きるわけだわ」


 誠はその怒りの矛先を地球人全体に向けることにして現状から逃避しようとしていた。


「リンがアタシに負ける?当然じゃねえか。アイツは所詮かえでの僕だそれ以上でもそれ以下でもねえ。それとも何か?リンにアタシに勝つ要素があるって言うのか?おもしれえじゃねえか。言ってみろよ、リンがアタシに勝ってる点。それが無いようならテメエを射殺する」


 階段を降り切ったところで待っていたのはかなめだった。かなめは今朝見たときと同じく明らかに不機嫌そうな顔で誠を見つめていた。


「さっきアメリアの馬鹿が出て行ったからカウラの車の所に居るだろ。行くぞ。遅れたら射殺するからな」


 かなめはそう言うと誠の意見など聞かずにそのまま玄関を出て行った。誠はかなめにも半分地球人の血が流れていることを思い出し、なぜ地球人があれほど戦争が好きなのかを理解することになった。

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