第188話 そして地球人にとっても愛は病気でしか無いと『宇宙一のアダルトグッズ』は言った
「じゃあ、地球人はそんなに人を愛するのかというと……これがまた違うというのが地球人ではない愛を客観的にみられる立場の遼州人で、元地球人の国甲武で育った俺から見た感想だ」
嵯峨はすい終えたタバコを灰皿に押し付けてまたタバコを取り出して火をつけた。
「え?地球人はラブソングが好きで恋愛小説が好きなんでしょ?さっき言ったじゃないですか、甲武じゃ恋愛の歌や恋愛小説であふれてるって」
驚いた誠に嵯峨は皮肉めいた笑みを浮かべた。
「元地球人も知ってるの。『愛』なんて言う物があるのはフィクションの中の話なんだって。俺達、遼州人がモテることに憧れているように地球人達は愛されることに憧れている。だからありもしない愛を歌い、愛が語られる物語を作る。なぜなら愛なんてものがこの世に存在しないから捏造する必要が有る訳だ。『愛』そんな目で見えないものを信じるなんてどうかしてるよ。まったく理解できないね、俺には」
そう言うと嵯峨は静かにタバコをふかした。
「でも、西とかひよこにすっかりお熱じゃないですか?それに僕に……僕から見ると嫌がらせにしか見えない愛情表現をしてくる女子ってみんな地球の血を引いていますよ。それって愛じゃ無いんですか?」
誠はほとんど迷惑としか思えない愛情表現をしてくるかなめ達の事を念頭に嵯峨にそう言ってみた。
「そうね、愛がフィクションというのは言い過ぎかもしれないね。正確に言えば地球人の愛は一種の『病気』だ。連中は人口を増やすのが趣味だからその結果人口が増えると言うわけで社会的にも歓迎されてる。だから治療薬も開発されていない。ああ、カウラの『依存症』にも治療薬は開発されていないな。どちらも治療できる薬を開発した奴は宇宙を救う救世主だね」
嵯峨は皮肉めいた笑みを浮かべてそう言った。
「愛は『病気』……たしかに西園寺さん達の愛は迷惑ですから出来れば治療してほしいですね」
つい誠の口をついて本音が出てしまった。
「今の言葉、かなめ坊たち言って欲しい?俺としてはその結果がぜひ見てみたい」
誠の失言を聞き逃す嵯峨では無かった。
「言わなかったことにはなりませんか?」
誠は自分に銃口を向けて来るかなめを想像して恐怖に駆られてそうつぶやいた。
「分かってるよ。でもさあ、地球人だって本心じゃあ思ってると思うよ。愛なんてただの一過性の病気なんだって。連中も結婚してしばらくはその病気の力でラブラブ生活とかをしているが、そんなものはすぐに冷める。そしてそこから先は遼州人と一緒で『アダルトグッズ』としての性能と『現金自動支払機』としての必要性と離婚に伴う世間体の悪さから嫌々一緒に暮らすことになる。それが本当に『愛』なの?違うと思うよ。だったら俺みたいに自分を『アダルトグッズ』として割り切って、それを極めて女に言い訳として『愛』と似たようなセリフを吐かせる生き方の方がよっぽど正しいと思うね。世の中、どこまで行っても『色と金』。愛なんてものはこの宇宙には存在しないんだよ」
嵯峨は悟りきったような笑顔を浮かべてそう誠に語った。




