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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第六章 不吉な朝の一幕

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第21話 『男装のオーナー』現る

「やあ、ごきげんよう。なんだか盛り上がっているようだね。一番盛り上がって欲しい僕の愛する『許婚』である誠君は浮かない表情をしているけど……そうか!そんなに僕に会いたかったんだね!僕なら君をすぐに笑顔にすることが出来る。これが完璧な美を備えて生まれた僕に課せられた使命なんだ!さあ、笑っておくれ!誠君!」


 そう言ってブランド物のジャケットに折り目のパリッとしたスラックスを履いて食堂に現れたのはかえでだった。とりあえずかえでの機嫌を損ねるのも何なので誠は作り笑顔をわざとらしく作ってかえでを見上げた。


「面倒なのがきやがった。神前が今笑ってるのはこいつがオメエに気を使っているだけだ。そのくらい分かれ!この変態ナルシスト!オメエが一番神前の笑いを奪ってるんだよ!オメエの変態ぶりはもうお笑いというよりも犯罪に限りなく近いというか犯罪だ。オメエのしている行為がすべて犯罪行為だという自覚を持て!すべてはそれからだ!」


 妹のかえでの登場に明らかに姉であるかなめは不機嫌な表情になった。ただ、人の感情をまったく理解しようとしないかなめにさえ自分の作り笑顔が作為によるものと分かる程度のものだと知って誠はまた落ち込んだ表情で時間が過ぎるのを待った。


「しかし、リン。また夜這いとは……まあ、君らしいと言えばそれまでだが、昨日は残念だったね。ただ、君も恋には障害が多いということを学んだ。それは良いことだ。そうして多くの障害が有る事を知り、より大きくなってこれからも僕に仕えて僕の生活を支えて欲しい。僕は心が広いからね、それくらいの事では何とも思わないよ。それよりそれほどリンの心をひきつけてやまない『許婚』を持った自分の幸せを嚙みしめているところだ」


 かえではまずリンに顔を近づけてそう言った。かえでの美しい中性的な面差しに先ほどあれほど誠に迫っていた雰囲気もどこかへ吹き飛んだようにリンの頬が赤く染まる。


「はい、かなめ様。私はかなめ様の僕です。これまでも……そしてこれからも……この忠誠は永遠です」


 リンは明らかに誠に言っていたことと矛盾することを平気で口にする。その口先だけの忠誠に誠は完全に呆れ果てていた。


「本当にリンちゃんは腹黒いわね。その頭の中ではいかに誠ちゃんを自分だけのものにするかを考えているんでしょ?油断も隙もないわ。上の口と下の口で言ってることがあべこべ。うちで一番信用置けない女はリンちゃんね」


 アメリアは皮肉るようにそう言いながらデザートのメロンのプディングを口に運んだ。



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