第184話 『宇宙一高性能なアダルトグッズ』自身によるその機能の自慢
「お前さんさあ、その顔。まだ女に夢を持ってる顔だな?その夢を俺が俺の実績を示して見せることで完全破壊してやるよ。これは俺の実体験だ。紛れもない現実なんだ。女というものが男に『高機能アダルトグッズ』としての性能と『高性能現金自動支払機』以外のものを何一つ求めていないという現実を再認識できるだろう」
嵯峨は得意げに話を続けた。
「まず、その証明の第一の女はお蔦だ。アイツは数千人の男の『アダルトグッズ』としての機能を試して比べてきた女だ」
誠も嵯峨の家に内縁の妻の一人として暮らしていて、今では高校進学に備えて店の手伝いが出来ないでいる月島屋の看板娘の小夏に代わり新たな看板娘と化した見た目は18歳ぐらい、実は50歳の『永遠の18歳』である甲武国の花街一の花魁であったお蔦の事を思い出した。
「その女が、俺の存在を知るとすべてを捨てて俺を追いかけてきた。そして今では俺の傍にいる。アイツはいつも『新さんが一番だよ』って俺に言うんだ。数千人との比較から得られた俺の『アダルトグッズ』としての性能実績だよ。これは下手な情報調査会社のやるデータ分析よりよっぽどあてになるデータだ。この事実。お前さんは否定できるかな?」
得意げに話す嵯峨を見て誠は正直あまり自慢になる話では無いように感じていた。
「でも、それって隊長の持つ不老不死の能力を与えられたことで永遠の若さを手に入れた恩義とか、それ以前にお蔦さんが隊長の事を好きだということなんじゃないですか?それこそ心の問題でしょ?愛じゃないですか」
誠は必死になって抵抗するが嵯峨は残酷に首を振った。
「わかってないねえ、神前は。そりゃあ、後付けの感情だ。まず、俺の『アダルトグッズ』としての機能が宇宙一であるからこそそう言った感情は産まれたんだ。俺は見てくれが良い、しかも47歳だがどう見てもお前さんと同じくらいの若さの見た目で精力もお前さんを遥かに凌駕するものがある。だからお蔦は俺から離れられない。女だって自分が男を『高機能アダルトグッズ』か『高性能現金自動支払機』としてしか見ていないなんて恥ずかしくて言うわけないじゃん。そんなこと言ったらどんな男だってふつう逃げ出すから。だからそんな狙ったカモになる男に逃げられないように、そして自分が本当は男に求めているものを自分でも誤魔化すための理由を女はつけたがる。その理由を総称して『愛』と呼ぶわけだ。お前さんの発想はそもそも順番があべこべなんだよ。『愛』なんてそんなもの。ただの幻想に過ぎないんだ」
嵯峨のその割り切った考え方に誠は唖然としていた。
「次に春子さんだ。東和に来て三年目、弁護士になったばかりの俺は春子さんと出会った。そして成り行きでそんな関係になった。その時の俺の『アダルトグッズ』としての機能を春子さんは忘れられなかった。今、娘の小夏は自立しようとしている。つまり、再び春子さんは『女』として自由に生きて良い権利を手に入れた。その結果選んだのが『アダルトグッズ』としての機能が宇宙一の俺だ。春子さんは俺に恩があるという。しかし、それは言い訳だ。恩を返したいからそばにいるというが、いわゆる女の照れ隠しって奴。お前さんも究極の『アダルトグッズ』になり、そのことを自覚すればその意味が理解できるようになる」
そう断言する嵯峨の横顔には絶対的自信がみなぎっていた。




