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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『特殊な部隊』と『征夷大将軍』  作者: 橋本 直
第三十二章 人間を捨てたヒーローと彼を救おうとする常識人

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第174話 全隊員から『アダルトグッズ』として扱われることが決まった誠の決まった日常

「朝が来た……」


 結局、ランが帰ると女性陣はうやむやのままにそれぞれの部屋に帰っていった。誠はそれを見送って眠りについた。


 そして、目覚めた朝。誠は着替えを済ませるといつものように食堂に足を向けた。


「よう!西園寺さん専用『アダルトグッズ』!」


 そう声を掛けてきたのは他でもない島田だった。隣には彼女のサラとサラを寮まで送って来たらしいパーラの姿があった。


 島田はまるで面白くてたまらないという笑顔で誠を見つめている。隣のサラは誠に汚いものを見るような視線を向けてくる。パーラの目は……ひたすら同情の色を帯び、なぜか厚い雑誌を手にしていた。


「島田先輩……その話どこから……アメリアさんですね?」


 誠には推測がついていた。恐らくあ誠の部屋での騒動はアメリアの携帯端末の録音機能で記録されていた。そしてアメリアは部屋に戻るとそのデータを全隊員にばらまいた。


『あの女ならそれくらいやりかねない……あの女に取って『面白い事』がすべてに優先する事項だからな……』


 さすがに温厚な誠もこの時ばかりは怒りに震えながらそう思っていた。


「で?昨日早速『使用』されたのか?良かったじゃねえか。これでオメエも童貞卒業だ?その感想はどうなんだ?」


 島田は誠を食堂の中に先導しながらいかにも楽しそうに誠に尋ねてくる。


「昨日は何もなかったですよ。というか、クバルカ中佐に認められるまで西園寺さんも僕に手出しは出来ないですから。クバルカ中佐の事は良く知ってる島田先輩ならその点は良く分かるでしょ?」


 かえでの家臣のメイド服を着た寮母たちが寮生に配膳をしている中、四人はテーブルを囲んだ。


「誠様。誠様が『関白殿下』の『アダルトグッズ』に成り果ててもかえで様の誠様への思いが揺らぐことは有り得ません。ご安心ください」


 メイド長ならぬ寮母長の高橋は誠に特別メニューのトレーを差し出すと眼鏡を直しながらそう言った。


「ありがとう……っていうか、高橋さんもこのことを知ってるんですか?」


 誠は半分呆れ果ててそう言った。


「はい、『関白殿下』にあのクバルカ中佐の要求が満たせるとは思わないというのがかえで様のご意見です。ですので、これはかえで様が『許婚』である誠様を手に入れる絶好の機会が訪れたとお喜びになられておりました。その際は、ぜひ次期高橋家の当主を私に産ませていただけますね?」


 それだけ言うと高橋は去っていった。


 入れ替わるように誠以外はセルフサービスであるオーナーかえでが決めたルール通り自分用のトレーを持って島田が現れた。


「しかし、オメエさあ。『アダルトグッズ』になったってことは人間やめたってことだろ?じゃあ、俺はこれからオメエをどう扱えばいいんだ?オメエが人間だったころはオメエは俺の舎弟だった。でも今は西園寺さんの所有物だ。つまりモノだ。モノは舎弟にはできねえな……おい、神前。オメエはどう思う?」


 自分の隣で笑顔で島田が親子丼を食べているのを見つめているサラを気遣いながら島田は誠にそう言ってきた。誠は馬鹿な島田に何を言っても無駄なことは分かっていたので完全無視を決め込むことにした。


『僕は全隊員から人間では無いと認識されるようになったんだ……早く人間になりたい!』


 誠は自分だけの特別メニューのすっぽんのスープを飲みながらそんなことを考えていた。

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