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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第六章 不吉な朝の一幕

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第22話 しばらく無いらしい『廃帝ハド』の脅威

「なあに、僕はライバルが増えれば増えるほど燃える質なんだ。障害も多ければ多いほどいい。お姉さま達、そしてリン。僕は『愛の手紙』を送ることを封じてプラトニックにこの遼州の未来を語ることだけで誠君の心を掴んで見せる。まあ、この勝負は最初からついているんだけどね。僕は完璧だから」


 余裕そうにそう言うとかえではかなめの隣に腰かけた。メイドの一人が紅茶セットを用意してかえでに紅茶を入れる準備を始める。


「日野。貴様も今日は非番か?隊長もクバルカ中佐も何を考えているんだ?確かにこの頃事件らしい事件は起きていないが、『法術武装隊』が動き出した今、そんな悠長なことを言っている暇はないだろうが。常に臨戦態勢が求められているはずだ。私には納得できないことが多すぎる」


 シチューの匙を進めていたカウラが誠に熱い視線を送りながら紅茶を飲むかえでに声をかけた。


「ベルガー大尉。そんなに焦ったところで事態は変わらないよ。それにクバルカ中佐の言う通りなら『法術武装隊』や『廃帝ハド』の連中はしばらく動かないらしいじゃないか。それなら我々は来るべき彼等との対決に備えて英気を養う。それもまた必要なんじゃないかな。それに今回の非番は昨日突然クバルカ中佐に言われてね。それにしてもこんな急に非番をくれるとは何が有ったんだろうかな?僕が隊に居ると不都合なことが何か起きるんじゃないかと僕は不安なんだ。それと今日の誠君の送り迎えは……」


 かえでは的確な状況分析と誠への明らかな下心でそんなことを口にしていた。それに対して向きになったような顔をカウラはかえでに向ける。


「それは私の『スカイラインGTR』で行う。貴様がこの寮に来る前はそれが日常だった。それを貴様が邪魔している!貴様の法術師としての実力から考えて仕方のない処置だが、『法術武装隊』が動かないならそれで十分だ!貴様に出る幕などない!」


 カウラは豊かな胸を自分に見せびらかすようにして紅茶を飲むかえでに向けてそう言って敵意をあらわにした。


「そうだね、そうするといい。『法術武装隊』相手なら僕の華麗な戦闘テクニックを誠君にも疲労できるのだが、雑魚相手に力を使うような無駄なことは僕もしたくないからね。誠君もたまにはそう言う乗り心地の悪い車で弱点である乗り物酔いを克服する必要がある。そして、お互い成長しより高みを目指す。『許婚』である僕としては望ましい在り方だよ」


 かえでは余裕のある調子でふくらみのほとんどないカウラの平らな胸を見つめた。


「貴様のその余裕のある態度。そんなに女の価値は胸にあると言いたいのか?そんなことにしか価値を認められないとは……貴様はつまらない女だな」


 その挑発に乗るようにカウラはかえでに向けて棘のある口調でそう言った。


「ベルガー大尉こそその清純さが女性の売りだと勘違いしているのかな?清純な女などというものは男は一月で飽きるものだよ。そんなものだけで男のすべてを知り尽くしている僕に勝てるとでも思ってるとしたら大きな間違いだね。それに僕の魅力は胸だけじゃないから君の指摘は不正確だな。不正確な情報を発信するのは軍人としては不適格な証拠だ。君は本当に戦闘用人造人間なのかい?とても先頭に向いている軍人の発言ではないよ、それは。そこら辺のOLがにわかの軍事知識を得たレベルとでもいうことを証明したいのかな?」


 にらみ合う二人の小隊長の姿。お互いに目的の為に手段を択ばない道に進み始めている。その光景を見て誠は恐怖しか感じなかった。

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