第196話 進み過ぎた文明の産んだ焼き畑農業しかしない生物兵器
「戦争のため……確かに僕の使う干渉空間や『光の剣』は日常生活ではほとんど役に立たないですしね。よく見かけるパイロキネシスを持った人たちもナパーム弾を用意するよりその人がそこまで歩いて行って念じればあっという間に同じ効果を得られる……」
誠は自分が作られた存在であるという事実に愕然としていた。
「そう、遼州人の法術。戦争に利用するには最適のものが多い。例えば俺やランや島田の不老不死。不死身の兵隊だぜ、こんなに便利な兵器が他にあるかよ。いくら銃だの剣だので攻撃しても死なない。そして一切管理しなくても永遠に使用可能。兵器としてはこれ以上ないような代物だ」
嵯峨のある意味自虐的な笑みを浮かべて話す言葉にはどことなく哀しみが含まれていた。
「じゃあ、その文明はどこに有るんですか?遼州人は1億年間焼き畑農業しかしてないですよ。そんな文明を焼き畑農業しかできない遼州人が作れるわけがないじゃないですか」
誠は疑問に思ってそう説明した。
「俺はこの星に遼州人を連れてきた人物に会った。そして、そいつは常に記憶が混乱しているから時々その時を思い出した時にそのことについて尋ねてみた。そしたら、その俺達を作り出した文明の末路……おそらくこれは地球人達が俺達の力を研究し続ければたどる末路なんだろうなと思うようになった」
嵯峨は遠い目をしてタバコを深く吸い込んだ。
「俺達は兵器として作られた。だから野心を持たない……そりゃあそうだ兵器が野心を持ってみろ、あっという間に兵器を作った文明は滅ぼされる。ただ、俺達も勘違いすることはある。その俺達をこの星に連れてきた少女は激しい戦いの中でその文明は滅びたがっていると勘違いした」
嵯峨の言葉に誠は戸惑った。
「俺はあり得る話だと思うよ。ランの本気の力……戦争に勝つためとはいえ本当に狂気の沙汰だ。そんなものを作ってまで敵を倒す。じゃあ、倒される敵の気持ちなんて考えたことが有るのかな?その文明は。実際に敵を倒しているうちにそいつは自分を使役している文明も敵のように倒されたがっているのじゃないかと考えるようになった。そして、その文明を滅ぼし、その宇宙を捨てて同じように力を持った遼州人を引き連れてこの星にやってきた」
嵯峨は遠い目をしてそう語った。
「そこには何もなかったが、空気と水と食い物があった。もはや遼州人に戦いを強制する文明人達もいない。そこで自由を手にした遼州人達は簡単な農業である焼き畑農業を始めた。そして1億年……延々と焼き畑農業だけをすることで一切戦うこともせずに静かにこの星で暮らしてきたんだ」
嵯峨はそう言ってニヤリと笑った。しかし、誠には納得できないところが残されていた。




