第221話 人生設計と突然の恋?
「なんですか?それ」
誠はその封筒をまじまじと見た。
『東和女子体育大学入学試験願書』
封筒にはそう大きく書いてあり、封筒には大学の校舎と走る学生たちの姿がプリントされていた。
「本当はね、今年受けようと思ってたのよ。私、大学は学士入学だから一般教養課程を受けて無いのよね。『ラスト・バタリオン』にはロールアウトした時点で大学の一般教養課程の知識はあるはずだからそれでいいだろって言うのがその理由なんだけど……実際、教員免許を取るには一般教養課程の履修実績が無いと取れないのよ」
パーラは弁当を食べながらしみじみとそう言った。
「僕も最初に隊を逃げた時には大学に戻って教職取ろうと思ったんですよね……」
誠はパーラの言葉に合わせてそう言っていた。
その時、パーラの瞳が輝いた。
「そうなんだ!やっぱり誠君もこの仕事辞めたいんだね!それならいい話が有るのよ!」
そう言うとパーラはもう一つの封筒を取り出した。
『文化教育大学入学試験願書』
誠はそのあまり聞いたことが無い大学の願書に少し首をひねった。
「文化教育大学ですか……知らない大学だな……」
誠は付け合わせのナスの漬物を口に運びながらそう言った。
「そりゃあ、誠君の出身校の『東都理科大学』を目指すような人には眼中にないくらいの大学だもの。ただ、ここは教員養成に特化した大学だし、偏差値もあの頭の悪い島田君の出身校の『東都電機大学』より低いから英語の苦手な誠君でも一発合格できるわよ!」
嬉しそうにそう言うパーラだが、誠は英語が苦手ということは余計だと頭の中では思っていた。
「でもなんでそこなんです?僕は英語は最低評価ですけど大学では単位は取ったんで、そのまま大学に戻って教職課程だけをとれば教員免許はもらえますよ」
誠はパーラがなぜそんなレベルの低い大学を自分に勧めて来るのか不思議に思ってそう尋ねた。
「この大学ね、私の狙ってる東和体育大学の隣にあるのよ。まあ、多磨地域の大学が集まってるところだからここ千要はおろか、誠ちゃんの実家からも通えないような場所なんだけどね……」
そう言うパーラの頬が少し赤らんでいた。
「一人で、アパートってお金がかかるじゃない?それで……これは誠君さえよければなんだけど……」
パーラはためらいがちにそう切り出した。誠はその恥じらう様子に何か重要な秘密があるように感じて惹きつけられた。
「一緒に住まない!うちの女子で誠君も懲りたでしょ!うちの隊の女子で真人間なのは私だけ!一緒に暮らしましょう!」
パーラの突然の愛の告白。誠は今日一日で何人の愛の告白を受ければ気が済むんだと自分にツッコみながらも、ようやく真人間から普通の恋愛話をされたことに高鳴る鼓動を抑えきれなかった。




