第183話 男は全て『アダルトグッズ』か『現金自動支払機』であると自称『宇宙一高性能なアダルトグッズ』は言った
「おい、神前。お前さんはいくつになる?」
突然、嵯峨は天井にタバコの煙を噴き上げながらそう尋ねた。
「ええと、24ですけど。それが何か?」
誠の答えを聞くと嵯峨は皮肉めいた笑みを浮かべた。
「じゃあ、まだ分からないだろうね。女なんてそんな目で男を見ているものなんだよ。俺くらい……30過ぎると女が男をどう見てるかなんて手に取るようにわかるようになる。お前さんは女に夢を見過ぎてる。現実を見なさいよ。もっと現実は残酷なもんなんだよ。女なんてものはみんな怖いもんなんだよ。男にとってはある意味『敵』だな。その事実、今お前さんは分かろうとしているところなんだということだな、俺が言えることは」
嵯峨は教え諭すように誠に向けてそう言った。
「女にとってはね、男なんてみんな『アダルトグッズ』として性能がいいかどうか、『現金自動支払機』として高機能かどうか。それが男の価値のすべてなんだ。それ以外の価値?そんなものは女にとっては何の意味も無いんだ。若い男はそこんところをまるで分ってない。お前さんもそれが分かってない。だから、今でも童貞。だったら『アダルトグッズ』として高機能になる要素はいくらでも持ってるお前さんだ。その機能を全面的に発揮すれば女の方からどんどん寄って来るようになる。世の中そんなもんだ」
タバコを揉み消して誠を見つめて来る嵯峨の語る絶望的な女性像に誠は絶句していた。
「そんな……あまりに物事を単純化しすぎてませんか?人は感情の生き物で……」
そう言おうとした誠を嵯峨は上目遣いの迫力のある眼光で制した。
「だからお前さんは女に夢を見過ぎてるって言うんだよ。ホスト、男性アイドル、人気野球選手……モテるよね。そりゃあ、街を一緒に歩くのに恥ずかしくない見てくれを備えた『高機能アダルトグッズ』だからモテるんだ。たぶん、夜の方の機能が低ければ女はすぐに飽きて捨てる。実業家、大企業のトップ営業マン、エリート官僚、これは『高機能現金自動支払機』だよね。だから女は結婚したがる。寝てても一生食うには困らないから。それ以外の人間が選ばれる?この未婚率80パーセントのこの国で?なに夢みたいな話をしてるんだよ。数字は嘘をつかないよ。現実のデータと数字がそれを物語っている。数字は嘘をつかないんだよ」
誠も理系の大学を出た人間である。確定的な数値を出されたら反論のしようなどない。
「じゃあ、僕はどうすれば……」
困惑する誠を面白がるように嵯峨は見つめていた。
「なあに、簡単な話さ。『アダルトグッズ』としてより高機能になればいいだけの話だ。自分が『アダルトグッズ』であることを認める。すべてはそこから始まる。俺は自分を『宇宙一高機能なアダルトグッズ』だと自負している。だから女が三人もいる。な?凄く説得力のある言葉だろ?」
誠は自分の上司が自らを『アダルトグッズ』として認めている事実に言葉を失った。




