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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三十六章 進化して生まれたもの、作り出されたもの

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201/224

第201話 誰にも地球人が核戦争を止める権利はないと『駄目人間』は言った

「そもそも俺は民主主義という物を信じちゃいない。民主主義なんて所詮ただの人気投票。だからそこに『理性』の入り込む余地なんて一分も無い。誰が一番気持ちのいい言葉を言うそれなりに見てくれの良い指導者かを選ぶだけの愚かな行為。それが俺の民主主義というものに対する認識なんだ」


 嵯峨のそんな何気ない言葉は誠には衝撃的だった。


「自由で民主的なら世界が良くなる?実際今の地球は良いの?それじゃあ。21世紀からずっと民衆は不満しか言わないのはなんで?政治が悪いという。でもそんな政治家を選んだのはアンタたちじゃん。その結果、政治家たちはアンタたちが気持ちのいい『本能』で自由自在に動かせる存在だということに気が付いたんだ。ネットの発達、理性的な学術的権威の没落、そして政治家たちが直接扱える政府機関による世論操作。そんな状況下で『理性』に支えられて世の中を良くする一票とやらを投票する人間がどれだけいるか……正直疑問だね」


 嵯峨はタバコをふかしながら言葉を続けた。


「ただ、地球人は頭が固いからそんなところで思考停止しちゃう。結局はかっこいい事ばっかり言う政治家が自分をかっこよく見せるために勇ましい事を言って人気を取り、その自分の勇ましさと自分の民族がいかに優秀かということを証明するために比較対象として隣国を選ぶ。そしてネットを使った世論操作であたかも自分達はそいつ等から攻撃を受けているかのような嘘の情報を垂れ流す。恐怖という『本能』に突き動かされた民衆は隣国への攻撃を叫びだす……そうなったらもう政治家自身もその流れを止めることはできないんだ」


 嵯峨は悲しげにそう言った。


「俺の育った国、甲武がそうだった。あそこにはネットは無いし、選挙権は平民でも金持ちにしかないからなおの事この『本能』に訴える軍部の宣伝工作は効果的だったんだ。軍部はひたすら開戦を望む世論を作り上げることに血道を上げた。当時は甲武は核を持ってたからね。地球圏への先制奇襲核攻撃をすれば地球圏など一ひねりだと勇敢なことを言えば国民は躍り上がって喜ぶんだ」


 嵯峨がそんな戦争指導を行うための陸軍大学校を首席で卒業した過去を持つことは誠は知っていた。それだけに嵯峨の言葉には重みがあった。


「でも、そんなの国力の差で1年もたたずに逆転されるって俺は冷めた目で見てた。俺は遼州人だ。軍部の『戦う本能』を持った地球人と違って俺の『本能』には戦いの文字は無い。だからその熱狂に一切飲まれずに状況を見つめていた。そして戦いは始まった……地球人は誰もが『本能』で核戦争を望んでいる。その事実をまざまざと見せつけられたよ……俺達遼州人にはそうして滅んでいく地球人の行動を止める権利はないんだよ」


 嵯峨はそう言って悲しげに笑った。

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