第170話 自ら『アダルトグッズ』となってかなめを助けようとする誠
「止めてください!クバルカ中佐!」
おもわずベットから飛び出した誠はランとかなめの間に割って入った。
「どけ、神前。アタシはアタシの人としての成長を望んだ教育を受けながら自ら『外道』に落ちた女をその行くべき場所に送ろうとしているだけだ。これはアタシが未熟だったということだ。西園寺を斬ったらアタシも潔く腹を切って後を追うつもりだ」
ランは刀を上段に構えながらそう言った。
「クバルカ中佐……中佐は不死人だから腹を切っても死なないような気がするんですけど……痛いだけですよ……というか、僕の部屋を血まみれにするのは止めてください」
ランの発言の矛盾に気付いた誠はそうツッコんでいた。
「そうよね……ランちゃんは不死身だもんね……ランちゃんがいくら部下の不始末の責任を取るために切腹しても死なないから……責任の取りようがないわよね」
誠のツッコミにアメリアまでもが同調したのでランもまた自分の行っていることが矛盾していることに気付いた。
「オメー等……成長したな。西園寺、オメーは運がいい。今の神前の言葉でアタシの気が変わった。オメーの命はしばらくオメーに預けとく。ただ、この問題……誰が責任をとる?こんな大騒ぎになった以上、誰かが犠牲になって落とし前を付けるのが任侠道の本来の在り方だ。どうする?」
脳内がやくざ思考のランはそう言うととても8歳幼女の見た目からは想像がつかないような凄みのある視線で誠達の顔を見渡した。
「ここは僕が責任を取ります!僕はこの中で唯一の男です!男なら責任をとれ!いつもクバルカ中佐がそう言ってるじゃないですか!」
誠ははっきりとした口調でランに向けてそう言った。
「ほう、神前。オメー随分と変わったな。オメーが隊に入ったころなら全責任を他の女共に押し付けて逃げるところだろーが……今のオメーは『漢』の顔をしている。いーだろー。認めてやろー。オメーが犠牲となって西園寺の『アダルトグッズ』とやらになれ」
ランは良い笑顔を浮かべて『関の孫六』を鞘に納めるとそう言った。
「はい?その僕が『アダルトグッズ』であるという状況は変わらないんですか?」
誠はランの言う言葉の意味が分からず困惑してそうつぶやいた。
「そーだ。クラウゼの馬鹿がオメーを『アダルトグッズ』として出品した以上。オメーが誰か専用の『アダルトグッズ』にならなきゃ筋が通らねー。物事は全て筋を通すことが大事なんだ。オメーはこれから勤務中以外は西園寺の『アダルトグッズ』として生きろ。そして『アダルトグッズ』としての道を究めろ!それもまた一つの生き方だ。アタシはそう言う生き方もアリだ通っている」
そう言ってランは良い笑顔をしてその場に崩れ落ちた誠の肩を叩いた。




