第211話 カウラの結婚宣言
「と言うわけで、うちの女子で『社会不適合者』じゃないのはパーラとひよことカウラだけ。神前が人間になるためにはこの三人の誰かを落とさないといけない。でも、ひよこはすでに西が手を付けてる。パーラと付き合うとこの世からさようならしてしまう可能性がある。そうなると俺も困る。その点ではカウラ、お前の決断次第だ。とりあえず制服を着て常識人のフリをしてランの所へ行け。アイツが常識人か?それは聞くまでもないだろ。アイツも立派な『社会不適合者』だ。まずアイツは『ヤクザ』だし。恐らく、アイツがうちの隊での一番の『社会不適合者』。でも、社会から追われて『社会不適合者』を社会に復帰させることを生きがいにしてるから……良い助言をくれるかもよ」
嵯峨はそう言うと何もできないでいる誠達を笑顔で見つめながらタバコを揉み消して立ち上がった。
「隊長、それでは私と神前の結婚を許してくれるんですね」
カウラの一足飛びの発想に誠は度肝を抜かれた。
「別にいいんじゃないの?俺は人の私生活には口出ししない主義だし、俺の私生活にも口出ししてほしくない。そんな人がどうしようが俺の関心の範囲じゃない。結婚?すれば?別に祝福なんてしないよ。俺は一遍結婚という物をして、それがあんまりいいもんじゃないことは十分知ってるから。あれは人生の墓場だ。でもそんなこと俺個人の感想で人には関係ないもんね。だから、それがゴールだとベルガーが思うならすりゃあいい。ああ、結婚披露宴は俺は欠席でよろしく。挨拶とか考えるの面倒くさいから」
その言葉を残して嵯峨は立ち去った。
「おい、カウラ。テメエ神前と結婚するつもりか?」
慌ててタバコを揉み消し真剣な表情でかなめはカウラをにらみつけた。
「そのつもりだが、何か問題でもあるのか?貴様の『アダルトグッズ』になれば神前は不幸になる。最悪、貴様のことだから神前を破壊する。そのようなことを私は許すことは出来ない。それに、隊長の言うように私は一時的病かも知れないが神前を愛している。だからその結論は一つだ」
制服のボタンを締めながらカウラははっきりとそう言った。
「えー、そんなの私が認めないわよ。誠ちゃんはみんなのもの。カウラちゃんがこれから誠ちゃんを尻に敷くなんてそんなの絶対認めないからね!」
そう言うアメリアの顔も笑ってはいなかった。
「あのー、肝心の僕の意志とかはどうなるんでしょうか?」
完全に老いていかれた状態の誠が恐る恐るカウラに声をかけた。
「貴様は私のすべてを私の『愛の日記』で見ている。これをネタに人を脅す不埒な輩も居るらしい。しかし、貴様はそう言うことはしなかった。つまり私を受け入れたということだ。貴様の心の中では結論は出ている……違うか?」
カウラの自信に満ちた口調に、誠は反論したい欲求にかられながらも何も言えずにカウラに利き手の左腕を引っ張られて機動部隊の詰め所に向った。




