第222話 純愛ルートが許されない運命だと誠は悟った
「パーラさん……僕で良いんですか?」
誠は心からそう思った。
誠に言い寄ってくる女達は全員おかしい。かなめは天性の『女王様』で最終的には誠を待っている運命はかなめの快楽の為の『死』だろう。
カウラは純愛ではあるが、あの『パチンコ依存症』には治癒の見込みは見当たらない。
アメリアは趣味の友達としては最適であるが、それ以上に突然誠をオークションに出品するくらい何するか分からない女である。
かえではその変態性癖と浮気癖は治りそうにないし、しかもかえでの依頼でかえでの家臣達の子を作ることを強制されることになる。
リンの言うことはどこか計画性がありすぎてどこか信用が置けなかった。
その点、目の前にいるパーラは真剣な目で誠を見つめている。その瞳に嘘はない。確かにあまりにネガティブ思考なのは気になるところではあるが、誠自身がネガティブ思考の持主なのでそのようなことは気になる話では無かった。
「だって、誠君の可哀そうな境遇を見ていたら私は黙っていられないもの。これまでは自分だけが隊で孤立して常識人であり続けなきゃと頑張ってきたところに誠君が配属になった。いくら周りに振り回されてもいつも笑って我慢していた。丁度誠君が来るまでの私を見ているみたい……そんな誠君を見捨てて逃げ出すなんて私には出来ないわ!逃げ出すなら一緒に逃げ出しましょう!」
パーラは誠の大きな手をしっかりと握りしめてそう言った。
「パーラさん……」
そう言って誠は目を潤ませて自分を見つめてくるパーラを見つめ返した。
そんな誠は背後に気配を感じた。
「なるほど、その選択ね。神前よ。お前さんは正解を選んだね。でもさ、そうされると俺としては困るんだわ」
香るタバコの煙。振り返るとそこには嵯峨が立っていた。
「隊長、なんでこんなところでタバコを吸っているんですか?」
いい雰囲気をぶち壊しにされてふてくされて誠は嵯峨にそう言った。
「いやあ、お前さんが深刻な顔をして屋上に向う階段を上るのを見かけちゃってね。パーラが時々屋上でそのままスカイハイしないか見守るために時々こうして見回りに来るのよ。でも、女の選択肢としてはパーラは大正解だが、大学受験……来年だろ?俺のこの部隊の隊長の任期、あと三年有るんだよね。だから来年隊をお前さん達に抜けられると俺としては非常に困るんだ」
嵯峨はそう言って誠の隣にさもそれが当然のように腰かけた。
「隊長!誠君の上司として誠君の待遇改善を私は要求します!さもないと本当に私達は来年辞めますよ!」
パーラは何時になく真剣な調子で嵯峨に向けてそう言った。
「待遇改善ねえ……良いじゃないの、神前は元々モテたかったんだから。モテモテハーレムルート。お前さんの好きなエロゲの一番のねらい目のコースじゃない」
いやらしい笑みを浮かべて嵯峨はそう言うとタバコの煙を空に向かって噴き出す。
「それは相手が常識の範囲内の女性だった場合でしょ?僕の周りのパーラさん以外の女性は付き合った途端に人生終了するような女性ばかりですよ……」
そんなことを言った誠は嵯峨の後ろに近づくいくつかの人影の存在にまだ気づいてはいなかった。




